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JSRグループのマテリアリティ(重要課題)

1.JSRグループのマテリアリティ

JSRグループは、企業理念「Materials Innovation マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」に基づき、企業活動を通じた価値創造により、持続可能な地球環境や社会の実現に貢献することを目指し、マテリアリティ(重要課題)を特定しています。マテリアリティは、2021年3月に発表した中期経営方針に反映し、レジリエントな経営基盤の中核をなすものと位置づけています。

JSRグループのマテリアリティ(重要課題)
JSRグループのマテリアリティ(重要課題)の図

(1)マテリアリティの特定プロセス

2019年に実施した有識者との対話でのご指摘を踏まえ、同年から、従来のマテリアリティ(2015年策定)の見直しに着手しました。

2019年度から2020年度にかけて「JSRサステナビリティ・チャレンジ」として、社員の参加のもと、「事業活動」と「経営基盤」の2側面から再整理を行いました。このプロセスの実施にあたっては、社外の有識者として、日本政策投資銀行 竹ケ原啓介様にご意見と総括をいただきました。

※ JSRサステナビリティ・チャレンジ:5事業部に対し、社会へのポジティブ/ネガティブインパクトをヒアリング調査のうえ、JSRグループの事業活動で生じるプラスとマイナスの重要インパクトをまとめる取り組み

(2)今後の見直し

マテリアリティは、社会からの要請の変化、様々なステークホルダーからの意見やニーズによって変わっていくものです。今後も以下の運用によりマテリアリティの見直し・特定を行っていきます。

  1. 1.有識者、従業員とのエンゲージメント、レスポンシブル・ケア活動などを通して、妥当性を見直す必要が生じた場合には対応する
  2. 2.新たな中期経営方針策定のタイミングで、有識者の方々との意見交換を通して、マテリアリティを特定する過程の透明性や納得性を確保しつつ定期見直しを実施する

2.マテリアリティの評価指標(KPI)の設定と進捗

(1)マテリアリティの評価指標(KPI)の設定

2021年度に、マテリアリティの評価指標(KPI)を設定しました。設定にあたっては、サステナビリティ推進部が経営企画部門の支援を受け、事業部門や関連するコーポレート部門、グループ企業各社とともに、JSRグループが直面するサステナブルな経営課題を議論、共有し、具体的なKPI項目や数値目標を定めました。

2022年度以降に実施するマテリアリティへの取り組みについては、半年ごとにKPIを用いて状況をレビューし、必要に応じて追加のアクションを取ることとしています。また、年度ごとの評価をサステナビリティ推進会議や経営会議などで共有し、次年度以降の活動につなげていきます。マテリアリティKPIの内容と進捗については、下表「マテリアリティへの取り組みとKPI」を参照ください。

(2)マテリアリティ評価指標(KPI)の進捗

「事業活動」のマテリアリティは、当社グループが展開するデジタルソリューション事業、ライフサイエンス事業、合成樹脂事業のそれぞれにおいて、「生活の質・幸福の向上」「健康長寿社会の実現」「地球環境の保全」に様々な効果を発揮する製品やサービスを提供し、社会に貢献することと定めています。
これに基づき、JSRグループが提供する製品から、それぞれの事業領域における「サステナビリティ製品」を定め、その売上高、販売量、販売比率などをKPIと定めて、2024年度をゴールとする目標を設定しました。

2022年度のデジタルソリューション事業におけるサステナビリティ製品の売上は、2020年度対比で2.3倍に伸長し、事業全体の売上高に対する比率もほぼ倍増となりました。ライフサイエンス事業でも、サステナビリティ製品の売上が大幅に伸長し、2024年度の目標を大幅に過達しました。合成樹脂事業においても、サステナビリティ製品の販売量は堅調に伸長しました。

このように2022年度は、いずれの事業領域においてもサステナビリティ製品は伸長しました。引き続き、事業活動全般を通じて「生活の質・幸福の向上」「健康長寿社会への実現」「地球環境の保全」といった社会への価値の提供に努めます。

また事業活動を支える「経営基盤」のマテリアリティは、「環境保全・負荷低減」「従業員DE&I働き方」「安全・健康」「人権尊重」「サプライチェーン」の5つとしています。このそれぞれについて中長期的な課題とKPIを設定しました。

2022年度は、各マテリアリティKPIの目標に向けて実施すべき年度のアクションプランに基づき、プランに記載の全活動を推し進めました。GHGの排出量削減や従業員エンゲージメントの向上施策は着実に進捗している一方、DE&Iの推進やサプライチェーン管理の強化など、結果が出るまでに時間がかかる課題も多く、関連部門と共に、引き続きゴールに向けて取り組んでいきます。

「経営基盤」のマテリアリティの背景や特徴は以下の通りです。マテリアリティKPIの詳細な進捗は、それぞれの関連する箇所に記載しています。

環境保全・負荷低減

気候変動や資源枯渇は、今や人類存続の課題と言っても過言ではありません。これら世界が注目する社会課題の解決に貢献すべく、JSRグループは、GHG排出量2050年ネットゼロ、廃棄物埋立量ゼロを目指すことから始めます。

従業員 DE&I 働き方

当社では、柔軟で多様な働き方を推進し、従業員が個々に持つ能力や考え方を互いに活かし合って、エンゲージメントを高めて働くことが、組織の競争力向上、ひいては企業価値を高めることにつながると考えています。

中でも、組織運営の中核を担う管理職層におけるDE&Iの推進は、JSRグループ全体のレジリエンス向上につながると考えています。そこで、日本特有の社会課題も踏まえてJSR単体での女性管理職比率をKPIとして設定しました。当社ではこれを、従業員それぞれの挑戦・活躍・成長の「機会の公平性」を確保した結果として着目すべき指標の一つと捉えており、このKPIをドライバーとしてDE&I風土づくりを加速させていきます。

安全・健康

「安全」については、安全活動の結果としての事故発生件数と、そのプロセスの進捗を測る安全文化アンケートの結果をKPIとし、評価の基準をグローバルに統一しています。

「健康」では、JSR単体のホワイト500認証取得を目標としました。コロナ禍~アフターコロナの社会において、従業員の健康と生産性の両立を重要な経営課題と見なし、真摯に向き合っていきます。

人権尊重

企業には人権尊重を先頭に立って実践する責任があります。その責任を果たすためには、JSRグループの社員一人ひとりが人権に対する理解を深める必要があります。こうした考えのもと、イーラーニングなどを通じて、人権に関する知識を継続的・体系的に学んでもらう取り組みに注力します。

サプライチェーン

社会からの要請やJSRグループの考え方をサプライヤーとも共有するため、グループのCSR調達方針と人権方針を掲載した冊子などを配布し、その趣旨を理解いただくとともに、賛同書を提出いただくことで、リスクの未然防止につなげます。また児童労働などの人権侵害懸念が大きい紛争鉱物とコバルトについては、世界標準の調査票を用いて、JSRグループでの使用状況と、人権侵害防止へのサプライヤーの対応状況を確認します。

マテリアリティへの取り組みとKPI
マテリアリティへの取り組みとKPIの図