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サステナビリティ推進担当役員メッセージ

サステナビリティへの取り組みを経営上の重要戦略ととらえ、
他の経営施策とも連動しながら活動を進めていきます。

JSRグループのサステナビリティ ~マテリアリティ(重要課題)への取り組み

JSRグループは、サステナビリティを「企業活動を通じて価値創造することで社会に貢献する」ことと定義しています。当社は大きく3つの主要事業をグローバルに展開しており、多様性を尊重しながら、グループ全体でサステナビリティを推進することが、重要な経営戦略と考えています。

サステナビリティへの取り組みの推進にあたっては、企業理念をベースに、社会・自然環境がJSRグループに与える影響と、JSRグループの活動が社会・自然環境、また社内外ステークホルダーに与える影響を総合的に勘案してマテリアリティを特定し、評価指標(KPI)とともに個々の事業戦略への落とし込みを検討しています。

マテリアリティの中で、特に重視している項目が2つあります。1つ目は、サステナビリティを推進する主体である従業員のエンゲージメントの向上にむけた、「多様性」すなわち「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)」の推進です。2つ目は、世界中で非常に大きな影響をもたらしている気候変動への対応、すなわち「環境負荷の低減」です。これらの最重要課題については、今まで以上に取り組みを強化し、リスクと事業機会の双方から重要とされる様々な課題について、グループ全体で対応策を検討し、推進しています。

マテリアリティの達成度を測るKPIについては、2023年度は着実に進捗したと評価できます。

経営基盤のマテリアリティに関する「従業員エンゲージメントの向上」については、2023年度に実施した3回目となるグローバルエンゲージメント調査の結果、会社の方向性や将来像、長期ビジョンに関する情報発信の充実を望む声が多かったことを踏まえ、経営トップや事業責任者からのメッセージを複数回発信するとともに、双方向のコミュニケーションの場として、経営トップと少人数の従業員との対話会などの試みを開始しました。それに加え、キャリアパスの明確化や班内コミュニケーションの向上など、組織単位、部門単位においてもコミュニケーション向上に向けたKPIを設置し活動を行っています。

GHG排出量削減については、Scope 1&2の排出量を2030年度に2020年比で30%削減するというKPIに基づき、計画に従って取り組んでいますが、進捗確認にあたって得た情報やステークホルダーからの要請を踏まえ、今後さらに踏み込んだ目標設定が必要になる可能性が高いと判断し、検討を始めています。

また、JSRグループでは、事業活動を通じて生活の質の向上や幸福、健康長寿社会、地球環境保全へ貢献する製品をサステナビリティ製品と定義し、その製品の売上をKPIとしています。2023年度のサステナビリティ製品の売上は、2020年度対比でデジタルソリューション事業は2.4倍、ライフサイエンス事業では2024年度の目標を大幅に過達しました。

一方で、2023年度の活動を通して得られた情報を分析し具体的な活動へ落とし込む面においては、課題が残りました。さらに、グローバルでの取り組みや地域特性を組み込んだKPI設定の重要性など、今後のKPIマネジメントの向上につながる確かな気づきがありました。

KPIの達成が目的ではなく、サスティナビリティの視点を各部門の活動にしっかりと組み込むことが重要です。目標に向かう取り組みを通じ、従業員一人ひとりが、日々の業務の中でサステナビリティを意識する状態を築いてゆく、この文化の醸成が、私たちの組織の成長と持続可能な未来を支える基盤となるでしょう。

多様性の尊重 ~一人ひとりが輝く場を提供し、多様な視点・視野を取り込む

多様性は競争力の源泉であり、当社では多様な人財が、それぞれの能力を最大限発揮するための土台としてのDE&Iの取り組みに力を入れています。持続的な企業価値の向上のためには、従業員一人ひとりの能力が最大限発揮する職場を提供することが重要と考えています。

各々の目指すキャリアを実現することは、ひいては人生の充足にもつながり、重要なサステナビリティへの取り組みだと言えます。当社で、サステナビリティ推進担当の役員が、ダイバーシティ推進も担当しているのは、サステナビリティ推進にあたってのDE&Iの重要な位置付けに鑑みてのことです。現在JSRグループは世界12の国と地域に拠点を持ち、国籍・性別・年齢・社歴など、多様な背景を持った従業員が在籍しています。多様性から生まれる新しい発想やアプローチを柔軟に取り入れ、社会へのインパクトを創出し続けるメンバーを育成するとともに、組織の長期的な成長を実現するため、各種制度・環境整備を積極的に進めていきます。

また、北米・欧州の拠点との連携強化からスタートし、各国法規制・開示動向の把握/早期対応に加え、対面するお客様からの様々なご要請を統合的に把握・認識し、当社のサステナビリティに対する取り組みの高度化を進めています。さらに他社とのネットワーキングや、専門家を招いての講演会、ステークホルダーとの直接の対話などを通じて、引き続きより広い視点・視野を取り入れていきます。

今後に向けて ~サステナビリティ戦略と事業戦略の一体化

サステナビリティは今や経営の重要アジェンダであり、トップのコミットメントがあってはじめて、社内への浸透が進められます。2023年度は、当社CEOをはじめ全ての執行役員に対し、外部有識者を招いて「サステナビリティに関する世界の最新動向」や、「経営・事業戦略とのサステナビリティの統合」をテーマに、数回のセッションを実施しました。

JSRグループをとりまく社会情勢や市場環境は日々変化しており、現状に即したリスクと機会の見極めが必要不可欠です。マテリアリティの見直しを定期的に実施し、事業を取り巻くリスクを最小限にとどめるための対応策を検討すると同時に、我々の強みである「イノベーション」を通じて、社会にポジティブな影響を与え、貢献できる製品やサービスを創出し、新たな機会につなげます。そのためには、全従業員が、自らの業務にどのようにサステナビリティを取り入れるかについて自主的に考え、行動できる環境を整えることが不可欠です。事業戦略とサステナビリティ戦略が一体化することが当然であると全従業員が考える状態を目指して、活動を続けて参ります。

上席執行役員
サステナビリティ推進、グローバル人事(CHRO)
ダイバーシティ推進担当

安江 令子