JSR Health Promotion(健康経営への取り組み)
1. 基本的な考え方・行動規範
JSRグループは、従業員の身体と心の健康は、従業員とその家族の幸福な生活のために、また職場の生産性および活気のある職場づくりのために非常に重要であると考えています。従業員が心身ともに健康で働けることをサポートするために様々な施策を実施しています。
JSRと一部拠点では、健康づくりへの積極的な取り組みを推進する方針を「健康宣言書」にて宣言しており、健康保険組合連合会三重連合会より「健康推進事業所」に認定されています。
行動規範
「安全は製造業に働くすべての人にとっての最も大切なものであり、事業活動の大前提である」を第一義とし、すべての関係者の安全衛生レベルの維持向上に努めます。また、自分自身はもちろんのこと、共に働く人たちの心身の健康維持に充分留意します。
2. 健康経営の推進・推進体制
当社は、エンゲージメント向上や労働生産性向上を目的に、組織活動の基本となる従業員の健康づくり促進活動「JSR Health Promotion」を推進しています。
この取り組みは、「全社員が自ら健康について考え、行動できる組織」となることを最終的なありたい姿・目標として掲げています。従業員一人ひとりのための、自分に合った、自分でできる健康維持・向上策を会社が提供・サポートすることを目指し、活動しています。
JSR Health Promotionを推進する仕組みの一環として、人事担当役員が統括するHealth Promotion推進会議を定期的に開催し、各事業所の産業看護職や健康経営推進部門が中心となり、組織横断的なモニタリングや各種施策を行っています。経営層は、トップメッセージで健康づくりの意義を発信するほか、Health Promotion推進会議からの定期報告を受け、その活動を監督しています。
3. 健康経営の取り組み
JSR Health Promotionの具体的な施策としては、組織と個人の健全度・労働生産性の向上(プレゼンティズム対策)に向けて戦略マップを策定し、睡眠セミナーや改善プログラム、運動習慣定着化やマインドフルネス等を実施しています。
取り組みの一例として、睡眠に困りごとがある従業員を対象にスマートウォッチを活用した睡眠改善プログラムを実施しています。
2023年度は同プログラムに96名が参加し、セミナー受講者のアンケートでは、睡眠の満足度について「あまり満足していない」「全く満足していない」割合が27.1ポイント減少(65.6%から38.5%)と成果をあげています。また、睡眠の満足度の変化と合わせて、健康問題に起因する労働機能障害の程度をWFun※を用いて測定し、プログラムの前後で労働機能障害「中等度」以上の割合が12.2ポイント減少しました(32.3%から24.0%)。
また、良質な睡眠確保のために推奨される項目としてJSR睡眠12箇条を日勤者、交替勤務者向けに策定し、従業員の睡眠啓発活動に活用しています。
※WFun:健康問題に由来する労働機能障害の程度を測定することを目的に、産業医科大学が開発した調査票。「中等度」以上で何らかの介入を要する可能性が高い判定。
No. | 日勤者向け | 交替勤務者向け |
---|---|---|
1 | 自分が想定している睡眠時間を確保している | できる限り睡眠時間を確保している |
2 | 起床時間は一定である | 勤務にあわせて適切な時間帯に睡眠をとる |
3 | 朝起きたらすぐに明るい光を浴びている | 戦略的に仮眠をとっている |
4 | 朝食をとっている | 入眠前に意識的にリラックス状態をつくっている |
5 | 日中に適度な運動をし、深夜の激しい運動は避けている | 定期的に適度な運動する |
6 | 就寝前4時間以内のカフェイン摂取を避けている | 就寝前4時間以内のカフェイン摂取を避けている |
7 | 夜食(睡眠前の食事)を摂取しない | 入眠直前に消化に負担のかかる食事を摂取しない |
8 | 寝酒をしない | 入眠前に飲酒しない |
9 | 就寝前に喫煙をしない | 入眠前に喫煙をしない |
10 | 眠くなってから寝床に入るようにしている | 眠くなってから寝床に入るようにしている |
11 | 就寝前1時間はブルーライト(スマートフォン、パソコン、テレビなど)を避けている | 入眠前1時間はブルーライト(スマートフォン、パソコン、TVなど)を避けている |
12 | 自分が眠りやすい寝室や寝床の環境づくり(寝具、照明など)をしている | 自分が眠りやすい寝室や寝床の環境づくり(遮光カーテン、アイマスク、耳栓、寝具、照明など)をしている |
4. 身体の健康支援
JSRでは、一般健康診断や特殊健康診断の法定健診に加え、生活習慣病健診を実施するとともに、人間ドックや脳ドック、女子特別検診(乳がん検診、婦人科がん検診)を受診した従業員に補助金を支給しています。また、感染症対策としてインフルエンザ予防接種の一部補助金の支給を行っています。2023年度のインフルエンザによる病欠者数は32名、病欠日数は85日でした。
また、2023年度の健康診断における有所見者率は28.5%と全国平均を下回っており、従業員の健康状態は良好に維持されています。
従業員の健康管理にあたっては、ハイリスクアプローチ(疾病時の個別対処)に加えてポピュレーションアプローチ(全体でのリスク低減/予防)の考え方を取り入れ、生活習慣病予防、健康診断の確実な受診とフォロー、受動喫煙防止などの課題に対処し、従業員の健康確保に積極的に取り組んでいます。
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
健康診断受診率 | 99.8% | 98.7% | 98.9% | 98.9% | 99.9% |
健康診断有所見者率 | — | 26.4% | 24.3% | 24.1% | 28.5% |
適性体重維持者率 ※BMI:18.5~25未満 |
67.1% | 65.9% | 66.3% | 68.8% | 67.6% |
質の良い睡眠率 ※「睡眠により十分な休養が取れている」者の割合 |
65.6% | 68.6% | 69.2% | 63.2% | 62.1% |
喫煙率 | 22.4% | 17.9% | 16.2% | 10.7% | 10.1% |
ストレスチェック受検率 | 92.1% | 92.2% | 91.4% | 84.8% | 82.0% |
ストレスチェックによる高ストレス者率 | 8.3% | 8.2% | 8.9% | 7.5% | 6.8% |
いきいき組織指数 ※2019年を100とする |
100 | 126 | 101 | 146 | 124 |
自社トレーニング施設利用者数 | 8,009名 | 1,472名 | 1,794名 | 1,601名 | 2,423名 |
トレーニング施設の設置
従業員向けに自社スポーツ施設を設けるほか、福利厚生サービス契約によるスポーツクラブも利用できるようにしています。さらに、身体を動かして健康増進を図るとともに従業員間のコミュニケーションを促進してもらう目的で、それぞれの事業所で、ソフトボールやボーリングなどの各種スポーツ大会を開催しています。普段、あまりスポーツになじみがない従業員からも、身体を動かすよい機会だと好評を得ています。
なお、2020年度以降は新型コロナウイルス感染症対策として、利用時間と人数を制限して運用しているため、自社トレーニング施設の利用者数が減少しています。
5. 心の健康支援
JSRグループでは、リモートワークなど新しい働き方への対応を進める中、個々の従業員が孤独・孤立に陥るといった状況を防ぐため、メンタル面でのサポートがこれまで以上に重要になっていると考え、サポート体制強化に取り組んでいます。
具体的には、「チェック」「組織分析」「相談」「教育」の4つの観点から、従業員のメンタルヘルス向上の施策に取り組んでいます。
「チェック」「組織分析」の取り組みとして、1998年度より従業員の心の健康状態をチェックする調査を開始し、2015年度からは労働安全衛生法改正に伴い年1回ストレスチェックを実施し、ストレスチェックの結果を部門単位で分析しています。
「相談」の取り組みとしては、従業員が希望する場所でカウンセリングを受けられる社外相談窓口「ヒューマン・フロンティア相談室」をJSRと国内グループ企業に導入しており、心の相談窓口として定着しています。またストレスチェック実施後には管理職向けに組織分析レポートを配布する、活用セミナーでレポートの見方や対策について発信するなどのサポートを行い、各事業所の産業保健スタッフによる対応の充実に努めています。
「教育」の取り組みとしては、各階層別の研修にて、それぞれの階層に応じたセルフケア・ラインによるケアのメンタルヘルス教育を実施しています。
これらの結果、ストレスチェックにおける高ストレス者の割合は7.5%と、全国平均を下回っています。
6. 新型コロナウイルス感染症対策
JSRでは新型コロナウイルス感染症対策として、社会状況を踏まえつつ各事業所の状況に合わせた適切な形で職場での予防策や日々の健康管理を行っています。
事業所内に手指消毒用アルコールや非接触型検温器を設置しているほか、従業員にマスクを配布し、感染予防に取り組んでいます。また、各事業所に従業員一人当たり抗原検査キット1セット(20検査分)を配布し、万一の感染があった場合には早期に発見できるよう努めています。
これらに加えて、2021年度および2022年度には四日市工場・汐留本社にて職域接種を実施しました。これにより、グループ企業や協力会社、従業員家族も含む累計3,539名が接種を受けました。
また、JSRでは従来、従業員の健康づくり・体力づくりのためにJSR健康保険組合の健康運動指導士による健康体操を実施しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い2020年度よりオンラインでの健康体操教室を開始しました。2023年度の延べ参加者数は2,565名で、在宅勤務などによる運動不足解消につながっています。
延べ参加者数(JSR社員のみ)
- 2020年度:2,959名(オンラインのみ)
- 2021年度:6,627名(オンラインのみ)
- 2022年度:2,176名(オンラインのみ)
- 2023年度:2,565名(オンラインのみ)
7. 取り組みの成果
これらの取り組みが評価され、JSRグループから6法人が「健康経営優良法人2024」に認定されました。
健康経営優良法人2024(大規模法人部門)
- JSR株式会社
健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)
- 株式会社イーテック
- JSRマイクロ九州株式会社
- JSR健康保険組合
- JSRロジスティクス&カスタマーセンター株式会社
- 日本カラリング株式会社
- 株式会社医学生物学研究所
JSRでは、従業員の健康と生産性の両立を重要な経営課題と見なし、2025年度頃までにホワイト500認証を取得することを目標として取り組みを推進しています。
今後も従業員の健康保持増進のための様々な取り組みを立案、実施していきます。また、これらの取り組みの結果を評価、改善し、PDCAサイクルを回すことで、より効果的な健康保持増進施策を展開し、従業員の健康を支援していきます。
弊社の健康経営の取り組みについて具体的な実施方法の情報提供をご希望の方は下記メールアドレスにご連絡ください。
メールアドレス:jsr_jinjiroumu@jsr.co.jp