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サプライチェーンマネジメント

1. 基本的な考え方

お客様のニーズに合った「革新素材」「良い製品」を提供し、より良い社会の実現に貢献していくことは、JSRグループの重要な役割であると考えています。そのために、サプライチェーンマネジメントを通じて、お取引先様とともに社会の課題に対応していきます。

2.お取引先様とのかかわり(サプライチェーンマネジメント)

(1)CSR調達

JSRグループのサプライチェーンマネジメントには、様々な産業に素材を提供して社会を支える化学品を取り扱う企業としての特徴があります。それはお客様に絶えることなく安定的に、確かな品質の製品をお届けすることです。

お取引先様、お客様に、「JSRグループ購買指針」に定める「購買取引にあたっては、持続可能な社会に向けて、安全、人権、法令遵守、資源保護、環境保全、生物多様性などに十分配慮する」との調達方針をご理解いただき、コミュニケーションによる相互理解のもとで、協力しながら実効性のある取り組みを続けています。

この一環として、2010年度から、CSR調達に取り組んでいます。JSRグループ購買指針に基づいて、環境面・社会面に関するお取引先様の取り組み状況をアンケート調査で把握し、課題がある場合には、調達担当者が直接出向いてともに課題を解決しています。2013年度までに、原料資材の購入金額の99%をカバーするお取引先様への調査を完了しました。新規のお取引先様にも同様に調査を実施しています。

これに加えて、近年のサプライチェーンのグローバル化に伴い、サプライチェーンにおける強制労働や児童労働、環境破壊、汚職などのリスクも増大していることから、2017年度には調査に使用するアンケートの項目を大幅に刷新、拡充させました。現在、この改訂版アンケートを用いた2巡目となるアンケート調査に取り組んでいます。

さらに、サプライチェーンマネジメントを発展させることが、お取引先様とJSRグループの相互繁栄につながるとの考えに基づき、2018年12月、新たに「JSRグループCSR調達方針」を制定しました。本方針には、上記の改訂版アンケートに記載した、当社グループがお取引先様に遵守をお願いしたい事項が整理されています。

このように、持続可能な事業運営には、継続的なサプライチェーンの管理が必要となります。社会からの要請やJSRグループの考え方をサプライヤーとも共有するため、JSRグループの調達方針と人権方針を通達し、その趣旨への賛同書を回収する取り組みに2021年度から着手することにしました。国内外のグループ会社も含めグループ全体で取り組むため、順次説明会を開催し、具体的なアクションを始めています。

(2)お取引先様の評価

当社では、お取引先様との新規取引開始時はもとより、継続した取引関係のあるお取引先様につきましても、当社の求める評価基準への適合状況を定期的に確認しています。新規取引の候補先については、財務状況や品質管理レベルなどの評価を実施するとともに、取引開始前に安全・環境・品質に関する実地監査を行います。また、継続した取引関係にあるお取引先様についても、新規取引の際と同様の基準で再評価を実施します。

特に供給性が低い、希少性が高いなど有事の調達難易度が高い重要原料に関しては、定期的なサプライヤー監査を行い、供給継続性にかかわる事項の実地確認や品質安定化に向けた提案、指導を行うことで、顧客への供給安定性の確保に努めています。

(3)紛争鉱物に対する取り組み

紛争鉱物(スズ、タンタル、タングステン、金)に関しては、JSRグループ購買指針に基づき、直接的および間接的な使用も一切認めないという考え方のもと、お取引先様のご協力をいただきながら紛争鉱物の不使用を確認する取り組みを継続しています。

2015年度に、紛争鉱物の使用有無に関する調査を実施し、すべての調査対象のサプライヤーで紛争鉱物の不使用を確認しました。以降も、新規原料や新規サプライヤー採用時には調査を行い、継続して紛争鉱物の不使用を担保する体制を維持しています。

一方、近年ではコバルト採掘が児童労働などの温床になっていると指摘され、人権侵害への懸念が高まっています。こうした状況も踏まえ、従来の紛争鉱物に加えコバルトについても問題の有無確認を徹底するため、RMI(Responsible Mineral Initiative)が提供する世界標準のテンプレートであるCMRT(Conflict Minerals Reporting Template)およびEMRT(Extended Mineral Reporting Template)を用いた調査を実施することを2021年度に決定しました。この調査もグループ全体で行うため、国内外のグループ企業に対する説明会を開催した上で、対象となる鉱物が使用もしくは含有される原材料を特定し、そのサプライヤーに当該テンプレートを配布し、確実に回収していきます。

(4)調達担当者の教育と研修

健全なサプライチェーンマネジメントの実践を担保するため、CSR調達や紛争鉱物への取り組みをテーマとした購買部門担当者への教育と研修に注力しています。なかでも新たに購買部門に配属された担当者には、JSRグループ購買指針の十分な理解に向けた導入教育を実施しています。

また、担当者のさらなる知識習得を促すため、日本能率協会が認定するCPP資格(Certified Procurement Professional、購買・調達分野における専門的な知識を身につけていることを証明する資格)の取得を奨励しており、講習会への参加費用や受験料を会社負担とするなどの支援も行っています。

(5)CSR調達に関するイニシアティブへの参画

当社は、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのサプライチェーン分科会に参画し、ステークホルダーとの意見交換などを通じて得られた知見を自社のCSR調達活動の深化に役立てています。直近では、「JSRグループCSR調達方針」の制定や、取引先調査に使用するアンケート項目の見直しなどに、得られた知見が活用されています。

3.グリーン調達、グリーン購入

(1)グリーン調達(原材料)

JSRは、2000年にグリーン調達ガイドラインを制定し、環境負荷の少ない原材料を優先的に購入するグリーン調達に取り組んできました。2008年には、化学物質をサプライチェーンで管理すべきとする業界の動きに合わせて、アーティクルマネージメント推進協議会(JAMP)※に加入し、管理対象物質とフォーマットをJAMP MSDSplusに対応させるべく、ガイドラインの改訂を行いました。

さらに2018年、MSDSplusからchemSHERPA(経済産業省主導で策定された新たな化学物質情報伝達フォーマット)への移行に伴い、再度ガイドラインを改訂しました。現在はこのガイドラインに則りグリーン調達を行っています。今後もサプライチェーンでの化学物質のリスク管理を効果的に実施するため、情報伝達を重視したグリーン調達に積極的に取り組んでいきます。

※アーティクルマネージメント推進協議会(JAMP):
アーティクル(部品や成形品などの別称)が含有する化学物質などの情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達するための具体的なしくみをつくり普及させることを目的として、2006年9月に業界横断の活動推進主体として発足しました。JSRはJAMPへの参加を通じて、その理念の実現に資する活動を推進します。

(2)グリーン購入(事務機器・備品類)

JSRは直接製品や製造に関係しない事務機器、備品類を環境に配慮して購入する活動をグリーン購入と定義し、製品原材料、包装材、製造設備の調達に関するグリーン調達と区別しています。

日本国内では、2000年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)が制定されました。さらに2001年の実施にあたって「基本方針」が公表され、その後改定が重ねられています。JSRではこの最新の基本方針を参考にしながら、省エネルギー対策やリサイクル使用率の高い機器・備品類を優先して購入するよう努めています。2021年度は、全事業所での全購入金額73,655(千円)のうち、グリーン購入金額は62,700(千円)となり、グリーン購入率は85%でした。