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廃棄物削減

1.基本的な考え方

気候変動や海洋プラスチック問題など、全地球的課題の解決を目指し、EUの循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行政策をはじめとする、循環型社会を目指す社会の動きに対応するため、製造業であるJSRグループの責任として、リサイクルの推進、廃棄物の最終埋め立て処分量の削減に取組み、循環型社会形成に貢献していきます。

2.JSRグループの産業廃棄物の処理と産業廃棄物発生量推移

(1)廃棄物の処理スキーム

JSRグループの企業活動で発生した①産業廃棄物等は工場内部処理(分別、リサイクル、或いは減量化など)された後に、 ②工場外排出廃棄物として外部処理しています。

※ ③リサイクル処理、減量化処理、 ④最終埋立処理。

廃棄物の処理スキームの図

(2)産業廃棄物発生量等の推移

2021年度のJSRグループの①産業廃棄物発生量は66千トン(前年同等)、リサイクル率は92%でした。2022年4月でエラストマー事業を分社化しましたが、分社化後のバウンダリで試算すると、産業廃棄物発生量は、約20千トン、リサイクル率は93%となります。
産業廃棄物発生量は製品生産量とともに変動しますが、引き続き抑制に努めるとともに、リサイクルを推進し、長期的視点での活動を進めていきます。

①産業廃棄物発生量
産業廃棄物発生量のグラフ
②工場外排出廃棄物量/③外部リサイクル量/④外部最終埋立量
工場外排出廃棄物量/外部リサイクル量/外部最終埋立量のグラフ

3. 産業廃棄物削減の取り組み

(1)JSRの取り組み事例

JSRでは循環型社会の形成を目指し、以下のような取り組みをしてきました。
2022年4月でのエラストマー事業分社化を受け、今後は、「5.今後の取り組みについて」に示す取り組みを進めていきます。

① 産業廃棄物発生量の削減

2018年度に『2030年度に2013年度対比で廃棄物発生量を15%削減』を長期目標として策定し、発生量の削減やリサイクルの推進などに取り組んでいます。
2021年度は、2013年度対比で廃棄物発生量を8.7%削減しました。

② 外部排出廃棄物の削減(廃棄物の工場内リサイクル推進)

セメント原料化するなどのリサイクルを進める以外に、四日市工場内で新リサイクルセンターを2018年度に稼働させ、複合廃棄物の分別・回収を行うことによる取り組みも行っています。

③ 外部最終埋立量の削減

2000年度から外部最終埋め立て量を廃棄物発生量の0.1%以下を目標に取り組み、2003年度以降継続しています。

JSRでの取り組み実績
産業廃棄物発生量推移と2030年度の削減目標
産業廃棄物発生量推移と2030年度の削減目標のグラフ
産業廃棄物排出量-外部リサイクル量-外部最終埋立量
産業廃棄物排出量-外部リサイクル量-外部最終埋立量のグラフ

(2)グループ企業の取り組み事例

グループ企業においても、リサイクル推進などにより廃棄物を削減し、ほとんどの事業所でゼロエミッションを達成しています。一部達成していない事業所においても、従来埋立処理していた廃棄物のリサイクルや再使用を進めるなど、ゼロエミッションへ向けた取り組みを進めています。

廃棄物ゼロ認証取得の取り組み【JSR Micro, Inc.(アメリカ)】
JSR Micro, Inc.は、TRUE(Total Resource Use and Efficiency)の廃棄物ゼロ認証を2023年度に取得することを目指しています。監査による指摘を受け、改善を進めています。
使用済み機器の再利用【JSR Micro N.V.(ベルギー)】
JSR Micro N.V.は、分析機器を定期的に最新バージョンにアップグレードして、可能な限り最高の品質を確保しています。しかし、社内では使用されなくなった分析機器も、他の場面であればまだ活躍できるケースが少なくありません。そこで2021年にはこれらの機器を大学に寄贈し、学生の実習用の実験室で使用してもらうことにしました。

(3)廃プラスチックのリサイクル推進

近年、地球環境問題となっている『海洋プラスチック問題』については、国の「プラスチック資源循環戦略」を受け、廃プラスチック類のさらなるリサイクルを進めるべく、2019年度に『2030年度目標:1)100%リサイクル(熱回収も含む)、2)60%リサイクル(熱回収含まず)』を長期目標として策定しました。社内セミナー、キャラバンなどによる意識改革や日常生活における3R推進、海岸クリーンアップ活動などへの参加による社会貢献などにも努めていきます。また、2018年度に「海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)」に発起人会社として参画しています。

2021年度の廃プラスチック類のリサイクル率(熱回収を含む)は、JSR単体で96%国内グループ企業で91%であり、取り組みを継続していきます。一方、リサイクル率(熱回収を含まず)は、現段階では、目標値に対して低く、目標達成に向け、リサイクル率向上の活動を進めていきます。

JSR単体および国内グループ企業の廃プラスチック類のリサイクル状況
  廃プラスチック類
  排出量
(千トン)
リサイクル量
(千トン)
リサイクル率
(熱回収含む)(%)
リサイクル率
(熱回収含まず)(%)
JSR単体 2.0 1.9 96 34
国内グループ企業 2.5 2.2 91 34

(4)物流における包装材料3R(Reduce, Reuse, Recycle)の推進

JSRは、物流における環境対策として、無駄のない効率的な包装材料・包装容器の運用を目指し、3Rを推進しています。
Reduceとして、外装段ボール箱の軽量化(2層構造→1層化)に取り組んでいます。
Reuseとして、製品容器のリンク使用、中間製品の容器および保管用緩衝材の再利用に取り組んでいます。

また、Recycleとして、原料容器の有価リサイクル、及び包装材料選定時に於ける再資源化可能原料の採用推進に取り組んでいます。
今後も包装材料の3R活動に積極的に取り組み、再資源化・資源の有効活用を進めていきます。

※ リンク使用:再使用するためにお客様より返却・回収すること

4. 有害廃棄物の取り扱い

PCBの取り扱い

JSRでは、高濃度PCB使用電気工作物(変圧器・コンデンサーなど)は、無害化処理が完了しました。また、高濃度PCB使用製品(安定器、汚染物など)、および低濃度PCB廃棄物は、「PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に従い、適切に保管・管理するとともに、処理期限を順守し計画的に無害化処理を実施していきます。

5. 今後の取り組みについて

2021年度に、エラストマー事業分社化を見据え、JSRグループのサステナビリティKPIを検討しました。
廃棄物に関しては、外部最終埋立処分量ゼロを目指すことを重要課題と認識し、『廃棄物の外部最終埋立処分量を廃棄物発生量の0.1%以下にする』ことをKPI目標として定め、リサイクルをこれまで以上に推し進めていくこととしました。

また、海洋プラスチック問題でも注目されている廃プラスチックに関しても、「埋立・単純焼却処理」からより上位のリサイクル処理を目指します(下図)。これについては新たなKPI目標の設定を検討するとともに、リサイクル率の拡大に向けた取り組みを推進していきます。

廃棄物量削減に向けてマテリアルリサイクルを推進
廃棄物量削減に向けてマテリアルリサイクルを推進の図