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労働安全・保安防災

トップメッセージ

代表取締役社長兼COO 川橋 信夫の写真

化学品を取り扱う企業として何よりも大切な、不動のものとすべき考え方が工場の安全・安定操業です。これをなくして会社は成り立たず、存続していくこともできません。

安全は事業継続の基盤であり、会社が成長していくための投資です。安全を経営の重要課題として取り組み、地域社会に安心を提供するとともに、JSRグループの従業員はもちろん協力会社員の皆さんにとっても「働いて幸せだ」と思える会社に育てること、その状態を継続させることが私の責任です。

JSRは2022年4月にエラストマー事業の譲渡を完了しました。現在は2024年度に向けて、事業目標の達成とレジリエントな経営基盤の確立に取り組んでいます。その中でも安全は特に重要な要素であり、今後の事業変革に適合した、新たな環境に耐えうる体制の構築などが求められています。

JSRがサステナブルで社会から信頼される会社であり続けるよう、今後も経営トップとして安全基盤の整備、安全文化の醸成を指揮し、JSRグループの全従業員とともに、さらなる保安力向上と安全に強い人づくりに取り組んでいきます。

ご安全に。

代表取締役社長兼COO
川橋 信夫

1. 安全理念、マネジメントシステムと推進体制

(1)基本的な考え方

当社は、労働災害・設備災害の未然防止に努め、安全・安心な職場環境と心身の健康作りのため、労働安全および保安防災活動を推進しています。

安全の基本理念

「安全」は、我々にとって、何よりも優先すべき大切な価値であり、すべての活動の基盤です。
日々の仕事を終え、無事に帰るという、当たり前の幸せのために、安全・安心な職場作りと心身の健康作りに努めます。

安全の基本方針

① 高い安全行動
安全衛生基本理念が浸透、行動指針が自分事として定着し、主体的安全活動により保安力が向上している。
② 人財・組織力の強化
組織運営に必要な教育訓練プログラムの確立、実行により、高い個人スキルと組織能力、健全な組織風土を維持している。
③ 最適なリスク管理と保安対策
リスク重要度に応じた保安対策が、新技術を活用して効率的・効果的に実行されている。

安全の行動指針

  1. 1.どのような状況下でも、常に安全を意識して行動する。
  2. 2.決められたルールを遵守し、安全行動を率先する。
  3. 3.顕在または潜在するリスクの把握と低減に努め、安全を確保する。
  4. 4.働きやすい職場環境作り、心身の健康増進に努める。
  5. 5.コミュニケーションと創意工夫で全員参画の活動を目指す。

これらの理念などを、従業員がいつでも見られる社内ネットに掲載することで、日々の啓発につなげています。また、認知度向上と意識への定着を図るため、e-learningを活用し、従業員を対象とした教育を定期的に行っています。
グループ企業に関しては、これら理念などに基づいて安全活動の支援を行っています。

(2)安全マネジメントシステム

当社では、安全管理規程に基づき、保安防災と労働安全に関する規程、手順を定めた「安全マネジメントシステム」を事業所ごとの状況に合わせて構成し、運用しています。本マネジメントシステムの有効性を検証するため、社長をトップとした本社環境安全監査のほか、各事業所主体で内部安全監査やパトロール、マネジメントレビューを毎年定期的に行い、継続的な改善につなげています。

また、万が一事故が発生した場合に、適切かつ有効な対処を行い、被害拡大の防止を図るためのマニュアルを定めています。

なお発生した事故については、原因究明、対策及び有効性の検証を行い、再発防止に努めるとともに、これらの情報をグループ内で情報共有することで、事故の未然防止に役立てています。

JSR安全マネジメントシステムのイメージ
JSR安全マネジメントシステムのイメージの図

(3)推進体制

当社は、安全は事業継続の基盤の一つであると認識し、組織が一体となって労働安全・保安防災活動を推進しています。

環境安全品質担当役員を委員長とした環境安全品質委員会を設け、強力な推進体制を構築しています。労働安全・保安防災に関する方針および計画は、本委員会で、社内の環境安全監査やマネジメントレビューの結果などを踏まえて審議・決定しています。

JSR労働安全・保安防災活動 推進体制
JSR労働安全・保安防災活動 推進体制の図

2. 目標と計画

(1)労働安全・保安防災の中期計画

当社は、安全文化(人、風土)と安全基盤(設備、組織、仕組み)両面からの取り組みにより、保安力を向上させることで、当社における安全の確保を目指しています。
中期計画として「JSR労働安全・保安防災活動ロードマップ」を定め、安全文化と安全基盤での目指すべき組織の状態を示し、各事業所の安全活動に展開しています。計画では2022年までに「独立型組織」となることを目指していましたが、従業員を対象としたアンケート結果から現状は「依存型組織」であることがわかっており、計画に遅れが生じています。
今後はエラストマー事業の会社分割に伴い、当社を取り巻く環境が大きく変化することが予想されます。新体制でのリスク評価および対策を確実に推進し、目標達成を目指していきます。

JSR労働安全・保安防災活動ロードマップ
JSR労働安全・保安防災活動ロードマップの図

(2)年度目標と計画

当社は、「JSR労働安全・保安防災活動ロードマップ」の下、前年度の社内安全監査やマネジメントレビューの結果に鑑み、年度ごとに目標および活動計画の重点項目を定めることで、選択と集中により、効率的な労働安全・防災活動を推進しています。
なお、2021年度は目標と重点項目を次のように設定しています。

2021年度 労働安全・保安防災目標と重点項目
  労働安全 保安防災
目標 労働災害※1ゼロ 設備災害※2ゼロ
重点項目
  • 安全意識向上活動
  • グループ企業、協力会社の労働災害低減
  • リスクマネジメントの推進・レベルアップ
  • 保安レベルの向上
  • RBPS※3ベースの安全監査
  • 各法における認定の維持

※1 休業災害以上の労働災害

※2 石災法上の異常現象にあたる設備災害

※3 RBPS(RISK-BASED PERFORMANCE STANDARDS):2007年米国化学プロセス安全センター(CCPS)が発行した化学プラントの実践的安全管理の体系

3. 活動実績

労働安全

2021年度 労働安全 目標 労働災害 ゼロ(休業災害以上)

当社では、石油化学工業協会、日本化学工業協会(順不同)の会員として、労働災害発生件数を各協会へ報告しています。

2021年度の労働災害(休業災害以上)はJSRで1件、グループ企業で4件の計5件発生し、目標未達という結果になりました。過去3年間を振り返ると、JSRと国内グループ企業の休業災害件数は増加傾向であることが分かります。またここに示していませんが、不休災害を含めた結果に関しても同様の傾向を示しています。
労働災害撲滅に向けた施策としては、2020年度に発生した協力会社社員の死亡事故を受けて、JSR、JSRグループ企業の工事安全管理の状況を調査し、改善を開始しました。まだ効果確認はできていませんが、引き続き工事管理体制の強化に努め、工事における安全の確保を推進していきます。活動内容の詳細は、「(2)グループ企業、協力会社の労働災害低減」を参照ください。

今後もJSR、JSRグループ企業および協力会社のすべての方が安全基準を理解、遵守できるように、安全情報の確実な伝達や確認様式の見直しなどを行い工事管理を強化するとともに、JSRグループ全体で連携を深め、労働災害低減を図っていきます。

国内JSRグループの労働災害件数(休業災害以上)
国内JSRグループの労働災害件数(休業災害以上)のグラフ
国内JSRグループ協力会社の労働災害件数(休業災害以上)
国内JSRグループ協力会社の労働災害件数(休業災害以上)のグラフ
海外JSRグループの労働災害件数
海外JSRグループの労働災害件数のグラフ
国内JSR 度数率の推移
国内JSR 度数率の推移のグラフ

(1)安全意識向上活動

当社では、安全意識の向上と不安全行動の撲滅を目的とし、労働安全・保安防災教育(体感教育など)やリスクアセスメント教育、e-learningを通じて安全文化の醸成を図っています。

2021年度の活動実績は、「5. 教育」を参照ください。

(2)グループ企業、協力会社の労働災害低減

グループ企業

当社では、工事管理に関連する事故を防止するため、グループ企業の工事管理システムを対象とする診断を行っています。診断では、リスク摘出、情報伝達等の改善についてアドバイスを行います。2021年度は、エラストミックス、日本カラリング、イーテックの3社で実施しました。
エラストマー事業の会社分割を受け、当社を取り巻く環境が変化することで、グループ企業にも影響が及ぶと予想されます。今後も安全を確保するため、グループ一丸となって活動を推進します。

協力会社

当社では、各事業所において各種作業や施設の工事を行う協力会社と「総合災害防止協議会(以下、災防協)」を設置し、コミュニケーションの充実を図っています。企業を超えて相互に協力しながら労働安全活動を推進することで、当社で働く全ての従業員の安全の確保に努めています。

災防協の安全活動紹介(一部)
名称 内容
会員会社への安全教育 会員会社の安全指導員を対象に労災事例教育、体感教育、危険予知訓練などを行い安全に関する知識・技能・感性の向上を行っています。
定修 特別パトロール 定修工事期間に災防協役員によるパトロールで第三者の目から顕在化・潜在化する不安全要素を確認し、除去に努めています。

保安防災

2021年度 保安防災 目標 設備災害 ゼロ(石災法上の異常現象)

当社では、「⽯油コンビナート等災害防⽌法(以下、石災法)に基づき、設備災害発⽣件数を行政へ報告しています。
2021年の設備災害(石災法上の異常現象)は、JSRで0件、グループ企業で1件(漏洩)と計1件発生しており、目標未達という結果になりました。ただし過去3年間との比較では、低減できていることがわかっています。これは、JSRで継続的に取り組んできた設備の腐食老朽化への対策の効果が出てきているものと考えられます。
本対策による設備管理の強化には一定の効果が認められるため、今後も継続的に推進すると共に、グループ企業への展開も検討していきます。
また、災害には至っていない軽微なトラブルを解析した結果、施工不良といった工事管理に起因することが主な要因であること、当社全体での発生割合についても近年増加傾向にあることが判明しています。
これに関しては、工事を担当していただいている協力会社へのサポート体制の充実を図り工事管理の徹底に努めることで、災害の発生を防止していきたいと考えています。

JSRグループ全体の設備災害件数(石災法上の異常現象)
JSRグループ全体の設備災害件数のグラフ
トラブル原因分類別 件数の推移(軽微なトラブル含む)
トラブル原因分類別 件数の推移(軽微なトラブル含む)のグラフ

(1)リスクマネジメントの推進・レベルアップ

当社は、リスクマネジメントの中で最も重要と考える「リスクアセスメント」について、より効果的な評価の推進を目指しています。
2021年度は、すべての事業所で計画的なリスクアセスメントが行われていることを確認しました。また、プロセス安全のリスク評価の適正化を目的として活用していたHAZOP※1にLOPA※2およびALARP※3の考え方を加えた導入教育を実施し、運用を開始しています。

エラストマー事業の会社分割に伴い、事業に関するリスクの内訳も変化することが予想されますが、引き続きリスクに見合った評価手法を選択・活用してリスクマネジメントを推進していきます。

※1 HAZOP(Hazard and Operability Study):プロセスや操作における危険源を抽出するために用いられる安全性評価手法

※2 LOPA(Layers of Protection Analysis):発生頻度(発生確率)のみを半定量的に評価する手法

※3 ALARP(As Low As Reasonably Practicable):リスク低減努力に要するコストと効果のバランスを考え、コストが正当化される限りリスク低減に努めるという考え方

リスクマネジメントのイメージ
リスクマネジメントのイメージの図

(2)保安レベルの向上

保安防災活動への新技術導入

当社は、経済産業省がプラント保安分野におけるドローンの安全な活用を促していることを受けて、石油化学などのプラント屋外でドローンを安全に運用するための同省ガイドラインを参考に、保安防災活動へのドローン活用を検討しています。
2021年は、ドローンによる製造設備やタンクの上空からの撮影および点検の可能性について検証を進めました。四日市工場では、場内パトロールの効率化を目指し、自動飛行システムの検討を開始しました。

なお当ドローンの運用検討は エラストマー事業の会社分割をうけ、2022年4月からENEOSマテリアル社へ継承しています。

ドローン飛行試験の様子の写真
ドローン飛行試験の様子

(3)RBPSベースの安全監査

JSRは、社長を監査チームのトップとした工場・研究所への本社環境安全監査を、毎年、定期的に実施しています。2015年度に、これを被監査部門が抱える課題の共有と議論を行うスタイルに変更しました。トップと従業員が対話する機会を設けることで、経営と現場の双方の想いを共有し、環境・安全活動の活性化を図っています。
2021年度も前年度同様に、JSRの全事業所(四日市工場、千葉工場、鹿島工場、筑波研究所)を監査対象としました。新型コロナウイルスの感染が拡大していた状況を踏まえ、前年に引き続きWEBで監査を実施し、現場視察は見送っています。監査では、重点ポイントを設定しRBPS(リスクに基づくプロセス安全)をベースに各事業所の状況を確認しました。重要ポイント別の意見・要望事項件数は、次の通りです。

重要ポイント別 意見・要望事項の件数
事業所名 重要ポイント項目
危険認識 工事管理 リスク管理 PDCA
四日市 1 3 5 0
千葉 0 1 4 0
鹿島 0 3 6 1
筑波 0 0 2 0
合計 1 7 17 1

いずれの事業所も「リスク管理」に関係する意見・改善要望、コメントが最も多い結果となりました。これは、リスク評価方法見直しの影響と考えています。今後はさらに、「(1)リスクマネジメントの推進・レベルアップ」で前述した通り、会社分割の影響で事業に関するリスクの内訳も変化することが予想されます。各事業所やグループ企業とコミュニケーションを密にとるとともに、今後の安全監査でも、引き続き「リスク管理」について注視し、変化への対応について検討を進めていきます。

川橋社長との対話会の様子(本社/筑波事業所)の写真
川橋社長との対話会の様子(本社/筑波事業所)
監査の様子 (左:千葉工場 右:鹿島工場)の写真
監査の様子(左:千葉工場 右:鹿島工場)

(4)各法における認定の維持

2021年度は千葉工場にて高圧ガス認定を更新しました。
またエラストマー事業の会社分割に伴い、「高圧ガス保安法 認定(完成・保安)検査実施者」、「消防法 危険物施設の変更工事に係る認定事業所」、「労働安全衛生法 第一種圧力容器運転時検査、ボイラー等の解放検査周期認定所」の認定が承継、変更されます。JSR四日市工場「消防法 危険物施設の変更工事に係る認定事業所」に関しては、すでに承継を完了しています。
(認定更新年月日 2022年4月)

その他活動

(1)安全文化の自己診断

当社では、安全を支えるのは安全文化(安全を最優先する文化を醸成する仕組み)と安全基盤(安全確保のための仕組み)であると考えています。すなわち、安全基盤を確保するだけでなく、これを活性化するために、安全文化を醸成することも確実に必要であると認識しています。

安全文化の醸成度を定期的にモニタリングするためのメトリクスとして、⾃⼰診断のアンケートを作成し活⽤しています。このアンケートは中期経営計画期間ごとに実施しており、前回のアンケート結果では安全に関する価値観の違い(事業所間、管理者と現場、個々の意識)に課題があるとわかったことから、教育を通して安全に関する価値観の浸透を図っています。

一方で、エラストマー事業を譲渡した影響で、人財の構成などにも大きな変化が生じています。この課題に適切に対応するため、各事業所やグループ企業でのヒアリングを行って会社分割後の変化を把握し、それに合った対策を講じていく予定です。

安全の考え方のイメージ
安全の考え方のイメージの図

(2)安全基盤の整備活動

当社では、安全管理規程に基づき、保安防災と労働安全に関する規程、手順を定めており、それぞれマニュアルを策定して、法規制などにより要求される事項へ抜かりなく対応できるようにしています。これらマニュアルは、エラストマー事業の会社分割後も、問題なく運用できることを確認しています。
ただし、事業活動に伴う重大事故、災害、不祥事などの緊急事態が発生した際に、ステークホルダーを守り被害を最小限に抑えるために活用する「危機管理マニュアル」は改訂が必要となったため、見直しを実施しています。
見直し対象となった事業所に内容を優先的に周知し、訓練での有効性検証を進めています。また、一部の事業所では2022年3月に訓練を実施し、見直し後のマニュアルに重大な欠陥がないことを確認しました。引き続き有効性の検証を進め、マニュアルが効果的に機能するよう努めます。

(3)甚大自然災害への対応

当社では以前から、大規模地震対策として、耐震性能診断結果をもとに工場内の高圧ガス設備を重点対象として進めてきました。現在、すべての事業所に緊急地震速報システムを設置しています。
また昨今は、地震以外でも激甚災害に至るような重大かつ局所的な自然災害(水害、強風、台風、津波)が多発するケースが増えていることから、各事業所の状況に合わせて防災対策の見直しを進めています。
また、それぞれの重大な自然災害の定義および連絡ルートを決定することで、重大な自然災害が襲来した地域に該当するJSRグループの状況を迅速に入手できる体制を整備しています。なお、2021年10月7日の関東地区(最大震度5強)および2022年3月16日の福島県沖(最大震度6強)の地震発生時には、震源地近傍に位置する事業所について人的、設備的損傷がなかったことを確認しています。

(4)安全への投資

当社は、労働災害防止や設備の老朽化対策など、安全に対して継続的な投資を行っています。安全設備への投資額については、「環境」>汚染予防に向けた取り組み「5. 環境・安全設備投資」をご参照ください。

4. 遵法管理

(1)遵法体制

当社では、法令ごとに統括部門、業務執行部門などを定め、保安防災及び労働安全に関して適用される法律・規制・条例および工場で定める基準を特定しています。また、法改正に確実に対応するため、法改正監視サービスを活用し、ヌケ・モレの防止に努めるとともに、加盟団体や自治体等から国の通達や改正動向の情報を積極的に入手しています。得られた情報は情報共有の手順に則り、従業員への周知を行っています。

(2)遵法状況

2021年度は労働安全、保安防災にかかわる法律に関して、法令違反がないことを確認しています。

5. 教育

(1)労働安全、保安防災教育

当社では、事業所の職場ごとにOJT教育を実施するほか、自社所有の研修センターにおいて技能教育やミニチュアプラント研修などの体感・実技講習を実施し、保安管理に関する知識・技能・感性の向上を図っています。なかでも作業手順の教育には、VR(Virtual Reality)を使用した仮想空間での体感教育を取り入れており、現実では体験できない「怖さ」の体感を通じて、安全意識の向上と不安全行動の撲滅を図っています。
また、労働安全衛生法に基づく法定教育のほかに、各職群における階層別教育で労働安全・保安防災に関係する教育を段階的に行っています。これらの教育に関しては会議を定期的に開催し、事業所のトップ層の意見だけでなく、現場からの意見や受講後の受講者・講師へのアンケート結果を元に、研修内容や進め方を継続的に見直しています。

2021年度は、工場共通技能教育を22回開催し、512名(JSR454名、グループ企業 58名)が受講、総受講時間は7,494時間となりました。また、研修センターでのミニチュアプラント研修を5回開催し、49名(JSR 49名)が受講、総受講時間は135時間となりました。

VR体感教育の様子の写真
VR体感教育の様子
VR画面の例の写真
VR画面の例

(2)リスクアセスメント教育

リスク評価の精度向上に向けて、リスクアセスメント教育を実施しています。また、リスクシナリオ教育を通してHAZOPリーダーを育成し、改善に向けた活動を継続的に推進できる体制を整えています。

2021年度は、プロセスハザードシナリオ作成教育を2回開催し、19名(JSR 17名、グループ企業 2名)が受講、総受講時間は285時間となりました。

(3)e-learningによる安全文化の醸成

2021年度は、安全文化の醸成を推進することを目的に「安全の基本理念と安全の基本⽅針」にフォーカスし、JSR全従業員を対象にしたe-learningを実施しました。アンケートシステムに関係して受講できなかった従業員がいたため、受講率は98.4%に留まりましたが、受講者全員から理解が得られたことを確認しています。

今後は更なる浸透を図るため、海外グループ企業も含めて、グローバルに展開していく予定です。

6. 社内外とのコミュニケーション

(1)社内コミュニケーション(JSRグループ全体)

安全祈念式典および安全衛生活動フォーラム

当社は、安全はすべてのステークホルダーの暮らしにつながるものであり、企業にとっても経営の基盤となる課題と捉えて、「設備災害ゼロ」・「休業災害ゼロ」を目標に掲げて取り組んできました。しかし、2014年7月23日、JSR四日市工場で作業中の社員の死亡事故が発生しました。また、2020年5月14日には同じ職場で働く協力会社員の死亡事故が発生しました。これらの重大労働災害事故から学んだ教訓を風化させず、事故ゼロを目指すとの誓いと、尊い人命を守るために強固な安全文化を将来にわたって発展させるとの約束を込めて、安全モニュメントを四日市工場の本館前に設置し、毎年同時期に安全式典と各事業所の安全活動事例の発表会を実施しています。

2021年度はコロナ禍の中、社内ネット上でのライブ方式で、7月20日に安全祈念式典と安全衛生活動フォーラムを開催しました。安全祈念式典では、高橋執行役員による訓示を本社から、また四日市工場長他2名による安全の誓いの唱和を四日市工場から発信しました。また安全衛生活動フォーラムでは、JSRおよび国内外のグループ企業からノミネートされた安全活動事例のうち、厳選な審査を経て選定した好事例の発表を各事業所から行い、川橋社長の講評を本社から配信しました。
ライブ放映形式をとったことで、会場に出られないJSR及びJSRグループ企業の従業員が接続でき、例年よりも多くの参加を得ることができました。これにより、多くの方に「安全への想い」を直接伝えることができました。
ライブ放映は録画し社内ネット上に公開することで、当日参加できなかった従業員も見られるようにしています。

なお、2022年のエラストマー事業譲渡に伴い、今後の安全式典は(株)ENEOSマテリアルが継承していくことになりました。JSRでは同じ想いをつないでいくため、新たな「安全の日」の制定を検討しています。

安全祈念式典、安全衛生活動フォーラム WEBサイトの様子

VR体感教育の様子の写真
※左から佐伯四日市工場長、阪製造第一部第一課課長、同課第二係松井氏
訓話を述べる高橋執行役員
訓話を述べる高橋執行役員の写真
講評を述べる川橋社長
講評を述べる川橋社長の写真
安全衛生活動フォーラム発表テーマ
発表グループ テーマ名
JSR四日市工場
製造部
Unit BaseやTEAMSを活用した安全活動
JSR四日市工場
研究センター
IoTセンサーによるスマート点検システムの構築
JSR四日市工場
環境保安部
保安防災業務のワークスタイルイノベーション活動
JSRクレイトンエラストマー
製造課
さらなる安全文化醸成に向けた課題と対策

(2)社外コミュニケーション(地域・社会)

当社は、日本化学工業協会、石油化学工業協会、安全工学会および保安力向上センターに会員として所属しています。下記のような安全活動やレスポンシブル・ケアを通して、地域・社会や同業他社とのコミュニケーションを図り、国内外の情報交換を図っています。

  • 管轄消防および近隣企業合同の防災訓練の開催または参加
  • 近隣企業との共同防災組織への参加
  • 地域の災害防止協議会への参加
  • レスポンシブル・ケア地域対話会への参加
  • 社外からのCSR調査等への対応

また、国内・海外の各事業所においても積極的に地域とコミュニケーションし、相互の防災、安全に関する意識や技術の向上を図っています。