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人財育成

1. 組織・人事

(1)基本方針

私たちJSRグループは、従業員への責任を経営方針の中に明記しています。

  • 社員一人ひとりは公平な基準に基づき評価されます。
  • 社員には常に挑戦する場を提供し続けます。
  • 社員にはお互いの人格と多様性を認めあい、共に活躍する場を提供し続けます。

人財育成は企業の持続的かつ長期的発展のための最重要課題であるとの認識の下に取り組みを進めています。

JSRグループでは、以下を組織・人事のありたい姿として策定し、各種施策を推進しています。

  • 「自由」と「規律」の文化が両立し、行動指針「4つのC」の下、上司と部下が共に成長し、全社員が課題を正しく認識、解決でき、組織能力が維持向上できる仕組みの構築と企業文化の醸成がなされている。
  • JSR社員のグローバル化を進めるとともに、グループ・グローバル人事体制を整備し、グループ・グローバルレベルでの人財育成・人財管理を行う。
  • 人財の多様性(国籍、文化、性別、価値観等)が進み、JSRグループ全体で多様性による価値創造を促進している。

JSRグループ行動指針の4C

JSRグループ行動指針の4Cの図
  • Challenge(挑戦):JSRグループ社員一人ひとりはグローバルな視点で、常に挑戦意欲を持ち続け自発的に新しいことに着手し、たとえ失敗してもその経験を活かして次の成果につなげます。
  • Communication(対話):JSRグループ社員一人ひとりは共通の基本的価値観に基づき、グループ・会社の方針、部門の課題を透明性をもって共有し、同じ目標に向かって双方向の対話を重視しながら課題解決に取り組みます。
  • Collaboration(協働):JSRグループ社員一人ひとりは、社内の組織の壁にとらわれない仕事の進め方を常に心がけ協力しあい、また、従来の発想にとらわれず積極的に社外との協働を取り入れて業務を進めます。
  • Cultivation(共育):JSRグループ社員は、上下双方向の対話を重視した人財育成を通じ、上司と部下が共に成長していきます。

(2)行動規範

  • 従業員各人の仕事、役割、貢献度と整合性のとれた公正な人事・処遇を行います。
  • 従業員の多様な個性を尊重し、職場におけるすべての従業員が能力を最大限に発揮できる働きがいのある職場環境の整備に努めます。
  • 個人の人権と人格を尊重し、性別、年齢、国籍、民族、人種、出身、宗教、信条、社会的身分、身体障害、性的指向等を理由として雇用、労働条件で差別を行いません。
  • お互いに宗教や信条を相手に強要しません。
  • 業務上の立場を利用したパワーハラスメントに該当する行為を行いません。また性的意味合いを持つ行為や発言により相手を不快にさせる、いわゆるセクシャルハラスメントに該当する行為を行いません。
  • 法令や企業倫理要綱に違反ないしそのおそれがあることを職制(上司)や社内外のホットラインを通じて通報する従業員がいた場合、通報者の秘密を厳守しその人が不利な処遇を受けないよう保護します。

(3)等級制度

総合職においては、職能資格制度を設け、社員の職能に応じて資格等級を定めると同時に、各資格に定められた職能基準により期待される人財像、能力、処遇の基準を明確化しています。また、上位資格の社員については、与えられた職務(組織としての職責および成果責任)に応じて等級を定める職務等級制度もあわせて運用しています。
また、多様な社員・組織が公平な処遇のもとでパフォーマンスを最大限発揮できる環境や風土をつくり、社員並びに外部人財から選ばれる企業であり続けるために、管理職(経営基幹職)の人事制度を2022年4月から改定し、役割に応じた役割等級を設定しています。

(4)評価制度

職群別・資格等級別に求める能力の具体的な行動特性を定め、発揮された能力を評価する「能力評価制度」と、期初に設定した目標に対する達成度を評価する「目標管理制度」の2つの制度を運用し、能力や成果を公平に評価しています。
このうち能力評価制度では、課題形成力、課題遂行力、組織リード・マネジメント力、創造力、対人対応力、マインドの6つの能力区分において発揮された能力を評価しています。また、職群により行動特性ニーズが異なるため、職群に合わせて6つの能力区分のウエイトを設定しています。

これら評価においては、業務遂行上の目標(職務基準)を明確に設定し、その遂行状況を管理し、その成果を正しく評価するために定期的に上司による業務面接を行っています。これにより、「担当業務の質の向上」および「合理的な処遇」を実現し、日常の業務遂行を通じての「業務能力の計画的育成」を図っています。

評価制度の図

(5)賃金と労働時間に関する基本的な考え方

JSRグループは、各国・地域の定める法令に基づく最低賃金を遵守し、公正な評価に基づいた賃金を従業員に提供しています。また、労働時間については法令遵守はもちろんのこと、長時間労働を招かないよう適切に労務管理を行い、従業員が仕事と生活を両立できるように努めています。

2. 基本的な考え方

求められる人財像

人財育成にあたり、JSRにて目標となる「求められる人財像」を定めています。

[全社員]

  1. (1)各々の担当分野でグローバルレベルでの競争力を有するプロフェッショナル
  2. (2)環境変化に柔軟に対応し、現状維持に甘んじることなくイノベーション・変革を推進する挑戦者
  3. (3)チャレンジ(挑戦)、コミュニケーション(対話)、コラボレーション(協働)、カルチベーション(共育)を重んじ、高い倫理観をもつ個人

[経営基幹職(管理職)]

  1. (4)率先垂範の姿勢で自ら先頭に立ちつつも、部下に仕事と責任を任せ、組織運営と人財育成を常に意識した指導者
  2. (5)効率的な組織目標達成をMANAGEしつつ、変革をも主導するリーダー

人財育成方針

会社の中長期経営目標との整合性のとれた人財を育成し、社員個々人の能力を高め、それを最大限に発揮させるために、以下の項目を人財育成方針としています。

  1. (1)社員の『自分を成長させたい』という意欲を重視し、自らの能力向上とキャリア形成に主体的に取り組んでいく社員に充分な支援を行う。
  2. (2)社員の能力開発・育成は会社の基盤であり、『仕事を通じた成長』を第一義とし、これを補完するべく全社にわたって長期的視野に立った体系的、計画的、継続的な教育の取り組みを行う。

3. 推進体制

社員教育は、人材開発部 キャリア開発チームが中心となり、人事諸制度やマネジメント層による人事会議などと密接に連携しながら、全社的教育企画の立案、推進を行っています。また部門別教育推進担当や各所属長が、部門別専門教育や部門・課別固有の専門教育の企画、実施運営を行っています。

推進体制の図

4. 次世代経営人財育成

グローバル化やデジタル化の深化とともにリーダーに求められるものは変化していますが、JSRでは、外部の協力を得て「次世代リーダー研修」を2007年から実施し、次世代リーダーの育成に注力しています。研修では、実際の事例を使ったディスカッションを通して経営の定石やデジタル経営の要点などの次世代リーダーに必要なビジネススキルを身に着けます。また、自身が上長の立場になったと想定して、経営視点で何が重要になるかを考え自部門のありたい姿を描く演習を行い、広い視野を養います。本研修の受講経験者には既に役員となっている人財もおり、時代の先を読み自ら変革を起こせるような多様な人財を多数輩出しています。

5. 人財育成に関する仕組みと具体的施策

JSRの人財育成や教育(研修)は、教育方針、教育体系および教育の実施に関し定めた「社員教育要綱」に基づき実施しています。
この「社員教育要綱」において、①OJT ②自己啓発支援 ③OFF-JTをJSRの人財育成における3本柱と位置付けています。
また「人財育成=スキル・知識×モチベーション」との考えに基づき、「スキル・知識」と「モチベーション・意欲」の両面からの人財育成、さらには組織能力の向上を進めています。

JSR人財育成体系 全体像
JSR人財育成体系 全体像の図

① OJT

OJTによる『仕事を通じた成長』を第一義としており、OJT7カ条(トレーナー編)とOJT3カ条(トレーニー編)を策定し、仕事を通じて各職場で人を育てています。

② 自己啓発支援

自己啓発支援を目的として、以下の制度を設けています。

  • 通信教育制度:会社が設定した約250のコースから任意の通信教育講座を修了した場合、補助金として受講料の約50%を会社が支給します。
  • 公資格取得制度:業務上必要な資格を取得した場合、受験料・講習会費用・講習会テキスト代の全額を会社が支給します。
  • 社外講習会支援制度:業務に必要な社外講習会を受講した場合、受講代の一部~全額を会社が支給します。

③ OFF-JT(研修)

OJTを補完すべく、以下のOFF-JT(研修)を実施しています。

階層別教育

全社視点で、職能資格または職制の各階層において、共通して必要とされる知識・技能の修得を図っています。

職群別教育

職群ごとに必要な専門知識・専門スキルを修得し、キャリアの形成と業務効率向上を図っています。

  • 専門スキル教育:技術系は工場共通技能教育、安全教育、品質管理教育、管理技術教育、R&D環境安全教育を、事務系は経営戦略や会計・財務等に関する社外講習を受講しています。
  • 技術伝承特別講座:JSRの過去の事業活動に関して、その歴史を理解し、取り組みの背景、課題設定、課題克服にいたる手法や、問題点、失敗談、成功の秘訣などを社員の間で共有します。JSRの良いDNAを伝承し、今後の各部門での事業活動に役立ててもらっています。
目的別教育

全社的に取り上げるべき課題について、目的を絞り、ニ―ズに焦点をあてて実施しています。

  • 語学研修:グローバル対応のための語学およびマインド醸成のため、短期語学留学(英語・中国語)や、英語・中国語会話クラス実施のサポートを行っています。
  • 海外研究派遣:研究能力の向上と、将来の新事業創出・技術イノベーションに有効なチャレンジングかつ革新的な新技術の修得を目的に、2年以内で任意の海外大学・研究機関で研究を行います。
  • MBA/MOT派遣:通常業務に従事しながら、国内の大学院でMBA・MOTを取得します。
  • ライフマネジメントセミナー:51~52歳のタイミングで、ライフプランの3本柱である①キャリア開発プラン ②生涯経済プラン ③健康管理について学び、退職後の人生について考える機会とします。
OFF-JT(研修)の図

その他

  • 研修内容は国内グループ企業と共通であり、国内グループ会社の従業員もJSR主催研修に参加しています。JSRグループとして人財育成に取り組んでいます。
  • 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、研修目的に応じてオンライン形式で研修を実施しています。
  • ダイバーシティ推進室にて、女性の活躍推進を目的に、女性の部下を持つ管理職向け研修や、社外研修への派遣(NPO法人J-Win)等を行っています。詳細は以下リンク先をご覧ください。
  • DX推進の一環として、次世代経営人財向けにデータサイエンスを取り扱う研修や、若手技術系社員向けではプログラミング教育、若手事務系社員向けでもデータ・リテラシー入門研修などを行っています。

6. 研修制度

JSRでは従業員の能力向上のため、様々な研修制度を設けています。
JSR従業員の研修時間や教育研修費は以下の通りです。
※教育研修費の数値を2022年12月に訂正しました。

  2017 2018 2019 2020 2021
総研修時間(hr) 55,994 49,671 64,334 43,624 34,591
一人当たりの研修時間(hr) 16.8 14.7 18.7 12.4 10.1
教育研修費総額(千円) 87,139 108,189 148,711 115,513 120,628
一人当たりの教育研修費(円) 26,160 32,037 43,130 32,900 35,148

注:本研修時間には人事部門主催で実施した技術・技能研修、階層教育などを集計しているため、各部門独自の教育、ならびに社外教育の時間が含まれていません。また、eラーニングによる教育時間も含まれていません。

主要な研修の実施状況は以下の通りです。

研修 総受講人数
(人)
総受講時間
(hr)
教育研修費
(千円)
実施目的や内容
階層別教育 623 14,567 54,392 JSRの各階層(経営基幹職、主事、新入社員等)に求められる基礎知識の習得、マインド醸成を進めています。合わせて、JSRの求める人財像のうち、各職場でのOJTだけでは手の届きにくい部分、具体的には、「いろいろな考え方の人間がいる中でも、論理的に自分の意見を表明でき、お互いの意見をぶつけあう中から課題抽出・合意形成を主導し、関係者を巻き込みながら、組織を率いて課題解決に当ることができる人財の育成」を目指し、そのための基礎教育として実施しています。
工場共通技能教育 535 9,290 0 主に製造・技術部門等の製造に関わる従業員向けに、安全、環境、設備、製造プロセス等、JSRで製造の業務を行う上で必要な知識を体系的に学ぶ教育を行っています。上記知識を習得する機会だけにとどまらず、専門知識の掘り下げと、関係知識の拡大といった「T字型の人財育成」も目的の1つとしています。
ミニチュアプラント研修、安全教育 66 390 0 四日市地区において、ミニチュアプラントを用いた体感・実技講習を行い、保安管理に関する知識・技能・感性の向上を図っています。合わせて教育の体系図を見直し、安全教育に関するスキルマップを整理し、安全教育カリキュラムの整備を進めています。
品質管理教育 319 3,026 0 品質管理の基礎的な考え方に関する講義や、社内データを用いた演習等を通じて、実践的な品質管理手法を習得します。またデータ解析スキルの向上や実務における統計的品質管理の実践を目的に、統計ソフトを用いた統計的手法の基礎や、ゲージ分析、管理図法、工程能力分析等の教育を行っています。

注:工場共通技能教育、ミニチュアプラント研修・安全教育、品質管理教育のほとんどは、社内講師もしくはOB講師が実施しています。この社内・OB講師向けに、インストラクション技術の向上を図るためのインストラクター研修を実施しています。

従業員に対し継続的な教育支援を提供できる環境の整備を目的に、本社・四日市地区に研修センターを設立しています。これらを活用して「製造現場の技能継承」「社員教育プログラムの充実」に取り組み、当社の強みである「技術」の向上と「人財」の育成に注力しています。

四日市地区研修センターの写真
四日市地区研修センター
四日市地区研修センター内ミニチュアプラントの写真
四日市地区研修センター内ミニチュアプラント
本社地区研修センター「JSR六本木倶楽部」の写真
本社地区研修センター「JSR六本木倶楽部」

また国内グループ企業では以下のようなオリジナルの教育やシンポジウムを行っています。

テクノUMG株式会社:米国短期留学研修

海外グローバル事業展開を支える人財育成のため、アメリカの語学学校で3か月間の語学研修を受けながら、現地販売法人で会社の運営管理の仕組みやオペレーションなども学べる研修です。

株式会社医学生物学研究所:高遠・分子細胞生物学シンポジウム

世界のバイオ研究を牽引する研究者と交流できるシンポジウムで、1989年から継続開催し、2021年度は32回目の開催となりました。講演者と参加者の分野も年代も超えた自由な議論は、新たな視点のきっかけやモチベーションへとつながっています。

7. 風土改革活動

JSRは自由と規律をベースにした風土改革活動に取り組んでいます。風土改革活動は、共育活動、OJT推進活動、コミュニケーション改善活動などで構成されています。

「共育活動」は、上司と部下が十分にコミュニケーションを図り、上司は部下に仕事と責任を任せ、部下に考えさせたうえで共に成長を目指す活動です。「OJT推進活動」は研修を通じてOJT実施の心構えや基本的な考え方を従業員に浸透させる活動です。「コミュニケーション改善活動」は定期的な職場懇談会やグループ懇親会の機会をつくる活動です。

8. 自己申告制度

本人が、現在担当する業務の状況や自らの将来像などについて、どう認識しているかを率直に申告し、それに基づく上司との面接を通じて相互の理解を深める自己申告制度を設けています。さらに、賃金評価結果や前年の能力開発結果、本人の自己分析などを踏まえた向こう1年間の能力開発目標を、本人と上司の話し合いに基づいて設定することにより、計画的・効率的な本人の能力開発を行い、本人の自己実現を図るとともに、有効な人財育成につなげています。

9. Career Development Program制度(CDP制度)

各種研修制度とあわせてCDP制度を導入し、次世代のJSRグループを担う人財の成長をサポートしています。CDP制度とは、大学卒の総合職社員を対象とした人財育成のためのローテーション制度です。当社では、ローテーションを人財育成の屋台骨と考え、同制度を1988年に導入しました。以来、改良を重ねながら運用し続けて現在に至ります。

対象となる社員は入社10年目までに、異動により複数の業務を経験します。これにより幅広い人財の育成が可能になるばかりでなく、自分の仕事の前工程・後工程を意識することにより本人の業務効率もアップし、また部門間のコミュニケーション向上にもつながります。キャリア開発という点においても、CDP制度を通して、自らのキャリアを考えるきっかけとしてもらうなど、先々の自律的なキャリア形成の一助としています。

CDPによる異動の検討については、CDP委員会メンバーによるローテーション対象者との個別面談ののち、全体会議で個々のローテーションプランを協議します。CDP委員会は人材開発部が事務局となり、各部門長が委員会メンバーとして運営しています。

10. 表彰制度

従業員のモチベーションを高めるために、各種の表彰制度を導入しています。

  • 例:社長表彰、生産・技術部門表彰、研究開発部門表彰、環境功労表彰、特別表彰、勤続表彰、無災害表彰など

11. 従業員エンゲージメント

JSRグループは、サステナブルな成長を目指し、すべてのステークホルダーにとっての価値を創造して、あらゆる環境変化に適応できるレジリエントな組織を築き上げるため、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを尊重し、すべての従業員個々の可能性を最大限に引き出すことに注力しています。
従業員一人ひとりが健康でエンゲージメントの高い状態を維持できるよう支援すべく、各種の取り組みを続けています。2021年度はさらに、支援内容の充実に向けて初のグローバル従業員エンゲージメント調査を実施しました。

初回は一部を除いたグループ会社を対象とし、回答率は82%でした。当社グループにとって大きな転換時期にある中で、かつ初めての試みでしたが、多くの従業員が関心を持って回答しています。調査後は、この結果から従業員エンゲージメントに影響する因子を解析し、グループ会社や部門ごとに課題の抽出と改善アクションを取り始めています。

今後も定期的に調査を実施し、トップダウンとボトムアップの両アプローチで継続的な改善に取り組むとともに、そのアクションの妥当性を精査し、再び施策に反映していくことを通じて、従業員エンゲージメントの向上に努めます。