環境廃棄物削減
1.基本的な考え方
アジア諸国の廃棄物輸入規制により、国内では廃棄物処理逼迫化の問題が発生しています。一方、グローバルでは、プラスチックごみが海洋に流出あるいは排出されることにより、生態系を含めた海洋環境の悪化などを引き起こし、大きな地球環境問題となっており、循環型社会への要請が強くなっています。
JSRグループは、産業界が進める循環型社会の形成を目指し、廃棄物の発生抑制、廃棄物分別の徹底、リサイクル先の探索などに取り組んでいます。
2.産業廃棄物削減の取り組み
(1)JSR単体
JSRでは、循環型社会の形成を目指し、以下の取り組みをしています。
- 廃棄物発生量については、2018年度に『2030年度に2013年度対比で廃棄物発生量を15%削減』を長期目標として策定し、発生量の削減やリサイクルの推進などに取り組んでいます。
2020年度は、2013年度対比で廃棄物発生量を6.5%削減しました。生産量が減少する一方で、汚泥の処理量が増えた為に、原単位が例年よりも増加しました。
今後も目標達成に向けて、取り組みを継続していきます。 - 廃棄物のリサイクル推進については、セメント原料化するなどのリサイクルを進める以外に、四日市工場内で新リサイクルセンターを2018年度に稼働させ、複合廃棄物の分別・回収を行うことによる取り組みも行っています。
- 近年、地球環境問題となっている『海洋プラスチック問題』については、国の「プラスチック資源循環戦略」を受け、廃プラスチック類のさらなるリサイクルを進めるべく、2019年度に『2030年度目標:1)100%リサイクル(熱回収も含む)、2)60%リサイクル(熱回収含まず)』を長期目標として策定しました。
社内セミナー、キャラバンなどによる意識改革や日常生活における3R推進、海岸クリーンアップ活動などへの参加による社会貢献などにも努めていきます。
また、2018年度に「海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)」に発起人会社として参画しています。 - 外部最終埋立量については、2000年度から『ゼロエミッション』※1を目標に取り組み、2003年度以降継続しています。
※1 ゼロエミッションの当社定義:外部最終埋立量を廃棄物発生量の0.1%以下にする
廃棄物発生量推移と2030年度の削減目標

産業廃棄物処理フロー概念図(2020年度実績 単位:千トン)

産業廃棄物排出量-外部リサイクル量-外部最終埋立量

JSR単体および国内グループ企業における廃プラスチック類のリサイクル状況(2020年度)
2020年度の廃プラスチック類のリサイクル率(熱回収を含む)は、JSR単体で95%、国内グループ企業で84%であり、取り組みを継続していきます。
一方、リサイクル率(熱回収を含まず)は、現段階では、目標値に対して低く、目標達成に向け、リサイクル率向上の活動を進めていきます。
廃プラスチック類 | ||||
---|---|---|---|---|
排出量 (千トン) |
リサイクル量 (千トン) |
リサイクル率 (熱回収も含む) (%) |
リサイクル率 (熱回収含まず) (%) |
|
JSR単体 | 1.1 | 1.0 | 95 | 10 |
国内グループ企業 | 2.7 | 2.3 | 84 | 43 |
(2)物流:包装材料3R(Reduce, Reuse, Recycle)の推進
JSRは、物流における環境対策として、無駄のない効率的な包装材料・包装容器の運用を目指し、3Rを推進しています。
Reduceとして、合成ゴムの包装容器である鋼製ボックスパレットの軽量化に加え、廃棄基準の見直しによる廃棄物量削減、外装段ボール箱の軽量化(2層構造→1層化)に取り組んでいます。
Reuseとして、中間製品用容器の再使用化、お客様と協力してリンク使用包装材料※の破損防止、再利用率向上に取り組んでいます。
また、Recycleとして、包装材料選定時に於ける再資源化可能原料の採用推進に取り組んでいます。
今後も包装材料の3R活動に積極的に取り組み、再資源化・資源の有効活用を進めていきます。
※ リンク使用包装材料:再使用するためにお客様より返却・回収ができる包装材料のこと
(3)PCBの管理
JSRでは、高濃度PCB使用電気工作物(変圧器・コンデンサーなど)は、無害化処理が完了しました。また、高濃度PCB使用製品(安定器、汚染物など)、および低濃度PCB廃棄物は、「PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に従い、適切に保管・管理するとともに、処理期限を順守し計画的に無害化処理を実施していきます。
3.JSRグループの産業廃棄物の推移
2020年度のグローバルの廃棄物発生量は67千トンで前年比4%減、リサイクル率は87%でした。グローバルにおいても、長期的視点での活動を進めていきます。
廃棄物発生量推移

産業廃棄物排出量-外部リサイクル量-外部最終埋立量
