環境気候変動緩和
※ GHG:greenhouse gas
1.基本的な考え方
地球温暖化による環境問題(森林火災、干ばつ、生活水不足、海面上昇、絶滅危機、生態系影響など)は地球規模で発生しており、日本においても、豪雨による水害、真夏日・猛暑日の増加による熱中症などの健康被害、サンゴの白化現象といった生態系への影響などがみられています。
JSRグループは、この問題を重要課題の一つと認識し、低炭素社会の実現に向け、製品を生産・提供する様々な過程において必要なエネルギーの使用量削減など、GHG排出量削減に取り組んでいます。
近年、グローバルでは企業が間接的に排出するサプライチェーンでのGHG排出量(Scope3)を管理し、対外的に開示する動きが強まってきています。JSRグループでは、環境省発行の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に基づき算出・把握しています。
また、日本化学工業協会やTCFDコンソーシアムなどの他団体にも参画し、気候変動に関する活動を推進しています。
2022年2月追記
- 【Scope1】
- 事業者又は家庭が所有又は管理する排出源から発生するGHGの直接排出(燃料の使用(工場・暖房器具・自家用車など))
- 【Scope2】
- 電気、蒸気、熱の使用に伴うGHGの間接排出(購入電気の使用など)
- 【Scope3】
- Scope2を除くその他の間接排出
(事業者:原材料の調達、従業員の出張、廃棄物の処理委託など、家庭:製品の購入、旅行、廃棄物の処理委託など)

2.温室効果ガス(GHG)排出量削減の取り組み
(1)JSR単体
JSRでは、2005年度以降、鹿島工場(鹿島南共同発電)での燃料転換や四日市工場でのコージェネレーション設備、汚泥乾燥設備の導入など、省エネ技術の高度化等に取り組み、2005年度対比で2013年度までに21.6%の大幅削減を実行しました。
2019年度に長期目標となる『2013年度対比で2030年度までに15%削減』を掲げ、省エネ活動に加え、高効率設備の導入、再生可能エネルギーの活用などを通じ、さらなるGHG排出量の削減に取り組んでいます。
2020年度は、省エネ活動に加え、生産量減少の影響もあり、2013年度対比で12.1%削減でした。
TCFD対応として、シナリオ分析による気候変動問題のリスクと機会の特定ならびに中長期的な対応策の策定への取り組みを継続しています。
GHG排出量 kt-CO2

燃料として天然ガスを使用。
石炭および重油焚き蒸気ボイラーや復水蒸気タービン設備と比較し、CO2排出量を削減。

コージェネレーション設備(四日市工場)
総合排水処理施設から排出される含水率の高い汚泥を乾燥して燃料化することで、場内焼却処理する際に、助燃剤(重油)使用量を削減。

汚泥乾燥設備(四日市工場)
(2)本社ビル
東京都では、一定規模(延床面積5,000m2もしくは年間の電力使用量が600万kWh)以上のテナントに対し、「東京都環境確保条例」でCO2排出量削減を義務化しています。
JSRは、当条例において削減を義務化されている対象事業者ではありませんが、自主的にエネルギー削減目標を定めて省エネルギー活動を推進しています。
2020年度は、下記の主な取り組みに加え、在宅勤務対応を実施した結果、電力使用量は基準年平均値を下回り、基準年平均値対比で23.4%の削減となりました。
【電力使用量削減目標】
2009年度、2010年度での電力使用量の平均値(基準年平均値)に対し、8%削減
主な取り組み
- 非使用時の照明やプリンターなどのOA機器類の電源オフ徹底
- 節電と業務効率の両立が可能となる、適切な室温空調管理 など
本社ビル電力使用量の推移

(3)物流:輸送の効率化
輸送における環境対策として、改正省エネ法で定める特定荷主として輸送エネルギー削減への取り組みを行っており、輸送の大型化やトラックから鉄道・船舶へのモーダルシフトを積極的に進め、輸送エネルギー原単位の削減に取り組んでいます。2020年度も、製品・原料の鉄道・船舶輸送化を推進し、その結果、モーダルシフト率は83%と前年度と同様に高い水準を維持することができ、輸送エネルギー原単位を抑制することができました。
※ 表は横にスライドします。
※ トンキロ:[貨物重量(トン)]×[輸送距離(キロ)]
3.JSRグループのGHG排出量およびエネルギー使用量推移
2020年度は省エネ活動などに加え、生産量減少を受け、GHG排出量およびエネルギー使用量も減少しました。(GHG排出量:前年度比 8%減、エネルギー使用量:前年度比 8%減)
TCFD対応としてグローバルでGHG排出量削減に取り組んでいきます。
GHG排出量

エネルギー使用量
