sitemap

コンプライアンス

推進体制

JSRグループでは、コンプライアンス担当役員を委員長とする企業倫理委員会が中心となり、国内外のグループ各社が一体となった企業倫理活動の推進を図っています。「JSRグループ企業倫理要綱」の浸透、「企業倫理意識調査」による企業倫理上の課題の把握と改善、「企業倫理ホットライン」の設置と適切な運用などに取り組んでいます。また、同委員会が、グループ全体の法令遵守への取り組みの推進も担っています。

体制図

方針/基本的な考え方

JSRグループは、ステークホルダーと良好な関係を築き、信頼され、必要とされる企業市民となることを目指しています。 法令を遵守することは当然のこととして、経営方針「ステークホルダーへの責任」を果たすために企業倫理を実践します

指標と目標

JSRグループでは、組織内で発生した法令および企業倫理違反行為もしくはその疑わしい行為を早期に発見・是正し、組織の健全な運営を確保するため、内部通報制度「企業倫理ホットライン」および「取引先企業ホットライン」を導入しています。

2024年度からグローバルでの集計を開始し、2024年度の企業倫理ホットラインへの通報件数は42件となりました。また、2024年度のJSRグループ取引先企業ホットラインへの通報件数は1件でした。

取り組み

1. 企業倫理活動

<企業倫理活動要綱>

JSRグループでは、国内外のグループ各社が一体となって企業倫理活動の推進を図っています。そのために、企業理念体系※を反映した、グローバル共通の具体的なガイドラインとして、「JSRグループ企業倫理要綱」を制定しています。

これは、グループ各社が経営方針「ステークホルダーへの責任」を果たしながら企業活動を展開するために、各社の役員と従業員(社員、嘱託社員、契約社員、パート社員、派遣社員)の一人ひとりが遵守すべき行動規範です。当社グループは、グループ各社の役員・従業員にこの行動規範に反する行為を行うことはさせません。また、当社グループは、役員や従業員がこの行動規範に反する行為を命じられるようなことがあった場合に、当人がその実行を拒んだことで不利益を被るような扱いをしません。

  • 企業理念体系:企業理念、経営方針、行動指針を企業理念体系としています。

<取り組み>

企業倫理活動を、以下の3つの柱で進めています。

(1)JSRグループ企業倫理要綱の周知・教育

JSRグループは、グローバル共通の行動規範として「JSRグループ企業倫理要綱」を制定し、その内容を周知しています。日本語版のほか、英語版、中国語版(簡体字および繁体字)、韓国語版およびタイ語版を発行して、各国のグループ会社の役員と従業員が母国語(もしくはそれに準じる言語)で「JSRグループ企業倫理要綱」を理解しやすい環境を整備しています。

JSRグループ全従業員を対象に企業倫理要綱を題材としたeラーニングを実施しています。国内グループ企業向けは、2024年度はパワーハラスメント防止、品質不正の防止、贈収賄の禁止、利益相反行為の禁止などのテーマ、海外グループ企業向けは、行動規範及び内部通報制度の再周知化を織り込みました。グループ全体での受講率は90%でした。新入社員研修、新任管理職研修などの階層別教育においても企業倫理に関する教育を実施しています。

(2)企業倫理意識調査

JSRグループは、国内外グループ各社の役員・従業員を対象に企業倫理意識調査を毎年行い、企業倫理上の課題の把握と改善に努めています。調査結果は、企業倫理委員会での報告を経て経営会議に報告されます。その後、社内イントラネットに、調査結果の概要とそこから抽出された課題と対策、またそれらについて説明した担当役員のメッセージを掲載し、従業員にフィードバックしています。海外グループ会社においては、現地の文化などを踏まえた方法で、ローカルスタッフを含む従業員の企業倫理や法令遵守の意識強化を図っている例もあります。

(3)ホットライン(内部通報制度)

JSRグループでは、組織内で発生した不正等の法令違反行為や内部規程違反行為といった問題を従業員が職場で解決することが難しい場合に、社内の適切な窓口に報告するための仕組みとして、「JSRグループホットライン」(内部通報制度)を導入しています。通報者の保護を最優先とし、通報内容の秘密は厳格に取り扱うとともに、通報または調査協力を理由とする不利益な取扱い(報復)を一切禁止しています。

ホットラインは、従業員向けに、当社やグループ企業各社の企業倫理委員会を窓口とする「社内ホットライン」、社外の弁護士や専門機関を窓口とする「社外ホットライン」、そして当社グループと取引のある企業・個人が利用できる「取引先企業ホットライン」の3種類を設置しています。いずれの窓口も、匿名・記名のどちらでも通報が可能で、状況に応じて利用者が選択できる体制を整えています。

通報があった場合、社内または社外の受付窓口で内容を整理のうえJSR企業倫理委員会(または各事業所・グループ会社の企業倫理委員会)に共有されます。委員会は、事実の把握と追加情報の取得のため、必要に応じて通報者の同意を得たうえでヒアリングを行い、関係部門に調査・是正対応を指示します。関係部門は調査結果に基づき、是正措置および再発防止策を実施し、その進捗と結果は企業倫理委員会が確認します。最終的な結果は、通報時の窓口(社内または社外)を通じて通報者へ通知します。ホットラインの設置・運用は、企業倫理委員会の委員長および事務局長主導のもと、JSR本社、事業所、グループ各社の企業倫理委員会が連携して推進します。

当該ホットラインの活用を推進するため、社外ホットラインでは、日本語、英語、韓国語、中国語、タイ語を含む16か国語での対応が可能で、海外の事業所も利用しやすい体制を構築しています。その他、社内イントラネットにアクセス先と利用案内を掲載するとともに、ホットラインの利用状況を定期的に更新してお知らせしています。

また、日本国内では、購買取引先に限定せず広く当社グループとの取引のある企業・個人も利用できる「JSRグループ取引先企業ホットライン」を設置しています。本窓口は、取引における法律違反や企業倫理違反もしくは疑わしい行為を早期に発見して解決することを目的としており、お取引の開始時に窓口の案内を行うなど活用促進に取り組んでいます。運営は、従業員向けの社外ホットラインと同じ社外専門機関に委託し、通報の秘密厳守と通報者の不利益となる取り扱い禁止を徹底することで、信頼性の高い運用を実現しています。

(4)公的研究費の管理・監査体制および研究活動における不正行為への対応

JSR株式会社は、文部科学省・厚生労働省制定の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」ならびに経済産業省制定の「公的研究費の不正な使用等の対応に関する指針」および「研究活動の不正行為への対応に関する指針」などに基づき、当社における管理責任体制を定めており、通報窓口を設置しています。具体的には、最高管理者責任をコンプライアンス担当執行役員、統括管理責任者をコンプライアンス部長、コンプライアンス推進責任者・研究倫理教育責任者を業務遂行部署とする体制のもと、公的研究費の適正な運営・管理と研究者による不正行為の事前防止・公正な研究活動を実施しています。

通報窓口

JSR株式会社 企業倫理委員会事務局
〒105-8640 東京都港区東新橋一丁目9番2号 汐留住友ビル 22F

2. 法令遵守

<法令遵守規程>

JSRグループ各社は、法令遵守の体制の基礎となる法令遵守規程を定めています。そのうえで、法令遵守を確実にするため、遵法状況の確認および改善を定期的に実施し、また、法務教育により法令内容の周知・啓発やコンプライアンス意識の浸透を図っています。業務を執行するうえで特に重要な法令については、個別の遵法体制を構築するなど、重点的な対応を行っています。

<取り組み>

(1) 贈収賄防止、不正競争防止への取り組み

JSRグループでは、すべての役員、従業員などが、業務遂行にあたって日本の不正競争防止法、米国の連邦海外腐敗行為防止法(the U.S. Foreign Corrupt Practices Act)、英国の贈収賄防止法(the U.K. Bribery Act)、その他の腐敗防止関連法令を遵守するために必要な事項を定めた、「贈賄防止に関する基本方針」「腐敗防止関連法令の遵守に関する規程」「贈答・接待に関する基準」を制定しています。また、各国の独占禁止法(競争法)を遵守するために必要な事項を定めた、「独占禁止法遵守に関する規則」「米国競争法遵守に関する規則」「EU競争法遵守に関する規則」「韓国公正取引法遵守に関する規則」を制定しています。

また、贈賄防止において重要な代理人などの第三者のデューデリジェンスについては、「代理人等に対するデューデリジェンスガイドライン」を定め、これに従って自己チェックおよび外部のデータベースを利用した調査を行い、贈賄リスクの低減に努めています。

さらに、JSRは、国連「グローバル・コンパクト」のローカル・ネットワークであるグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)腐敗防止分科会に参画しています。当該分科会では専門家を招いた講義や、参加企業間で腐敗防止対策に関する情報交換など、様々な活動を行っています。JSRではこれらの活動を通じて、JSRグループにふさわしい実効性ある腐敗防止対策のあり方を探索・検討し、実施につなげています。
腐敗防止対策は、各国の関連法令遵守というコンプライアンス体制推進の側面が強い一方で、根底においては人権・労働・環境に係るグローバルな社会的課題とも密接に結びついています。引き続き、実効性ある腐敗防止対策を実施するとともに、あるべき姿を探っていきます。

(2)遵法状況の確認/改善

JSRグループでは、法令遵守規程に基づき、業務を執行するうえで重要である法令を全社重要法令として選定し、毎年1回、グループ全体で、業務執行が全社重要法令に適合しているかを自己チェックする遵法確認を実施して、課題が確認された場合には改善を図っています。定期的にJSRグループ内での不適合事例を情報共有することが、法令違反の未然防止と不適合の早期発見および改善に役立っており、コンプライアンス意識の向上にもつながっています。

(3)教育・啓発
コンプライアンス
ハンドブック
  1. コンプライアンスハンドブック

    JSRグループでは、日本法準拠版、韓国法準拠版、中国法準拠版、台湾法準拠版のコンプライアンスハンドブックを発行して、日本・韓国・中国の各国従業員に対して法令遵守ポイントの周知徹底を図っています。これらのコンプライアンスハンドブックは、各国にあるグループ企業だけでなく、当該国の顧客に対して製品の販売やサンプルの提供を行っているなど、ビジネス上で当該国と関わりのある部門やグループ会社にも配布して、各国における法令遵守のポイントを周知徹底しています。

  1. セミナーおよびeラーニング

    遵守すべき法令および関係する社内方針、規程等を周知徹底する目的で、法務教育の一環として、定期的なセミナーの開催、JSRグループ各社の役員と従業員を対象としたeラーニングの実施などを行っています。2024年度に実施した主要なセミナーは以下の通りです。

    • 2024年12月:独占禁止法・腐敗防止関連法令・安全保障貿易管理eラーニング
    • 2025年2月:下請法セミナー
    • 2025年3月:安全保障貿易管理セミナー

    これらのほか、赴任者教育(独占禁止法、腐敗防止関連法令などの教育)など、部門や会社ごとに個別の法務教育も実施しています。

3. 税務への取り組み

JSRグループは、各国・地域の関連法令および規程を遵守することが、企業が果たすべき重要な役割の一つであることを理解し、移転価格税制・タックスヘイブン対策税制含め、各国の法令に則った適正な納税に取り組んでいます。

4. 生命倫理

(1)人を対象とする生命科学・医学系研究に対する取り組み

JSRグループでは、主にライフサイエンス事業に関連して、人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しています。実施にあたっては各国の法令・規制を遵守しています。さらに、このような研究に関係する社員を対象に、生命倫理に関する教育研修を行い、適正な研究の推進に努めています。

各社の倫理審査委員会の委員名簿、規程および議事録要旨は、厚生労働省の研究倫理審査委員会報告システムに登録しています。

(2)動物実験に対する倫理的配慮

化学品や医薬品、医療材料の開発過程において、人体への安全性および有効性を確認するためには、法規制等により動物実験が必要不可欠となります。JSRグループでは、医薬品の開発支援や診断薬等の開発・製造に取り組む中で、各国の法令・規制を遵守した、適正な動物実験の実施に努めています。各社で法令等に準拠した社内規程を定め、動物実験委員会を設置・運営しています。動物実験委員会では、3Rの原則(Replacement:代替法の活用、Reduction:使用数の削減、Refinement:苦痛の軽減)を含む動物福祉、動物倫理および科学的な観点から厳正な審査を行い、適正に動物実験を管理しています。また、動物実験の実施状況については年1回以上自己点検・評価を行い、各種法令や指針に適合していることを確認しています。さらに、JSRグループでは、動物実験代替を可能とする技術の開発にも取り組んでいます。

また、グループ企業のCrown Bioscienceでは、米国、中国の拠点において、国際的な第三者評価機関であるAAALACインターナショナルの認証を取得しています。

(3)遺伝子組換え生物などの取り扱い

JSRグループでは、遺伝子組換え生物や成体幹細胞、ヒト由来試料などを用いて、医薬品開発・製造受託業務や診断薬等の探索研究、開発、製造などを実施しています。これらの試料と関連する応用技術に関して、JSRグループでは、各国の法令・規則を遵守するとともに、倫理面にも配慮しながら適切に取り扱っています。

5. 医療機関等との関係の透明性に関する情報公開

JSRでは、日本医療機器産業連合会の会員企業として、「医療機器業界における医療機関等との透明性ガイドライン」に示された理念および臨床研究法の趣旨と目的を踏まえ、自社指針として「医療機関等との関係の透明性に関する指針」を策定しています。

また、当社の企業活動における医療機関等との関係の透明性の確保および信頼性の向上により、当社の企業活動が、医学・医療工学をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与していること、および高い倫理性を担保したうえで行われていることについて、広く理解を得ることを目的として、当社の事業活動に伴う医療機関などへの資金提供実績の情報を公開しています。
詳しくは以下をご覧ください。