リスクマネジメント
推進体制
JSRグループでは、サステナビリティ推進会議の傘下にリスク管理委員会を設置し、当該委員会が当社グループにおいて顕在化あるいは潜在化している重大なリスクを包括的に管理する体制を取っています。
リスク管理委員会は、重大なリスクの特定を主導するとともに、関連する各委員会または担当各部門が行う、当該リスクへの対応方針の策定およびリスクマネジメント計画の立案・実行を支援することで、当社グループのリスク管理を推進しています。特定された重大リスクについては、対応策の進捗状況をサステナビリティ推進会議および取締役会に報告しています。
また、リスクマネジメントシステムを内部統制システムの一部としており、内部統制システムの執行状況は、逐次、取締役会に報告されています。JSRの経営監査室が、会社法および金融商品取引法で要求されるJSRグループ全体の内部統制の整備・運用状況を継続的に確認・評価し、現存する業務上のリスクが許容レベル以下に保たれるように図っています。さらに、グループ全体の内部統制水準の維持・強化に努め、業務の適正かつ効率的な遂行を確保するために内部監査を実施しています。
方針/基本的な考え方
JSRグループは、重大な危機の発生を未然に防ぐこと、および万一重大な危機が発生した場合に事業活動への影響を最小限に留めることを経営の重要課題と位置づけ、「JSRグループ リスク管理規程」を定め、リスクマネジメントに取り組んでいます。
「JSRグループ リスク管理規程」は、リスクの洗い出しと重要リスクの選定と管理を定めた「リスク管理規程」や平時および有事におけるBCM/BCP*体制についてまとめた「BCM規程」などの現行規程を見直し、2023年11月に制定したものです。
当該規程に基づき、新たなリスクや複雑化するリスクに対しても、グループ全体のリスクを可視化し、グローバルにリスク管理活動を推進していきます。
- * BCM(Business Continuity Management)、BCP(Business Continuity Plan)
企業が大規模災害、爆発・火災、テロ攻撃など企業の存続を危うくするレベルの緊急事態に遭遇した場合において、重要な事業の継続あるいは早期復旧を可能とするため、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための判断基準、行動指針などを取り決めておく計画をBCPといい、そのBCPをPDCAによって継続的に運用、改善していくマネジメントシステムをBCMという
取り組み
1.リスクの洗い出しと重要リスクの選定
JSRグループでは、リスク管理委員会主導のもと、グループ企業を含む国内外全部門において、定期的にリスクの洗い出しを行っています。全部門からのボトムアップによるオペレーション上のリスク洗い出しに加えて、経営層による経営戦略および事業継続の基盤に関わるリスク洗い出しを合わせることで、潜在化している重大なリスクを含めた、包括的なリスク管理に努めています。
洗い出されたリスクは、リスクマップの活用により経営への影響度と発生頻度の観点から区分され、特に事業継続に大きな影響を及ぼす可能性がある重要なリスクを「JSRグループの事業等のリスク」として一覧化し、管理位しています。そのうえで、それぞれの重要なリスクへの対策立案と実行を主導する主管部門を定め、リスク管理委員会が適宜その進捗状況を確認することで、リスク管理を行っています。

JSRグループの事業等のリスクについては下記リンクを参照ください。
2.BCM(事業継続マネジメント)
JSRグループは、「JSRグループ リスク管理規程」にて、平時および有事におけるBCM/BCPの統括組織や運用体制、BCPの発動・解除の基準を定めています。また、危機収束後の事業活動再開については、事業ごとにマニュアルを策定しています。
3.危機発生時の初動対応強化
(1)危機管理訓練の実施
2024年度は、危機発生時のグループ各社における災害対策本部の対応力強化を目的に、JSR国内グループ企業を対象としたBCP訓練を実施しました。訓練には、国内グループ企業5社から20名が参加しました。
本訓練では、大規模地震の発生を想定したシミュレーション形式で行い、発災時に想定される状況に対し、情報収集や対応方針の決定など、取るべき行動を確認しました。参加者は本訓練を通じて、緊急時に適切に対応するため判断基準を事前に決めておくこと、ならびに継続的に緊急時対応マニュアルを改善していくことの重要性を再確認しました。
今後も、グループ各社と連携し、様々な危機を想定した訓練を実施することで、JSRグループの被害低減と事業継続力の向上に取り組みます。
(2)各拠点での防災訓練
JSRグループは、毎年計画的に防災・消火・避難・通報などの訓練を実施しています。国内グループ会社では消防法や石油コンビナート等災害防止法などの法令に基づき訓練を実施し、海外グループ会社では各国・地域の法令や実情に応じて必要な訓練を行っています。
(3)安否確認体制の強化
JSR株式会社では、2009年度より従業員の携帯電話、スマートフォンを利用した安否確認システムを導入し、大規模地震などの災害発生時に従業員の安否を迅速に把握できるようにしています。また、2011年度より国内グループ企業、および家族へも導入範囲を拡大しています。
2024年に発生した石川県能登半島地震や宮崎県日向灘沖地震の際には、本システムを用いて従業員の安否確認を行いました。

