水資源の保全
推進体制
JSRグループは、レスポンシブル・ケアの考え方に基づき、 水資源の保全を重要課題と位置づけ、全社的に取り組むための推進体制を整備しています。この取り組みの中核を担う環境安全品質委員会は、環境安全品質担当役員が委員長を務め、本委員会の決定事項は、CEO兼社長が議長を務めるサステナビリティ推進会議にも報告されます。
さらに、本委員会の決定事項は各事業所に展開され、具体的なRC推進活動を実践しています。活動状況は、本委員会事務局の本社環境安全部門が、定期的に環境安全統括会議や本社環境安全監査などを利用して確認しています。
方針/基本的な考え方
水資源は生物の生存に不可欠な資源であり、グローバルにみると、特に淡水は限りある貴重な資源となっています。また、気候変動を背景に、異常気象による自然災害により水資源が影響を受けていることから、化学製品を製造する企業として、水資源を保全することが私たちの務めと認識しています。
JSRグループは、この水資源を、製造工程における原料、洗浄水、化学物質の除害装置、および冷却水などに使用しています。そのため、水資源の循環利用を製造プロセス内で推進するとともに、工場外へ排水する際には、適宜、浄化処理や水質検査を実施しています。
これらの適切な管理と対策を通じて、水資源の保全に努めています。
指標と目標
JSRグループの水資源使用量は、2024年度は3,862千m3(前年度比2%減)、総排水量は3,634千m3(前年度比2%減)でした。
ますます重要度を増している水資源について、今後も適切な管理に努めていきます。
水に関する各種データについては、ESGデータブックに掲載しています。
取り組み
1.水リスク評価
JSRグループでは、水リスクを評価するツールとして、WRI(世界資源研究所)のAqueduct Water Risk Atlasを使用しています。2022年度に、国内外の生産拠点につき、現在から2040年までの「水ストレス」評価を行い、「水ストレス」が高い地域を特定するとともに、「全体的な水リスク」の現状評価まで進めました。
2023年度は、国内外のすべての拠点まで対象を広げ、再度現在から2040年までの「水ストレス」および「全体的な水リスク」評価を行いました。
水リスクの高い拠点については、さらに詳細な調査を進め、それぞれのリスク低減に向けた対策を進めていきます。
2.JSR Micro N.V. 水リスク低減
ベルギーに拠点を置くJSR Micro N.V.は、水ストレスの高い地域に位置することから、水リスクの低減を重要課題の一つと捉え、以下の取り組みを行っています。
<雨水貯留システムの導入>
2018年に雨水貯留システムを導入しました。雨水を敷地内で活用することで、生産に必要な水の利用を抑制し、効率的な水の利用を実現しています。
<水処理・再利用設備の導入>
2021年から2022年かけて敷地内に水処理・再利用設備を建設しました。(写真参照)
この設備によって、生産過程で発生する使用済みの水を浄化し再利用が可能になり、水の取水量の削減効果が期待されます。
さらに、当該設備導入前に、敷地外への排水輸送・処理工程で発生していたGHGの削減にも貢献しています。
<取水量削減目標の策定>
JSR Micro N.V.は、2023年に策定したサステナビリティ戦略に水の項目を組み込みました。
この戦略に基づき、2030年までに排水処理工程における取水量を2022年比で70%削減する、という目標を設定しました。
上記取り組みを活用し、目標達成に向けて取り組んでいます。

