- 1.地域社会との対話
- 2.社会貢献
- (1)基本的な考え方
- (2)推進体制
- (3)2018年度の取り組み
1.地域社会との対話
JSRグループは工場や研究所の活動、製品およびサービスが地域社会に影響を及ぼしていることを認識し、地域社会との共生を図っています。地域社会との良好な関係を築くべく、意見を取り入れて、取り組みを継続しています。
レスポンシブル・ケア 地域対話会への参加
一般社団法人日本化学工業協会(以下、日化協)RC委員会は、RC活動の一環として、全国で地域対話会を開催し、製造や研究拠点の近隣にお住まいの方々をはじめ、教育関係者、行政、各種団体の方など、各ステークホルダーの方々にご参加いただいています。参加企業の紹介や日頃の安全・環境に対する取り組みを地域の皆さまにわかりやすく説明し、理解と安心を深めていただく一方、地域の皆さまが抱いている不安や疑問点などにお答えしております。2018年度は四日市地区地域対話会に参画しました。
2.社会貢献
(1)基本的な考え方
JSRグループは、これまでも地域活動を中心に各種の社会貢献活動に取り組んできましたが、活動を一層本格化させるための指針として、2009年1月に「社会貢献についての基本的な考え方」を制定しました。私たちはこの指針に沿って取り組みを推進しています。
社会貢献についての基本的な考え方
- ① 企業理念に基づき事業活動を通じて社会に貢献することに加えて、社会の責任ある一員として、社会的要請・社会的課題の解決に積極的に取り組みます。
- ② JSRが事業の基盤をおいている「化学・技術」の知識・技能を活かして、暖かみのある社会貢献活動に持続的に取り組みます。
- ③ 社員一人ひとりが社会との接点を持ち、自発的に社会貢献活動に参加することを積極的に支援します。
また、2010年には「災害義援金拠出基準」を新たに制定し、災害義援金を拠出する際の判断基準を明文化しました。この基準の制定により基準が明確になり、より迅速かつ公正な拠出が可能になりました。
(2)推進体制
社会貢献委員会にて、JSRグループが取り組むべき社会貢献活動を検討し、推進しています。
(3)2018年度の取り組み
2018年度にJSRグループが実施した、主な社会貢献・地域貢献活動を紹介します。
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① 社会福祉
・献血活動への協力
血液は長期保存することができず、また人工的に造ることができません。
医療機関に安定的に血液を供給し、一人でも多くの方が助かることを願い、JSRグループでは、長年に渡って国内および海外拠点で献血活動に積極的に協力しています。・助け合い募金
JSR Micro Korea(韓国)は、清原区役所を通じて地域の恵まれない家庭22戸に社内バザーオークションで集めた募金を渡しました。ひとり親家庭で所得のない家庭や障がいを持つ低所得の独居老人など区役所が選定した家庭に配っていただきました。
・外国コイン募金活動
JSRグループでは、東京地区、四日市地区、筑波地区に募金箱を設置し2009年より、公益財団法人日本ユニセフ協会を通じて世界の子どもたちの支援事業に役立てる外国コイン募金活動を継続して行っています。これらは開発途上国の子どもたちの生命と健康、権利を守るためのユニセフの活動に有効に活用されています。
募金箱(東京地区)
・フードバンクへの寄付
JSRグループ東京地区では、毎年9月の防災の日に合わせ、防災用品・非常食の見直しを行っています。カンパンと水は古いものから順に試食などで差し替えていますが、賞味期限が1カ月以上あれば有効利用できることから、従業員有志から募った試食・試飲用のカンパンと水をフードバンクである認定NPO法人のセカンドハーベスト・ジャパン(2HJ)に寄贈しています。
2HJは、企業や農家、個人から様々な理由で処分されてしまう食品の提供を受け、食べ物に困っている施設や人に届ける活動を行っています。・アルミ缶回収活動への協力
JSR 四日市工場では、2010年10月から四日市市の障がいを持つ子どもたちの自立支援団体、社会福祉法人「あいプロジェクト」のアルミ缶回収活動に協力しています。アルミ缶は、多機能作業所におけるアルミ缶つぶしの作業に役立ち、また、アルミ缶回収は、障がいを持つ子どもたちが社会・人と接する良い機会となり、自立の道にもつながります。今後もこのプロジェクトに協力していきます。
・エコキャップ運動
JSRグループでは、東京地区、四日市地区、JMエナジーにおいて通常はゴミとして焼却してしまうペットボトルのフタを収集し、再資源化業者へ売却することにより得た資金で世界の子供たちにワクチンを届けるエコキャップ運動を継続して実施しています。
PETボトルキャップ回収箱とアルミ缶回収箱(JSR 四日市工場)
・「TABLE FOR TWO(TFT)」プログラム
JSRグループ東京地区、四日市地区において2010年2月より、NPO法人TABLE FOR TWOが運営するTFTプログラムに参加しています。2019年3月末までに約14万食分を寄付しました。
TFTは、開発途上国の子どもたちと食事を分かち合う取り組みです。従業員がTFT指定のヘルシーな食事を購入すると、1食あたり20円が支援先の学校給食1食分として寄付されます。学校給食は子どもたちの空腹を満たすだけではありません。就学率や学業成績の向上、子どもたちの基礎体力向上と病気予防の強化、学校と親とのコミュニティ形成などの効果が期待され、貧困解決のために重要な役割を担っています。
四日市地区では飲料自動販売機を通じた活動(CUP FOR TWO)を継続中です。 -
② 健康・医学
・JSR グローバルな健康問題解決のための寄付
特定非営利活動法人国境なき医師団日本のHIV/エイズ治療などの継続的な医療援助活動や、コレラやマラリアなどの感染症対策活動に賛同し、寄付をしています。
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③ 学術研究
・化学人材育成プログラムへの参加
化学人材育成プログラムは、経済産業省の「化学ビジョン研究会」が2010年4月にまとめた報告書での提言を受け、同年10月に日本化学工業会が創設したもので、日本の化学産業における国際競争力の強化と産業振興の基盤となる若手人材の育成を目的に、化学産業が大学に求める人材ニーズを発信し、これに応える大学専攻とその学生を産業界が支援するプログラムです。当社は本プログラムを通して、優れた取り組みを行っている専攻およびその学生に支援を行っています。
・若手研究者を応援するミニ番組を提供
TBSテレビ/CBCテレビ/BS-TBS ミニ番組「未来の起源」提供を通じて、若手研究者を応援しています。
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④ 教育・社会教育
JSRグループでは、国内外の拠点において生徒・学生への教育活動、インターンシップの受け入れ、職場体験の受け入れを継続して実施しており、次世代の育成や教育機会の創出に貢献しています。
・小学生に理科教育を実施
8月3日、四日市市教育委員会主催「第7回四日市こども科学セミナー」に出展しました。実験を通じて、子供たちに科学への興味・関心を高めてもらうことを目的としています。JSR のブースでは約120 名の子供たちに合成ゴムの凝固実験を体験してもらいました。
また、2018年10月に内部東小学校86名に対し、こどもよっかいちCO2ダイエット作戦として地球温暖化について学ぶ出前講座を行いました。四日市こども科学セミナーの様子
・JSR 鹿島工場 地元中学生に出前授業を実施
2018年11月、神栖市立第三中学校において、2年生129名を対象に当社鹿島工場の従業員が出前授業を行いました。
授業内容は、「凝固剤を用いてのゴム製造体験」「弾むボールと弾まないボール」「割れないプラスチック」の3つの実験を行い、素材の癖と分子の関係をわかりやすく説明しました。鹿島工場従業員による出前授業の様子
・地域産業担い手の技能者育成事業への参画
四日市工場は、近隣にある高校から12名の職場体験を受け入れました。工場見学やミニチュアプラント実習などを通じて、工場での仕事内容や安全対策を学んでもらいました。
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安全体感実習の様子
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ミニチュアプラント実習の様子
・日本大学で従業員が講師を務める
当社千葉工場の技術者が産学連携強化事業※の一環として、日本大学生産工学部にて講義を毎年実施しています。
2018年は9月27日に「ゴムの性質と製造方法の概要、品質保証について」を講義し、約50名の学生に参加頂きました。※ 市原市が推進する「産業界と学校の連携強化事業」
・「女子中高生夏の学校~科学・技術・人との出会い」への支援
JSRは、NPO法人女子中高生理工系キャリアパスプロジェクトが運営する「女子中高生夏の学校」の活動に支援をしています。
女子中高生夏の学校:女子中高生が科学技術にふれ、科学技術の世界で生き生きと活躍する女性たちとつながり、科学技術に関心のある仲間や先輩とともに将来を考えるプログラム。科学研究者・技術者、大学生・大学院生などとの交流を通じて理系進路の魅力を知り、あるいは再認識し、理系に進もうという意志を高めることを目的としています。プログラム後には、参加女子中高生の進路選択、キャリア形成について考えを深めるための支援を実施しています。
・教育機会の創出 想い出のランドセルギフト活動への参加
JSRグループおよびJSR労働組合が協力し、2014年より国際協力NGOジョイセフの「想い出のランドセルギフト」活動に参加しています。使われなくなったランドセルを、アフガニスタンの教育の機会に恵まれない子どもたちに寄贈し、就学に役立てる活動です。子どもたちが学校で学び、読み書きができるようになることで、自分や家族の健康を守る知識や情報を身につけられるようになることを目指しています。2018年度もランドセルと鉛筆やノートなどの文房具を寄贈しました。社員一人ひとりが取り組める社会貢献活動として今後も継続していきます。
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⑤ 文化・芸術
・NPO法人 東北の造形作家を支援する会(SOAT)の支援
JSRはNPO法人SOATの活動を支援しています。
SOATは東日本大震災で被災をされた皆様へ、アートワークショップを通した生きがい作りの支援活動を行っています。その活動の一つとして、被災されたお母さんたちと一緒にワインバッグを製作し、JSRトレーディングのワイン販売会において販売しています。インテリア販売会社アクタスのカーテンの残り生地とテクノUMGの底板を用いた、サステナブルなワインバッグです。なお、収益はすべて製作者に還元されています。製作されたワインバッグ
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⑥ 環境
JSRグループでは国内/海外拠点ともに近隣道路や海岸、河川などの清掃活動を継続して実施しています。
・海岸清掃活動
JSR BST Elastomer(タイ)が「オーシャン・コンサーバンシー」というアメリカの非営利団体が主催する国際海岸クリーンアップ活動(International Coastal Cleanup: ICC)」に昨年に引き続き参加しました。2018年は117名の従業員とその家族が参加し、同じ工業団地に拠点を置く他企業、地元企業、教育機関、コミュニティのボランティアと協力してメーラムプン・ビーチとナムリン・パユン・ビーチを清掃しました。
国際クリーンアップ活動の様子
(JSR BST Elastomer)この活動は毎年9月の第3土曜日に世界中で開催され、各国のビーチ、湖、海、川の清掃を行うものです。世界91ヶ国で総勢約50万人もの参加者が清掃活動を行う、世界で最も大きい海洋保護活動の一つとされています。
JSR Micro(米国)は、2018年4月22日に海岸清掃活動を行いました。
四日市工場は、三重県鳥羽市にある離島、答志島の海岸の清掃活動に参画しました。三重県産業廃棄物対策推進協議会に加盟している企業・団体と三重県の環境行政が参加しています。当社四日市工場は、本協議会で役員企業を務めています。
・山林清掃活動
11月25日、JSR Micro Korea(韓国)はサンダン山城において、山を登りながら清掃をする自然保護活動を実施しました。
山林清掃活動の様子
(JSR Micro Korea) -
⑦ 地域社会の活動、史跡・伝統文化保全
・JSRグループハーモニーフェスタの開催
"四日市地区では近隣にお住いの方々とJSRグループ従業員やその家族との交流の場として「JSRグループハーモニーフェスタ」を毎年開催しています。地元の恒例行事となっており、2018年度は約1,700名が参加しました。会場はスポーツやゲーム、サッカー教室、工作体験など様々な催し物で賑わいました。また、ステージでは近隣学校や福祉施設によるダンスや演奏を披露していただきました。今回は、障がいのある人たちに働く場を提供して自立に向けたサポートを目的としたNPO法人呼夢・フレンズに飲食物を出店いただきました。
JSRグループハーモニーフェスタは、近隣にお住まいの方々とJSRグループとが良好な関係を築く、よい機会となっています。-
くす玉を割って ひらひらNo. キャッチ
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初出店!呼夢フレンズさんのキッチンカー
・大塚戸芸能保存会への寄付
茨城県常総市にある大塚戸芸能保存会は、綱火(つなび)という江戸時代から伝承される民俗芸能の伝承に努めています。綱火とは、あやつり人形と仕掛花火とを結合させた民俗芸能であり、空中に張りめぐらせた綱により花火のついた人形(で木く偶)を操作し、芝居を演じるもので、大塚戸町では、町内の一言主(ひとことぬし)神社の例大祭当日に毎年奉納され、公開されています。エラストミックスはこの保存会へ寄付をし、民俗芸能の伝承に貢献しています。
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⑧ 災害被災地支援
・平成30年豪雨への支援
当社は、平成30年7月西日本豪雨で被災された方々の救援や被災地の復興にお役立ていただくために、義援金を拠出いたしました。被災された皆様の生活が一日も早く平穏に復しますよう、心よりお祈り申し上げます。
・「東北復興応援マルシェ」を開催
2019月2月13日、JSR株式会社の本社にて昨年に引き続き「東北復興応援マルシェ」を開催しました。東日本大震災で被災した東北3県(岩手、宮城、福島)の物産を販売するCSR企画です。東北3県から8つの事業者が出店くださいました。社内外から多くの方が来場し、出店者とコミュニケーションをとりながら買い物を楽しんでいただきました。東日本大震災から約7年経過し、被災地は事業推進段階に移行しつつありますが、未だ約5.2万人※の方が避難生活を送っています。JSRグループは事業活動を通じた社会貢献に加えて、社会の責任ある一員として今後も社会的要請・社会的課題の解決に積極的に取り組みます。
※ 避難者数:復興庁2019年2月27日公表値
協力:平成30年度 復興庁被災者支援コーディネート事業事務局 (株)三菱総合研究所 -
⑨ 従業員のボランティア活動支援
JSRでは、社員一人ひとりが社会との接点を持ち、自発的に社会貢献活動に参加することを積極的に支援しています。社会貢献活動のために休暇が必要な場合は、ボランティア休暇として年間通算5日まで有給休暇を取得できます。