JSRグループは、お客様に安定した品質の製品とサービスを提供し、安心して製品をお使いいただけるよう、品質マネジメントシステムを構築し、品質保証活動に対する取り組みに力を入れています。
- 1.基本的な考え方および推進体制
- (1)方針
- (2)体制・責任者
- 2.品質保証活動
- (1)ISO9001認証取得
- (2)グローバル品質ガイドライン
- (3)品質の作り込み
- (4)品質改善
- (5)品質監査
- (6)品質教育
- 3.今後に向けて
1.基本的な考え方および推進体制
(1)方針
JSRグループでは企業理念「Materials Innovation マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」を制定し、さらに経営方針の中で「顧客満足度の向上の重視」と「顧客満足度の持続的な向上」といった品質に関する基本方針を全社に示しています。お客様のニーズに合った「革新素材」「良い製品」を提供し、より良い社会の実現に貢献していくことは、JSRグループの重要な役割であると考えています。
(2)体制・責任者
JSRグループでは品質方針および品質保証推進計画を策定する組織として、「全社品質方針会議」を設置して、計画に沿った活動を進めています。

2.品質保証活動
(1)ISO9001認証取得
JSRグループでは化学品を中心に様々な分野の製品やサービスをお客様に提供しています。全ての製品やサービスにおいて安定した品質をお客様に継続的にお届けするために、製造・品質の管理基準(ISO9001※1)に基づく管理体制の下、日々の管理を徹底するとともに、さらなる品質向上を目指して努力を続けています。
ISO9001の認証については主たる工場・事業所(関連する事業部や間接部門を含む)で取得しています。それぞれの認証取得事業所では、QA(Quality Assurance)推進会議を持ち、トップとして各工場長や経営層が運営しています。この会議に取り上げられるテーマは、品質レベルの向上活動、品質不良の予防対策、CS活動※2の展開、品質異常の報告などがあり、収集された情報は層別されて同根の問題の再発防止に役立てています。特に力を入れている活動はCS活動であり、顧客のクレーム、あるいはクレームまでは至らなかった品質トラブルを、層別、解析し、その結果をクレーム・トラブル予防に応用し、品質リスクを常に把握・解析することで品質クレーム・トラブルの撲滅に役立てています。再発防止・歯止めを行い、水平展開により品質問題の予防活動に力を入れています。このようにして問題の発見から再発防止策の運用は、PDCAサイクルとして運用されています。
※1 ISO9001:国際標準化機構(ISO)が発行する品質マネジメントシステムの国際規格
※2 CS(Customer Satisfaction)活動:お客様の期待に応えることによって満足してもらい、顧客との関係をより良いものにし、信頼関係を築いてそれを販売につなげる活動
ISO9001認証取得事業所
国内(11社 18事業所) | 認証番号 | 認証取得日 (更新日) |
有効期限 |
---|---|---|---|
JSR(株) | - | - | - |
四日市工場 | JQA-0396 | 1994年2月9日 (2019年2月9日) |
2022年2月8日 |
千葉工場 | JQA-QMA14571 | 2012年5月11日 (2017年9月1日) |
2020年8月31日 |
鹿島工場 | JQA-QMA14580 | 2012年5月18日 (2018年12月8日) |
2021年12月7日 |
日本カラリング(株) | NQA-16100028A | 1996年3月19日 (2017年2月21日) |
2020年3月18日 |
テクノUMG(株) | - | - | - |
四日市工場 | JCQA-0700 | 2000年5月15日 (2018年5月15日) |
2021年5月14日 |
宇部工場 | JCQA-1508 | 1994年7月19日 (2018年7月19日) |
2021年7月18日 |
大竹工場 | JCQA-1508 | 1994年7月19日 (2018年7月19日) |
2021年7月18日 |
日本ブチル(株) | - | - | - |
川崎工場 | 0105 | 1995年11月28日 (2018年1月27日) |
2021年1月26日 |
鹿島工場 | 0105 | 1995年11月28日 (2018年1月27日) |
2021年1月26日 |
JMエナジー(株) | JP15/062714 | 2009年5月29日 (2018年5月29日) |
2021年5月29日 |
JSRライフサイエンス(株) | JP13/062551 | 2010年11月23日 (2018年7月27日) |
2019年11月23日 |
(株)エラストミックス | - | - | - |
四日市工場 | JCQA-1699 | 1997年2月24日 (2018年2月24日) |
2021年2月23日 |
東京工場 | JCQA-1699 | 1997年2月24日 (2018年2月24日) |
2021年2月23日 |
滋賀工場 | JCQA-1699 | 1997年2月24日 (2018年2月24日) |
2021年2月23日 |
JSRロジスティクス&カスタマーセンター(株) | JQA-0396 | 1994年2月9日 (2019年2月9日) |
2022年2月8日 |
ジェイエスアール クレイトン エラストマー(株) | JCQA-0897 | 2001年4月16日 (2019年4月16日) |
2022年4月15日 |
JSRマイクロ九州(株) | JQA-3163 | 1999年3月12日 (2018年1月13日) |
2021年1月12日 |
(株)イーテック | NQA-16050168A | 1998年11月30日 (2019年1月21日) |
2019年11月29日 |
海外(9社 9事業所) | 認証番号 | 認証取得日 (更新日) |
有効期限 |
ELASTOMIX(THAILAND)CO.,LTD.(タイ) | TH11/5778 | 2011年6月17日 (2017年6月17日) |
2020年6月17日 |
JSR Micro Korea Co., Ltd.(韓国) | FM 88265 | 2004年10月11日 (2017年9月18日) |
2019年9月27日 |
JSR Micro, Inc.(米国) | 10305 | 1998年4月17日 (2019年3月18日) |
2022年3月17日 |
JSR Micro N.V.(ベルギー) | BE91/03002 | 2004年10月1日 (2016年10月1日) |
2019年9月30日 |
天津国成橡膠工業有限公司(中国) | 80117002/1 | 2002年9月 (2018年3月14日) |
2021年3月13日 |
錦湖ポリケム(株)(韓国) | 42395-2008-AQ-KOR-RvA | 2008年12月2日 (2017年11月20日) |
2020年11月20日 |
JSR Micro Taiwan Co., Ltd.(台湾) | TW18/00169 | 2007年3月14日 (2018年2月26日) |
2021年2月26日 |
JSR BST Elastomer Co., Ltd.(タイ) | 10102215 | 2014年6月9日 (2018年6月16日) |
2020年6月8日 |
PT.ELASTOMIX INDONESIA(インドネシア) | 2016-1-0181 | 2016年1月 (2018年9月7日) |
2021年9月6日 |
(2)グローバル品質ガイドライン
JSRグループでは、開発・購買・生産・販売ともにグローバル化する中、「Materials Innovation」を実践し続ける上で品質に関する考え方をJSRグループ全体で共有し、その考え方に乖離を生じさせないことが必要と認識しています。そのために、JSRグループが拠りどころとすべき品質管理に関する基本的な考え方・仕組みの共通化(品質管理の考え方の違い・ばらつきをなくす、共通言語化など)を図るための指針を制定しています。
そのグローバル品質ガイドラインには、企画(事業モデルなど)や品質設計のデザインレビュー、委託先管理、試験管理、物流管理、グローバル緊急対応体制などの品質異常対応など、当社の神髄である「ものつくり」において欠かすことのできない品質管理手法を例示し、基本的な考え方・仕組みの共通化を推進しています。また、製品の企画・設計・開発から量産化、お客様対応までのサプライチェーンにおいて、安定した品質の製品やサービスをグローバルに供給し続けていくために、JSRグループの海外生産拠点はもとより、委託先様や取引先様をも含めた品質管理の体制構築にも注力しています。今後もグローバル、かつ広範な分野への事業展開への対応、ならびに、それに伴うサプライチェーンの多様化やお客様のニーズの高度化などへの対応の観点から、グローバル品質保証体制の強化を進めていきます。
(3)品質の作り込み
JSRグループでは、開発・設計、製造、品質保証の各部門で製品特性に応じた品質管理手法を用いて検証・検査を実施し、品質を作り込んでいます。
たとえば、製品品質を管理する手法としてQFD(品質機能展開※3)を使用しています。また、新製品の製造開始時や製造工程の変更・改善を実施する場合には、リスク把握としてFMEA(潜在的故障モード影響解析※4)を使用して不具合事象の発生を予防する検証を実施してから、実作業に入ることにしています。このように、お客様の要求品質に合致しているか、量産段階で品質を維持できるかなど、幾重にも製品に瑕疵が発生しないよう、未然防止の検証を行いながらリスク解析しています。また、製造部門では、SPC(統計的工程管理)などを用いて品質の安定化を図っています。
※3 QFD(Quality Function Deployment):
提供する製品の設計品質を製造工程にも展開し、品質保証を可能とすることを目的とした設計アプローチ方法
※4 FMEA(Failure Mode and Effect Analysis):
故障・不具合の防止を目的とした、潜在的な故障・不具合の体系的な分析方法
(4)品質改善
JSRグループでは、従来からの品質管理(QC)手法に加え、データの統計学的な解析に基づいて製品の不良率を引き下げる品質管理手法である「シックスシグマ手法※5」も加えて品質改善活動の両輪として奨励しており、着実な成果につなげています。また、シックスシグマ手法は来るデジタリゼーションへの備えとしてのデータ・ドリブン思考の風土醸成の基礎ともなっており、社員一人ひとりの意識改革を推し進めています。
※5 シックスシグマ手法:
1980年代にモトローラ(米国)で開発された品質改善手法。ばらつきが発生しているプロセスに着眼し、ばらつきを抑えることにより品質不良の発生を抑止し、品質改善を図る方法
(5)品質監査
製造業であるJSRグループには、顧客の品質要求、コスト要求、そして供給責任を果たす責任があります。これらの責任を果たすため、従来の本社品質監査に変わり2012年度より、工場のQA活動トピックス(クレーム・トラブル推移と対策状況、工程能力向上活動など)の報告や品質改善活動の発表会(シックスシグマ研修、小集団改善活動)、顧客満足度調査結果報告を中心とした経営トップによる品質パフォーマンス監査を毎年実施しています。特に、品質問題の真因は何かを突きとめ学び、より優れた品質・コスト・供給の高いレベルでのバランスを目指すべく、2019年1月~2月、第7回の同監査を当社3工場で実施しました。
その他、品質マネジメントシステムの改善を目的に内部品質監査、外部品質監査なども実施しており、各々の品質監査では顧客満足度の向上を視点に、品質管理活動や品質管理の仕組みの改善に取り組んでいます。

経営トップによる品質パフォーマンス監査の様子
(JSR(株)四日市工場)

品質パフォーマンス監査 最優秀賞表彰
(2019年3月28日 JSR(株)本社にて)
2018年度品質パフォーマンス監査実績
事業所 | 実施日 |
---|---|
四日市工場 | 2019/1/31 |
鹿島工場 | 2019/2/7 |
千葉工場 | 2019/2/19 |
(6)品質教育
JSRグループでは、社員教育の充実にも力を入れており2007年度に3工場に研修センターを新設。教育プログラムを拡充し、品質管理やPLPの教育、QFDセミナー、製品安全に関する研修など、社員の階層別(入社1-3年の社員、入社6-10年の社員、マネージャー昇格前後の社員など)に実施しています。品質レベルの向上・製品事故の予防に向けた教育も当社の重要な活動です。JSRグループは今後も品質管理のレベルアップを図り、お客様の高度なニーズにお応えするために、社員一人ひとりの品質に対する意識改革を推し進め、人材の育成に努めていきます。
3.今後に向けて
「顧客満足度の向上の重視」と「顧客満足の持続的な向上」に向け、JSRグループ全体でビジネスの変化に即した品質マネジメントシステムの最適化と製品やサービスの品質の改善を継続することで、今後もお客様のニーズに合った「革新素材」「良い製品」を提供し、より良い社会の実現に貢献していきます。