人事制度の基本方針
JSRグループでは、以下を組織・人事のありたい姿として策定し、各種施策を推進しています。
「自由」と「規律」の文化が両立し、行動指針「4つのC」の下、上司と部下が共に成長し、全社員が課題を正しく認識、解決でき、組織能力が維持向上できる仕組みの構築と企業文化の醸成がなされている。
JSR本体社員のグローバル化を進めるとともに、グループ・グローバル人事体制を整備し、グループ・グローバルレベルでの人材育成・人材管理を行なう。
人材の多様性(国籍、文化、性別、価値観等)が進み、JSRグループ全体で多様な人材の活躍による相乗効果が生まれている。
行動指針〜4C〜
- Challenge(挑戦)
- JSRグループ社員一人ひとりはグローバルな視点で、常に挑戦意欲を持ち続け自発的に新しいことに着手し、例え失敗してもその経験を活かして次の成果につなげます。
- Communication(対話)
- JSRグループ社員一人ひとりは共通の基本的価値観に基づき、グループ・会社の方針、部門の課題を透明性をもって共有し、同じ目標に向かって双方向の対話を重視しながら課題解決に取り組みます。
- Collaboration(協働)
- JSRグループ社員一人ひとりは、社内の組織の壁にとらわれない仕事の進め方を常に心がけ協力しあい、また、従来の発想にとらわれず積極的に社外との協働を取り入れて業務を進めます。
- Cultivation(共育)
- JSRグループ社員は、上下双方向の対話を重視した人材育成を通じ、上司と部下が共に成長していきます。
多様な人材の採用と登用
JSRグループは、さまざまな事業をグローバルに展開しています。多岐にわたる事業戦略を遂行していくために、多様な人材を活用することが非常に重要であると考えています。
現在、人材の多様化の推進を経営戦略として位置づけ、多様な人材とそれによりもたらされる多様な価値観の尊重、活用、そして個々に焦点を当てたマネジメントの推進に取り組んでいます。
JSR社員に関する基本情報
2011年3月31日現在 | ||||
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男性 | 女性 | 合計 | ||
社員数(名) | 2,748 | 398 | 3,146 | |
採用者数(名) | 新卒*1 | 83 | 13 | 96 |
中途 | 24 | 5 | 29 | |
平均勤続年数(年) | 16.0 | 12.6 | 15.6 | |
*1 2011年4月1日入社者 | ||||
年度 | 2008 | 2009 | 2010 | |
離職率*2(%) | 4.3 | 4.7 | 4.8 | |
*2 入社者3年以内離職率 |
人材の多様化推進
人種、性別などはもとより、経歴、価値観などにおいて、多様な社員を抱えることにより、組織に根づいた同質的な発想や価値観を打ち破り、多様な価値観と斬新な発想、創造的シナジー効果を生みやすい、イノベーションの起こる確率が高い創造的な組織を形成し、企業の競争力を高めることを目標としています。
多様な人材が働く組織を目指すためには、多様な価値観と多様な働き方を受け入れる組織風土が不可欠であり、ワークライフマネジメントの推進と同時に取り組みます。
女性社員の活躍支援
JSRは、女性社員の活躍支援の一環として、一般職から総合職への転換を促進するために転換申請に必要な勤続年数要件を2007年度から大幅に緩和し、意欲のある社員には、積極的に総合職への転換を奨励してきました。
2009年度以降の総合職転換者数は45名となり、女性総合職社員は162名(2011年4月1日現在)と、女性社員の約4割に達しています。
中期経営計画の中では、定性的な目標だけでなく、定量的な目標(最終目標ではなく当面の通過点としての目標)を提示するとともに、経営としての強い決意を示し、全社員に推進への理解と協力を求めていくために、大学卒以上の定期採用者における女性比率と管理職における女性比率について、数値目標を掲げています。
女性社員比率 数値目標
女性社員の採用比率 | 2012年 | 大学卒技術系 15-20% 大学卒事務系 40-50% |
---|---|---|
女性管理職比率 | 2015年 | 5% |
女性社員の一般職から総合職への転換者数
年度 | 2009 | 2010 | 2011 | 合計 |
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人数(名) | 13 | 13 | 19 | 45 |
キャリア再開制度
結婚・出産・介護・配偶者の転勤等の理由でJSRを退職した元社員のJSRでの再就職希望者を登録し、要員発生時に再雇用しています。(2008年4月新設)
年度 | 2008 | 2009 | 2010 |
---|---|---|---|
登録者(名) | 7 | 8 | 8 |
採用実績(名) | 2 | 0 | 4 |
再雇用制度(定年退職後の再雇用)
定年退職した社員を引き続き雇用する制度です。定年退職前の社員に就労継続希望のアンケートを行い、直近の人事評価が一定以上であれば、希望者全員を再雇用しています。
年度 | 2008 | 2009 | 2010 |
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人数(名) | 28 | 36 | 39 |
※昨年度の報告値は、中間集計値を記載しましたので、本レポートにて修正いたしました。 |
障がい者雇用
2010年度の障がい者雇用率は、1.64%となりました(法定雇用率1.8%)。化学工業メーカーであるため、研究所や製造現場では、危険物の取り扱いや回転機器の作業などの危険作業が伴い、障がい者の方々が活躍できる場所が限定されるという課題もありますが、継続して、障がい者の雇用に取り組みます。
年度 | 2008 | 2009 | 2010 |
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雇用率(%) | 1.80 | 1.78 | 1.64 |
外国人人材の活用
JSRグループ連結ベースでの2010年度の外国人社員数は859名(全体比率:16.5%)でした。今後、JSR本体社員のグローバル化推進の一環として、外国人学生の採用を目的とした外国人留学生向け会社説明会への参加や、海外現地法人社員のJSR本体への出向受け入れなどを通じて、雇用拡大・活用に取り組みます。
労働者派遣法への対応
2010年2月8日に職業安定局需給調整事業課が発信した「期間制限を免れるために専門26業務と称した違法派遣への厳正な対応」に対し、JSRグループでは、一般派遣を対象に派遣先・派遣元での業務内容の確認を行い、契約内容に問題がないことを確認しています。
ワークライフマネジメント
社員が仕事のスキル向上だけでなく、仕事以外(社会、地域、家庭、ボランティア、自己研鑽、趣味など)の幅広い領域に参画し、活躍することにより、仕事以外の引き出しをたくさん持ち、社員の充実感や満足感が高まるとともに、仕事にも活かすことができるよう、仕事を含めた人生のあり方をマネジメントする「ワークライフマネジメント」を推進しています。
そのためには、全社員が、自分の時間をしっかり管理して、メリハリある働き方を実践することを目指しています。また、柔軟な働き方を支援する諸制度、出産、育児、介護と仕事との両立支援策も整備しています。
ワークライフマネジメントは、多様な人材が働く組織を目指すという点で、ダイバーシティマネジメントと共通する点があり、多様な価値観と多様な働き方を受け入れる組織風土を目指し、ダイバーシティ推進と同時に取り組みます。
柔軟な働き方の支援・各制度の取得状況
制度 | 概要 | 実績(名) | ||
---|---|---|---|---|
2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | ||
産前・産後休暇制度 | 産前6週間、産後8週間取得することができる。休業開始5日間は、基本賃金の50%を共済会から給付。 | 23 | 14 | 23 |
育児休業制度 | 子供が1才6ヵ月まで休業を取得できる。 | 26 (女26、 男0) |
15 (女15、 男0) |
24 (女19、 男5) |
育児休業者への面談制度 | 育児休業中の社員・会社双方の不安や問題を解消しスムーズな復職ができるよう、社員の希望によって所属長との面談を実施。 | 11 | 12 | 10 |
短時間勤務制度 | 1日2時間まで勤務時間を短縮できる。 対象社員:妊娠中の社員、3歳までの子供を持つ社員、小学校3年生までの子供を持つ共働き社員、家族を介護している社員。 ※介護短時間制度は2009年度開始 |
30 |
40 (育児39、 介護1) |
62 (育児59、 介護3) |
在宅勤務制度 | 1週間に1日、自宅で勤務ができる。 対象社員:妊娠中の社員、共働きで小学校6年生修了前の子供を持つ社員、家族を介護している社員。 ※介護在宅制度は2009年度開始 |
6 |
7 (育児7、 介護0) |
10 (育児9、 介護1) |
育児休業復職支援給付 | 産前・産後休暇または1ヵ月以上の育児休業から復職した社員に、復職後6ヵ月勤務を継続した時点で、1子につき20万円の支援金を給付。 | 9 | 22 | 24 |
ベビーシッター給付 | 共働きの社員が勤務日に利用した子守り費用の半額を補助。 | 3 | 2 | 2 |
介護休暇・休業制度 | 介護休業は1年単位で2回(通算2年まで)取得することができる。家族を介護する場合、介護休暇は通算20日間、介護休業は通算24ヵ月まで取得することができる。 | 4 (休暇3、 休業1) |
3 (休暇3、 休業0) |
4 (休暇4、 休業0) |
社内ネットワークへ アクセス可能なモバイル機器の貸与 |
産前・産後休暇、育児休業、介護休業を取得する社員が希望する場合に、自宅PCからJSRの社内ネットワークにアクセスできるモバイル機器を貸与。 | 4 | 4 | 8 |
ボランティア 休暇制度 (2009年度新設) |
社会貢献活動のため休暇が必要な場合、年間通算5日まで有給休暇を取得できる。 | ― | 2 (取得合計 日数 8日) |
4 (取得合計 日数 7日) |
裁量労働制度 | 研究部門の社員に適用。 | ― | 436 (2010年4月 時点) |
446 (2011年4月 時点) |
フレックスタイム制度 | JSRでは1996年からコアタイムなし。交替勤務以外の社員に適用。 | ― | ― | ― |
看護休暇 制度 |
2009年度より看護の対象を乳幼児から同居家族にまで拡大し、家族の看護、通院、健診、予防接種などでの付き添いのため、通算で年間10日まで休暇を取得できる。 | ― | ― | ― |
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JSRは、2007年8月に厚生労働大臣の認定を受け、次世代認定マーク(愛称:「くるみん」)を取得しました。この認定は、次世代育成支援対策推進法により、企業が子育てをする社員の、仕事と家庭の両立を支援する環境整備を計画・達成し、一定水準を満たす場合に受けることができます。 |
次世代認定マーク「くるみん」 |
ワークライフマネジメントガイドブック
さまざまな職場で、ワークライフマネジメントを実践する社員の事例を紹介した冊子を、会社とJSR労働組合と共同で製作し、全社員に配布しました。これはJSRの推進するワークライフマネジメントの概念を身近な「自分ごと」として考える契機を提供する目的で製作したものです。
両立支援ガイドブック
仕事と育児の両立に役立つ社内・外の各種制度について紹介したガイドブックを配布しています。
心と体の健康
健康体操
一般健康診断、特殊健康診断、生活習慣病検診(いずれも年2回)を実施するとともに、自社スポーツ施設や契約スポーツクラブの提供など、社員の健康増進を支援しています。
JSRは1998年からメンタルヘルス活動に取り組んでいます。社員が希望する場所にカウンセラーが出向きカウンセリングを受けられる外部相談窓口「ヒューマン・フロンティア相談室」があります。2008年度からは生活習慣病予防のためのメタボリック・シンドローム健診と積極的支援が必要な人への個別健康指導を行っています。
社員とのコミュニケーション
従業員満足度調査
2003年より定期的に従業員意識調査を行い、会社と職場への満足度、働くモチベーションの状態などを定点観測し、全社員にフィードバックするとともに、施策の運用や制度設計に反映させています。2010年度には、これまでの調査項目に会社理念、ダイバーシティ、ワークライフマネジメントに関する理解度や浸透度を加え、浸透・推進活動に反映しています。
労働組合に加入する従業員の割合
当社従業員によるJSR労働組合が結成されており、ユニオンショップ協定により、正社員(一般層、出向者含む)の全員が加盟しています。
労働組合との対話
JSR労働組合と、信義誠実の原則に則り、労働協約を締結しています。
労使協議では、社長や各事業の担当役員が、労働組合と経営環境、事業概況、主要な会社施策、労働組合の取り組みについて、意見交換、質疑応答を行うなど、各層、各事業所レベルで労使協議を重ね、職場環境、安全、重要な会社施策、労働組合の取り組みなどについて、相互の理解と信頼を深め、健全な労使関係を維持・強化するよう努めています。
人材育成の取り組み
企業の持続的・長期的発展のための最重要課題であるとの認識のもと、引き続き社員の自立的成長を重視する育成方針に基づき、組織能力強化のための人材育成策を加速させていきます。
特に従来の行動指針に「Cultivation(共育)」を加え、人材育成重視の考えのもと、全員が教えあう、学びあう風土の再構築を進めることで、個人能力・組織能力の向上に取り組みます。また、グローバル対応力の強化も重点項目として推進していきます。
人材育成方針
- 社員の「自分を成長させたい」という意欲を重視し、自らの能力向上およびキャリア形成への主体的な取り組みに対し十分な支援を行う。
- 社員の能力開発・育成は会社の基盤であり、「仕事を通じた成長」を第一義とし、これを補完するべく全社にわたって長期的視野に立った体系的、計画的、継続的な教育の取り組みを行う。
求められる人材像
全社員
- 各々の担当分野でグローバルレベルでの競争力を有するプロフェッショナル
- 環境変化に柔軟に対応し、現状維持に甘んじることなくイノベーション・変革を推進する挑戦者
- チャレンジ(挑戦)・コミュニケーション(対話)・コラボレーション(協働)・カルチベーション(共育)を重んじ、高い倫理観をもつ個人
- 率先垂範の姿勢で自ら先頭に立ちつつも、部下に仕事と責任を任せ、組織運営と人材育成を常に意識した指導者
- 効率的な組織目標達成をMANAGEしつつ、変革をも主導するリーダー
上級職・専任職
具体的施策
- 次世代リーダーの早期育成を図るべく、経営人材育成委員会のもと育成プログラムを継続して実施
- 風土改革の一環としての共育活動の推進
- 人材育成において「スキル・知識」とともに重要となる「モチベーション」をより重視したOJT、Off−JTの実施
- 全管理職へのコーチング研修の計画的実施
- グローバル対応のための語学およびマインド教育の充実(英語インテンシブコース、中国派遣研修、など)
- 技能伝承教育/工場共通技能教育の継続・拡充
- 若年層での専門スキル教育の継続
さまざまな研修制度
JSRでは社員の能力向上のため、さまざまな研修制度を設けています。
研修センターの活用
社員の継続的な教育支援の環境整備を図ることを目的として、各工場地区に設立した研修センターを活用し、「製造現場の技能継承」および「社員教育プログラムの充実」に取り組み、当社の強みである「技術」と「人材」のさらなる向上に注力していきます。
四日市地区研修センター
千葉地区研修センター
鹿島地区研修センター
四日市地区研修センター内ミニチュアプラント