大気環境保全
ボイラー排気対策
硫黄酸化物(SOx)の排出については、自家発電を実施している四日市工場に排煙脱硫装置を設置し削減を図っています。また、窒素酸化物(NOx)の排出削減についても、低NOxバーナーや脱硝装置の導入によって大幅な削減を実施してきました。四日市工場に導入した新設コージェネにより、重油の使用量を削減できたため、2010年度のNOx排出量は減少となりました。引き続き最良の削減技術を採用し、継続的な改善を図っていきます。


PRTR関連
PRTR*1活動の取り組み
PRTR法*2は1999年7月に成立し、2000年3月に施行されたことにより、2001年度分のPRTR実績から報告することが義務づけられました。(社)日本化学工業協会ではPRTRを重要な活動と位置づけ、1995年度からほかの産業界に先駆けて取り組みを開始し、年々、調査対象物質を増やしてきました。JSRもその一員として継続的な調査を行っています。
PRTR法に基づいた2010年度の実績は以下の通りです。なお、PRTR法改正に伴い、今回より対象となる第一種指定化学物質は354→462物質に見直しています。
*1 PRTR:環境汚染物質排出・移動登録
*2 PRTR法:「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」



VOC*7大気排出量削減への取り組み
合成ゴム乾燥排気の燃焼設備(千葉工場)
JSRでは従来より化学物質の大気排出量削減に取り組んできましたが、2004年度に大気汚染防止法が改正されたことに伴い、対象物質をVOC全体に拡大しました。VOCとは、揮発性を有し、大気中で気体状になる有機化合物の総称で、健康への影響が懸念される浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの原因の一つと考えられています。
VOC排出量削減対策として2006年度から2009年度にかけて合成ゴム乾燥排気の燃焼処理設備を3工場で5基設置したことにより、2010年度は2000年度対比約80%削減し、目標を達成しました。今後も、継続して排出量削減に努めていきます。
*7 VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物質)






水質保全
JSRでは、各工場における排水管理を確実に行い水質の維持向上に努め、2009年4月に施行された第6次総量規制の基準を満たしています。今後も水質の確実な監視を継続するとともに、第7次総量規制の動向にも留意してさらなる負荷低減を目指していきます。




土壌・地下水汚染評価
3工場について深井戸(地下水環境基準)および土壌(環境基準主要項目)の定期検査を実施しています。2010年度も継続して土壌、地下水ともに汚染がないことを確認しました。
石綿対策
JSRは、石綿障害予防規則(石綿則)に従い、グループ企業を含めた全施設(社屋・製造・研究開発・福利厚生)に対して石綿を含有した材料が吹きつけられた個所の調査を行いました。その結果判明した工場内の該当個所については、2006年度に撤去工事、囲い込み工事を完了しました。また石綿を含有したガスケット類についても非石綿品への代替検討を進め、生産への安全性が確認されたものから順次代替を実施しています。
PCB管理
分解しにくく、毒性の強い有機化学物質であるPCB(ポリ塩化ビフェニール)は、変圧器やコンデンサー等に使われています。JSRにおいてPCBを使用している電力機器はすでに95%が使用停止され、法に従い厳重に保管・管理されています。また現在使用中の機器については、更新計画に沿って順次代替品に切り替えていく予定です。「PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」により、2016年までにPCB処理を完了することが義務づけられていますが、当社およびグループ企業のPCB(電力機器)については、すでにPCB廃棄物処理施設に登録を済ませています。2010年度は34台の機器を処理施設に移送し、現在までに76台の処理を行いました。

オゾン層破壊物質対策
JSRでは、1994年に四塩化炭素の使用を全廃し、特定フロン使用機器については計画的に代替フロンに切り替えています。2010年度には、千葉工場の特定フロン冷凍機をノンフロン型の臭化リチウム吸収式冷凍機に更新したことにより、JSR製造設備における大型の特定フロン使用機器はなくなりました。