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CSRレポート

SRI指標と銘柄への組み入れ

ステークホルダーとのコミュニケーション 顧客・取引先

顧客・取引先とのかかわりについての考え方

JSRグループの企業理念は、「Materials Innovation―マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」です。
お客様のニーズに合った「革新素材」「良い製品」を提供し、より良い社会の実現に貢献していくことは、JSRグループの最も重要な役割であると考えています。
お客様に安心してお使いいただけるよう、JSRグループでは品質保証活動、製品安全に対する取り組みにも力を入れています。

トピック
授賞式

SCQI賞授賞式 
(写真撮影:Chip Holley)

インテル コーポレーションから
「サプライヤー・コンテニュアス・クオリティ・インプルーブメント(SCQI)賞」を受賞

2015年3月5日、世界的な半導体メーカーであるインテル コーポレーション(米国カリフォルニア州)から、サプライヤーに贈られるもっとも栄誉ある賞であるSCQI賞を受賞しました。7年間で6回目の受賞です。JSRの先端リソグラフィー材料、実装材料およびCMP(化学機械的平坦化)材料と、品質、コスト、供給体制、技術力、顧客サービス、労務・倫理システム、環境持続性等の重点項目における達成水準とが評価されました。

インテル コーポレーションからのコメント

20年間にわたり、JSRはインテルにとって、最先端のリソグラフィ材料を適正な価格で提供してくれる優秀なサプライヤーでありパートナーです。インテルの目指す最先端技術、量産技術、経済性に関するゴールの達成につながる革新的材料やソリューションを我々とともに開発しようとするJSRの前向きな姿勢は、業界でも比類ないものです。今後もJSRが我々インテルの次世代素材の要請に対して、継続的に貢献してくれることを期待しています。

上席副社長 技術製造統括本部 ロジック技術開発部長
ソヘイル・アーミッド氏

トピック
受賞の様子

受賞の様子

ピレリ社から Supplier Awards を受賞しました

2015年4月16日、世界的なタイヤメーカーであるピレリ社より、Supplier Awardsを受賞しました。
本賞は、ピレリ社のサプライヤーである約1万2千社の中から、最も革新的な製品・サービスの供給を実施したサプライヤー9社に贈られました。

顧客・取引先に対する安全確保

品質保証活動

JSRは全工場でISO9001の認証を取得しています(関連する事業部や間接部門を含む)。「RC推進委員会」のもと、品質方針および品質保証推進計画を策定し、グループ企業も対象に含む「品質保証推進会議」および工場ごとの「QA※1推進会議」を設置し、計画に沿った活動を進めています。また、ISO外部監査や各工場の工場長監査に加え、社長もしくは担当役員をトップとする品質監査を各工場に対し定期的に実施しています。

※1 QA:Quality Assurance(品質保証)

品質パフォーマンス監査

品質改善活動発表会の様子

品質改善活動発表会の様子

製造業であるJSRグループには、顧客の品質要求、コスト要求、そして供給責任を果たす責任があります。これらの責任を果たすため、2012年度より品質パフォーマンス監査を毎年行っています。より優れた品質・コスト・供給のバランスを目指すべく、従来からのQC手法にシックスシグマ手法も加えて品質改善活動の両輪として奨励しており、2014年11月縲鰀2015年1月、第3回の同監査を当社3工場において社長をトップとして実施しました。

PLP活動

JSRは1994年に「PLP※2基準」を制定し、製品安全に対する取り組みを強化しました。その後も必要に応じて見直しを行っている「PLP基準」では、製品の設計段階から製造、販売、物流に至るまでの製品事故を未然に防ぐための様々な取り決めが定められています。例えば、新たに市場に出す製品については、製品の設計段階から安全性をチェックし、部門長の承認を得た後で販売するシステムが構築されています。グループ企業においても同様の取り組みを推進中です。
また、製品事故の発生防止のために、お客様とのコミュニケーションを通じて情報の入手に努め、品質管理システムの見直しや評価技術の向上等による製品事故の予防強化を通じ、原料調達から物流までのサプライチェーン全体にわたる品質管理の向上を図っています。

※2 PLP:Product Liability Prevention(製造物責任予防)

顧客・取引先への環境安全情報の提供

JSRでは、危険有害物質に限らず、ポリマーを含むすべての製品についてSDS(安全データシート)を整備し、お客様に環境安全情報を提供しています。
現在のSDSは、すべてJIS Z 7253および労働安全衛生法、PRTR法、毒劇物取扱法に対応しています。さらに、お客様に対して製品に関する正確な内容のSDSを確実に提出することを目的に、SDS電子管理システムを構築し、2002年から運用しています。本システムは利用者管理、化学物質の情報管理、作成支援、発行履歴管理の機能を備えています。JSR製品についての環境安全情報を正確かつ迅速に提供していきます。

輸送時の環境安全の維持

JSRでは、物流業務を社外の物流会社に委託しています。輸送時の環境安全については、物流会社を通じて運転手の安全教育はもとより、緊急時の処置と連絡先を記載したカード(イエローカード)を常時携帯させ、輸送時の環境安全を確保しています。

顧客・取引先への化学物質の安全情報提供

化学物質管理の基本方針

JSRでは、昨今の世界的な化学物質管理の動向にかんがみ、以下の三つの基本方針を定め化学物質管理に取り組んでいます。

  • (1)ハザードベース管理※3に代わり、リスクベース管理※4を目指します。
  • (2)グローバルに統一された様式を用いて、サプライチェーン全体での管理を指向します。
  • (3)製品の安全に万全を期すため、法規制対応に加え自主的取り組みを推進します。

※3 ハザードベース管理:物質の有害性のみを基準とする管理

※4 リスクベース管理:物質の有害性に曝露量を乗じたものを基準とする管理

国内化学品への対応

■ 改正労働安全衛生法への対応

2014年に労働安全衛生法の一部を改正する法律公布に伴い、2015年6月に政令が公布され、SDSの提供が義務付けられている化学物質について2016年6月1日からラベル表示の義務が課せられるとともに事業者によるリスクアセスメントの実施が義務付けられることになりました。この改正により、ラベル表示の対象物質が大幅に増加します。JSRではこれらの改正法令への対応を進めています。

■ GHS

GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals、化学品の分類および表示に関する世界調和システム)は、(1)化学品を危険有害性に応じて分類し、(2)製品の包装容器にラベルで表示し、(3)SDS(安全データシート)に内容を記載し提供することを世界的に統一するしくみです。国内では労働安全衛生法で対象物質含有製品のラベルとSDSについてGHS化が義務づけられており、JSRでは対象物質を含有するすべての製品について危険有害性を分類し、ラベル表示の対応を完了しました。SDSについてはすべての国内製品についてGHS化を完了しました。海外向けにはEU、韓国、台湾、中国など各国で法制化が進められているGHSへの対応を進めています。

輸出化学品への対応

■ 欧州(REACHへの対応)

REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)とは欧州の「化学品の登録、評価、認可および制限」のシステムであり、2007年6月より施行されています。REACHでは既存化学物質、新規化学物質の区別なく、年間1トン以上欧州域内で製造・輸入する化学品は一部例外を除き、安全性試験等のデータをつけて登録することが義務づけられています。欧州における製品の製造・輸入に支障が生じないように登録が必要な物質の有無を定期的に確認しています。

■ 米国

米国の新規化学物質の届出制度は、環境保護庁(EPA)所管の有害物質規制法(TSCA)および関連する連邦規則により定められています。既存化学物質リストに収載されていない物質を米国へ輸出する場合には、法的手続きを実施しています。

■ 韓国

韓国の新規化学物質の届出制度は、環境部所管の有害化学物質管理法および雇用労働部所管の産業安全保健法に定められています。既存化学物質リストに収載されていない物質を韓国へ輸出する場合には、化学物質登録および評価等に関する法律に基づき法的手続きを実施しています。

■ 中国

中国の新規化学物質の届出制度は、国家環境保護局の新規化学物質環境管理弁法に定められています。既存化学物質リストに収載されていない物質を中国へ輸出する場合には、法的手続きを実施しています。

■ 台湾

台湾へ製品を輸出する場合には、毒性化学物質管理令および危険物及有害物通識規則に従って対応しています。台湾では新規化学物質の届出制度が導入されました。JSRでは新たな新規化学物質届出制度に基づき法的手続きを実施しています。

業界および国際的な対応

JSRが所属している一般社団法人日本化学工業協会は、化学工業界の自主的取り組みとして、JIPS※5(Japan Initiative of Product Stewardship)やLRI※6(Long-range Research Initiative)の活動を推進しており、JSRは同協会のワーキンググループへの参加や研究資金の一部負担など、これらの活動に積極的に取り組んでいます。温暖化対策についても、同協会の活動方針に基づき、積極的に活動しています。

2016年3月 一部追記

※5 JIPS(Japan Initiative of Product Stewardship):
国際化学工業協会協議会(ICCA)は、WSSDで決議された2020年目標(2020年までに化学品のリスクを最小化)の達成のため第1回国際化学物質管理会議(ICCM-1)でGPS(Global Product Strategy)の推進を公表しました。日本では日本化学工業協会がGPSを具現化するためJIPS活動を推進しています。そこでは、化学物質の製造・輸入者が、加工・組立・販売業者等の協力のもと化学品のリスク評価を行い、情報を公開してサプライチェーン全体での適切な管理を行います。

※6 LRI(Long-range Research Initiative):
国際化学工業協会協議会(ICCA)の重要課題の一つで、化学物質の環境・安全・健康に与える影響に関する自主的長期的研究計画です。日本化学工業協会では2013年度より新LRIとして次の5分野の問題解決に取り組んでいます。①新規リスク評価手法の開発と評価、②ナノマテリアルを含む新規化学物質の安全性研究、③小児、高齢者、遺伝子疾患などにおける化学物質の影響に関する研究、④生態、環境への影響評価、⑤その他、緊急対応が必要とされる課題。

サプライチェーンマネジメント

原材料に関して(グリーン調達)

JSRは、従来より原材料に関して、環境負荷の少ないものを優先的に購入するグリーン調達に取り組んできました。また、化学物質をサプライチェーンで管理する近年の業界の動きに合わせて、2008年10月にアーティクルマネージメント推進協議会(JAMP)※7に加入し、グリーン調達ガイドライン※8の見直しを行いました。今後ともサプライチェーンでの情報伝達を重視したグリーン調達に積極的に取り組んでいきます。

※7 アーティクルマネージメント推進協議会(JAMP)
アーティクル(部品や成形品などの別称)が含有する化学物質等の情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達するための具体的なしくみをつくり普及させることを目的として、2006年9月に業界横断の活動推進主体として発足しました。JSRはJAMPへの参加を通じて、その理念の実現に資する活動を推進します。

※8 グリーン調達ガイドライン:
JSRはJAMPへの加入に際し、グリーン調達の見直しを行いました。管理対象物質をJAMP MSDSplusの管理対象物質に対応させると同時に、フォーマットもMSDSplusに変更しました。さらにグリーン調達の範囲を従来の原材料から包装材、設備にまで拡げた取り組みを行っています。サプライチェーンでの化学物質のリスク管理を効果的に実施するため、情報伝達を重視したグリーン調達を推進していきます。

事務機器・備品類に関して(グリーン購入)

JSRは直接製品や製造に関係しない事務機器、備品類を環境に配慮して購入する活動をグリーン購入と定義し、製品原材料、包装材、製造設備の調達に関するグリーン調達と区別しています。
2000年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)が制定され、2001年の実施にあたって「基本方針」が公表されました。JSRでは本方針を参考にしながら、省エネルギー対策やリサイクル使用率の高い機器・備品類を優先して購入するよう努めています。2014年度は、全事業所での全購入金額110,292(千円)のうち、グリーン購入金額は102,635(千円)となり、グリーン購入率は93%でした。

CSR調達

JSRエンジニアリング(株)安全協議会での討論の様子

JSRエンジニアリング(株)安全協議会での討論の様子

JSRではサプライチェーンにおけるCSRの実践・推進を目指して、2010年度から「CSR調達」の取り組みを開始しました。原材料サプライヤーの環境の配慮度合と社会的責任の実践度合に関する基準を設けて、サプライチェーン全体での水準向上を図っています。具体的には「購買指針」に基づいて、環境面と社会面についての状況をアンケート調査で把握し、課題がある場合にはその取引先に担当者が直接出向いて、一緒に課題を解決する手法を取っています。
2014年度からは、紛争鉱物の使用の有無を調査項目に追加し、定常的に取引のある原材料サプライヤーの95%を対象に問題ないことを確認しました。
工事部門を担当するグループ企業であるJSRエンジニアリング(株)では、協力会社で構成する安全協議会等において、JSRグループの考え方の周知化と、CSR調達への協力をお願いしています。協力会社の皆様の意識も高まっており、個別の勉強会、ディスカッションを活発に行っています。