ホームCSRCSRレポート2015安全・防災 安全(全般)

CSRレポート

SRI指標と銘柄への組み入れ

安全・防災 安全(全般)

地域および従業員に対する安全への取り組み

事故・災害の撲滅

労働災害(度数率) 労働災害(休業災害)

労働災害(度数率) 労働災害(休業災害)

度数率=(休業災害死傷者数 / 延べ労働時間数)×100万

JSRは、安全に操業を継続するために、設備管理、製造技術、人材育成、環境保全など様々な要素について維持・向上を図ってきました。そして、これらを支える土台といえるものが「安全文化」です。安全文化とは、経営トップから現場の一人ひとりまですべての人が安全を最優先に考慮する組織の気風と言われることがあります。より良い安全文化を構築するために、働くすべての人が「安全は生産に優先する」という理念を共有して、日々の安全活動に取り組み、安全レベルの向上を目指しています。
2014年度は、四日市工場で重大労働災害が発生してしまいました。これまでの安全活動を見直して課題を克服するとともに、経営トップをはじめとするすべての関係者が安全に対する理念を共有し、自然体で安全な行動を実践できる安全文化の再構築を図っていきます。
これらは、労働災害撲滅プロジェクト、安全基盤改革プロジェクトを中心に活動をしています。(詳細はWeb版「安全・防災 重点項目」参照)

各工場では多くの協力会社の方々が作業に従事しており、協力会社と連携して安全衛生活動を推進するために、各工場に総合災害防止協議会(災防協)を設置しています。災防協では、日常の安全衛生にかかわる指導・教育や工事時の合同パトロールをはじめ、協力会社で発生した事故・災害の原因や対策検討など、安全衛生レベル向上のため種々の活動に取り組んでいます。

そのほか、グループ企業を含む安全表彰制度(川崎記念安全賞)を制定しており、全従業員の安全意識の向上を図っています。2014年度は重大労災発生により表彰は中止しました。

労働災害発生件数

労働災害発生件数の推移は下記の通りで、2014年度は1件発生しました。

労働災害発生件数

年度 2010 2011 2012 2013 2014
件数 0 1 0 3 1

設備災害発生実績

設備災害発生件数の推移は下記の通りで、2014年度は2件発生しました。

設備災害発生件数(石油コンビナート等災害防止法に基づき行政へ報告した件数)

年度 2010 2011 2012 2013 2014
件数 0 0 2 2 2

設備災害概要

■ 2012年度

  • ① 鹿島工場イソプレン移送ポンプドレン弁で静電気による小火災
    原因は、噴出帯電静電気によるもので、火災は直ちに消火器で消火し、作業員1名が顔面の一部に軽度の火傷を負いました。
  • ② 四日市工場乳化重合合成ゴムプラント乾燥設備における火災
    原因は、臭気対策用の囲いとして設置したポリカーボネートが経年劣化し、発火したためと推定しています。火災は自衛消防隊と公設消防による消火活動で鎮火し、けが人はありませんでした。

■ 2013年度

  • ① 鹿島工場ブタジエン製造施設における小火災
    原因は、潤滑油の浸みたウエスを熱源に近い場所に仮置きしたことによる自然発火によるもので、火災は直ちに消火器で消火しました。小火災による外部への影響、けが人はありませんでした。
  • ② 四日市工場ロケット燃料中間製品製造施設におけるガス漏洩
    原因は、タンク接続部の気密性を保持するガスケットの締付管理不良によるもので、直ちに公設消防へ連絡するとともに漏洩防止の処置を行いました。漏洩による外部への影響、けが人はありませんでした。

■ 2014年度

  • ① 四日市工場汚泥乾燥装置における火災
    原因は、バグフィルタ−内部および濾布に付着した乾燥汚泥が蓄熱により、発火したものと推定しています。火災は自衛消防隊と公設消防による消火活動で鎮火し、けが人はありませんでした。
  • ② 鹿島工場ブタジエン製造施設におけるガス漏洩
    原因は、外部腐食劣化による破孔からの漏洩によるもので、直ちに公設消防へ連絡するとともに漏洩防止の処置を行いました。漏洩による外部への影響、けが人はありませんでした。

認定事業所(者)の認定取得状況

JSRは、レスポンシブル・ケアのため「保安関係法規に基づく認定事業所(者)」の取得を積極的に進めています。認定を取得することで保安にかかわるマネジメントシステムが構築され、責任と権限が明確化し、安全技術の向上などの効果があります。JSRでは、すべての工場において、高圧ガス保安法、消防法、労働安全衛生法の認定事業所(者)の取得を完了していましたが、重大労災が発生したため、四日市工場の第一種圧力容器の開放検査周期(2年)認定取り消しの通知を受けました。2017年に再度認定取得を目指します。今後も認証・認定の維持を図り、環境・安全の継続的改善に努めていきます。

リスクコミュニケーションへの取り組み

JSRは、レスポンシブル・ケアの一環で1998年からレスポンシブル・ケアレポートを発行し、率先して環境負荷値、環境苦情や設備災害発生件数、有害化学物質の排出量・移動量などの情報開示に努めてきました。2006年版からはCSRへの取り組みの充実に合わせ、名称をCSRレポートに変更しました。事業所版のレスポンシブル・ケアレポートについても2000年から3工場すべてで発行しています。事業所版レポートは、当社ホームページで閲覧することができます。
そのほか自治会の工場見学会、行政主催の環境対話集会への参加などに取り組み、地域の皆様とのコミュニケーションを図っています。

※ ここでのリスクコミュニケーションとは、化学物質によるリスクについて、利害関係者が情報を共有し、その対策について話し合うことによって相互理解を得ることを意味しています。

事業所版レスポンシブル・ケアレポート

  • 四日市工場レスポンシブル・ケアレポート(PDF 5,985kb)
  • 千葉工場レスポンシブル・ケアレポート(PDF 6,063kb)
  • 鹿島工場レスポンシブル・ケアレポート(PDF 9,132kb)

安全工学会 保安力向上センターへの参画

JSRを含む石油化学企業19社は、2013年4月に保安力の維持・向上を図る事を目的に、安全工学会の呼び掛けに応じ「保安力向上センター」を立ち上げました。当センターでは、各企業から現役技術者を推進委員として派遣し、安全対策のレベルを “見える化” する「保安力評価システム」を完成させました。「保安力評価システム」は、保安力の要素である「安全基盤」と「安全文化」の達成度を5段階評価するシステムで、これにより各事業所の強みや弱みを明確化し、改善のための具体策立案や改善の度合いを定量的に把握することで各事業所の保安力向上に貢献していくことが期待されています。

JSRは、2013年度に「保安力評価システム」に基づき、メイン工場である四日市工場で自己評価を行いました。2014年度は8月に千葉工場、11月に鹿島工場が安全のレベルを客観的に把握し、自主的に安全レベルをスパイラルアップしていくことを目的に保安力向上センターの評価を受審しました。結果に基づき、自社の安全システムの強みや弱み、課題を整理して具体的な改善対策を立案し、実行することでさらなる保安力向上につなげていきます。

「産業保安に関する行動計画」への対応

2013年7月に石油化学工業協会で定められた「産業保安に関する行動計画」の中で、会員企業が実施すべき5項目が規定されています。具体的には、① 企業経営者の産業保安に対するコミットメント、② 産業保安に関する目標設定、③ 産業保安のための施策の実施計画の策定、④ 目標の達成状況や施策の実施状況についての調査および評価、⑤ 自主保安活動の促進に向けた取り組み、です。これらの項目は、従来からRC活動の中で実施してきたものであり、経営方針に基づき、RC推進委員会を中心に目標設定・実施計画を策定し、実施状況を本社環境安全監査等で確認しました。また、2013年度から、保安力評価システムの活用も開始しています。

外部コンサルタントの安全診断

2014年12月に四日市工場の安全衛生活動および安全衛生に関する慣行の有効性を評価し、改善に寄与する事を目的に外部コンサルタント(デュポン社)による安全診断を受けました。評価結果に基づき、自社の安全システムの強みや弱み、課題を整理して具体的な改善対策を立案し、実行することでさらなる保安力向上につなげていきます。