ホームCSRCSRレポート2015ステークホルダーとの対話 ②

CSRレポート

SRI指標と銘柄への組み入れ

ステークホルダーとの対話 ②

JSR従業員が考える日常業務と社会をつなぐCSR
ファシリテーター(株)インテグレックス代表取締役社長 秋山 をね氏

ファシリテーター
(株)インテグレックス代表取締役社長

秋山 をね氏

立山 正人

四日市工場
製造部門

立山 正人

原 宏志

本社
事業企画部門

原 宏志

酒井 香織

四日市工場
研究開発部門

酒井 香織

黒澤 悠希

本社
経営企画部門

黒澤 悠希

自分の仕事の価値を見出す

秋山:
今回のCSRレポートのテーマは「経営とCSRの一体化」への取り組みを報告するということですが、実際に事業を担う従業員の皆さんが、CSRに対してどのような意識をお持ちなのか、仕事の中でCSRをどのように実践しているのか、お話を伺います。皆さん、日々の業務において、仕事と社会のつながりを意識することはありますか?
全員:
「CSRレポートを読む会」などを通じて、仕事と社会のつながりを意識することはあります。
秋山:
CSRレポートを読んだ感想はどうでしたか?
黒澤:
毎年内容が大幅に変わっているわけではないので、あまり新鮮味はないと思います。
立山:
去年のレポートではJSRグループの素材がどう使われているかを紹介したページの反響が大きかったです。CSRレポートで初めて知ることもありました。
酒井:
ここで取り上げてもらえるような研究開発をしようとがんばろうと思います。
立山:
自分の作っている素材が最終的にどういう製品に使われるのかがわからないことが多いのですが、CSRレポートなどで最終製品がわかると、自分たちの仕事がどのように社会とつながっているのかがわかります。
黒澤:
全社的に法令遵守的なことはかなり細かくやっていると思いますが、それ以上に社会通念上やモラル的にどうなのかということまで考えながら仕事をしています。
酒井:
研究していた素材が製品になってニュースとして記事などに取り上げられると、仕事と社会のつながりを意識して、社会の役に立っているのだなと感じ、また日々の研究をがんばろうという気持ちになります。
 原:
部内で「CSRレポートを読む会」が開催され、その時にCSRを自分の仕事に落とし込んで考え、CSRの目標を掲げました。
秋山:
各自の仕事の内容によっても、いろいろな捉え方がありますね。「CSRレポートを読む会」は全社的に部門単位で行われているようですが、従業員の皆さんが、CSRを考える機会があるというのはいいことだと思います。
ちょっと質問を変えてみましょう。皆さんがこの会社に入った志望理由を聞かせてもらえますか?
 原:
世界シェア1位の素材を扱っている会社だったことですね。世界と戦っていきたいという気持ちをもって入社しました。今扱っている素材は、シェアは低いのですが、これから伸ばしていく素材なので、どうやって伸ばすか、広げていくかを考えています。
黒澤:
化学や金融など、相手にする業界が多いところを志望していました。素材が様々なところで使われているということですが、石油化学はいろいろなお客様がいて、面白いと思いました。
酒井:
工場見学のツアーに参加して、話がとても面白かったのが理由です。研究していることを楽しく語れる会社はいいなと思いました。
立山:
化学会社が志望でしたが、この会社の歴史と世界ナンバーワンの技術力に惹かれました。
秋山:
いまそれぞれおっしゃったことは、皆さんがこの会社で働く原点ということですね。原点を覚えているということは大切なことだと思います。企業理念やCSRも企業の原点、何かがあったとき進むべき方向を決める指針になるという意味では同じではないでしょうか。企業理念体系全体を見ると難しそうですが、そう考えると身近に感じられると思います。
立山:
日々の仕事がイノベーションにつながると考えることで、モチベーションがあがります。

各部門における「Materials Innovation」

秋山:
事業を通じて社会に貢献する「攻めのCSR」だけでなく、「守りのCSR」の面では、環境への取り組みや人権問題、労働問題などもあります。JSRグループは「Materials Innovation」を企業理念の中に掲げていて、これがJSRグループのCSRのベースにあるのだと思います。具体的に仕事の中で、こういうことがCSRだと思うのはどのようなところですか?
立山:
「CSRレポートを読む会」の中で、「製造現場でのMaterials Innovation」について話し合いました。イノベーションというとゼロから作り上げるという研究開発の仕事が思い浮かびます。しかしながら、皆で話し合ううちに、複数ある機器の特性を理解し、原料組成や運転条件の変化に対応しながら、求められた品質を満たす素材をなんと言っても安全に生産し続けることは、イノベーションなのではないかという意見が出ました。
秋山:
職場でそういうレベルの話ができるというのは良いことですね。
黒澤:
実際に素材を作る仕事でなくても、業務プロセスやルールを変えていくことによって、より効率的で無駄のない素材が作れるようになれば、それがイノベーションにつながっていくのではないかと考えています。
 原:
私は、扱っている素材がどのような市場を作ることができるのかを考えたり、どのような法規制があるのか調査したり、また業界団体にアプローチするなど、営業部隊が素材を売るための土壌作りが事業企画部門としてのCSRだと考えています。
秋山:
管理部門でもイノベーションにつながる仕事ができると考えるのは優れた視点だと思います。CSRを念頭に置くことによって、自分の仕事だけでなく、ほかの部署との連携を考えることにもなります。また、企業理念というと難しく感じられますが、自分の仕事が社会の中でどう役立つのかを一人ひとりが考えることが、企業全体の価値の創造につながります。
職場環境という面で見たときのCSRはどうでしょうか?
酒井:
たとえば女性の活躍推進という言葉だけが先に入ってきて、現場の意識がなかなか追いついていないと思うところもあります。女性というだけでなく、もっと広い範囲での多様性を考えたらいいのではないでしょうか。
 原:
営業職などはここ数年女性も増えてきています。会社が意識してそうした流れを作っているように思います。
黒澤:
外国籍の社員が増えたらもっと変わってくると思います。
秋山:
ダイバーシティというのは本来いろんな価値観を持った人がいるということが前提ですからね。
黒澤:
JSRグループの良いところは、労務管理などがしっかりしているし、それ以外でもコンプライアンス以上に、明文化されていないモラルを重要視しているので、従業員として安心感があります。それは外部の方と話をするときにも、私たちのバックボーンになっています。
秋山:
現場の風通しはどうですか?
黒澤:
意見や提案を言いやすい雰囲気はあると思います。
立山:
職場の風通しは非常に良いです。一方で、経営上の、たとえば海外展開や企業買収などの背景や投資妥当性まではなかなか現場まで伝わってこないと感じています。自分たちが作っている素材が海外展開によってどういう価値が生まれるのか、どう貢献できるのかがわかれば、現場のモチベーション向上につながると思います。
 原:
社内への説明は、まさに私の部門の役割です。社外に対する説明に比べて、社内に対する説明は不十分だったかもしれません。もっと背景や数字を踏まえた詳しい説明を行う必要性を感じました。
酒井:
研究所内での風通しもいいと思います。意見を言いながらお互いを高めあって新しいものを作っていける環境があると思います。事業部との壁は少しありますね。
秋山:
現場の意見を上層部に伝えることも大切ですし、会社が考える経営やCSRのストーリーを現場に伝えることも大切ですね。本社と現場のギャップや、グローバル化に伴う拠点間のギャップはどの企業でも課題になっていて、それを埋めるものがコミュニケーションだと思います。企業が成長を続け、企業規模が大きくなるほどますますコミュニケーションが重要で、努力が求められるところです。

日常業務の中でCSRを実践

秋山:
ところで皆さんは「E2イニシアティブ®」をご存じですか。
全員:
はい。
秋山:
「E2イニシアティブ®」は環境・エネルギー問題に関する「攻め」と「守り」の両面から価値の創出を目指すというJSRグループの優れた戦略だと思いますが、こういう言葉が従業員の皆さんに浸透しているのは大切なことです。
では、皆さんがJSRグループを自分の会社として誇れるところはどんなところですか?
 原:
非常にまじめな会社だというところです。コンプライアンスの管理は徹底していて、ただ法令を守るだけでなくプラスアルファのところまで考えているところだと思います。
酒井:
外からはまじめだと言われますが、風通しがいいというか、言いたいことを言いながらお互いを高めあっていける雰囲気はあると思います。みんなで高みに上っていけるという感じです。
立山:
現場の絆が強いということですね。みんなで前を向いて安全を確保しながら、素材を作ってお客様に届けているという意識です。
秋山:
皆さんは毎日意識しているわけではないかもしれませんが、今日の話に出たようなことそれぞれがすべてCSRなのです。JSRグループの企業理念体系をベースに、一緒に働く人たちを尊重しながら、誠実に自分の仕事を行うことが社会への貢献につながり、まさにCSRの実践となります。今後はさらに社会における課題、環境や海外の貧困などの問題にも興味を持ち、自分たちの仕事とのつながりや、どうすれば課題の解決に貢献できるかという視点を持って、日々の業務に励んでいただきたいと思います。