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CSRレポート

SRI指標と銘柄への組み入れ

安全・防災 重点項目

「安全は、製造業に働くすべての人にとって最も大切なものであり、事業活動の大前提となる」ことを再認識し、安全活動を展開していきます。

安全モニュメント

安全モニュメント

2014年に起きた重大労働災害事故から学んだ教訓を風化させず事故ゼロを目指すとの誓いと、尊い人命を守るために強固な安全文化を将来にわたって発展させるとの約束を込めて、安全モニュメントを四日市工場の本館前に設置し、事故が発生した7月23日に除幕式と安全式典を実施しました。
三つのモニュメントの外側は自然石のように荒々しく、危険要因や自然災害、慢心など予測できない要素を表しています。これに対しそれぞれの内側の正円は、「経営陣、管理者、従業員の、意志、知恵、実践」を表し、これら予測できないものを貫く安全を最優先する人々の思いを形にしたものです。そして三つの正円が生み出す調和によって尊い人命は守られていることを、すべての人々に思い起こさせます。水平に広がる基壇は「意志、知恵、実践」を支える様々な背景や基礎であると同時に、尊い人命への平安なる鎮魂を表しています。

安全が大前提である組織行動実現に向けて

JSRグループは、安全はすべてのステークホルダ—の暮らしにつながるものであり、企業にとっても経営の基盤となる課題と捉えて、「設備災害ゼロ」・「休業災害ゼロ」を目標に掲げて取り組んできました。しかしながら、2014年度は、死亡災害1件、設備トラブル2件が発生しました。
2014年7月23日、四日市工場での重大労働災害で、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、ご遺族に対し、心からお悔やみ申し上げます。
また、四日市工場と鹿島工場での各1件の設備トラブルにおきましては、近隣にお住いの皆様、関係当局の皆様、お客様をはじめとする皆様にご心配をおかけいたしましたことを、お詫び申し上げます。
社内の意識調査・聞き取り調査、各職場での徹底した議論、外部診断を活用して根本原因解析を行った結果、安全基盤(安全対策の設備投資、組織強化を含む)と安全文化が、現状の組織や製造現場の実態と必ずしも一致していないことが浮かび上がってきました。
JSRグループでは、この事態を重く受け止め、「安全は、製造業に働くすべての人にとって最も大切なものであり、事業活動の大前提となる」という理念のもとに、安全基盤、安全文化の再構築に向けて、安全な現場、健全な安全意識を取り戻すべく、グループ一丸となり取り組みを始めました。
労働災害や設備災害を起こさないための安全設備対策については、「まずは同様の重篤な労働災害や重大な爆発火災につながる要因を抑え込む」ためのハード対策として、30億円強の安全対策投資と、耐震補強の強化、老朽化している建物の更新などに70億円近くの投資を計画しています。なお、労働安全対策投資については引き続き、より実効性のある投資を進めていきます。

重篤な労働災害を防止する安全設備に向けて

1) 爆発火災、挟まれ、巻き込まれ、転落、酸欠しない設備対策
2) ICT技術(情報通信技術)やロボット技術の採用に向け積極的な検討を進めます。

減速機プーリー巻き込まれ防止

減速機プーリー巻き込まれ防止

回転部分開口部にパンチングメタルで保護カバーを設置したため、手を巻き込まれないようになりました。

安全基盤の再構築

1) 外部評価も取り入れた安全システムの再構築 外部診断結果とJSR社内での解析から、見直すべきしくみを抽出し、有効性を高めた安全衛生マネジメントシステムに変革します。(グローバル対応を意識したOHSASに準拠した体系の再構築も図ります。)

2) 最新技術も取り入れた設備管理基準の見直し 安全設備情報の再整備を進めるとともに、体系を含めた安全設計基準の見直しを行います。この中には、安全環境に係る予算確保方法の見直しや、新規に導入すべき安全装置、安全設備、監視機器、通信機器の検討も入ります。

3) 製造、設備管理、間接部門のリソース見直し 組織体制、管理・監督体制のあるべき姿を明確にし、運転員が安全に作業できる環境の整備、管理者の運転監視強化、間接部門との業務分担を図り、製造部門の安全運転体制強化を実行します。

※ OHSAS(Occupational Health and Safety Assessment Series)
労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)を構築・運用するための国際規格

環境安全監査の見直し

現場を視察する小柴社長 環境安全監査の様子

現場を視察する小柴社長

環境安全監査の様子

従来の環境安全監査では、実態の把握が十分ではなく、パフォーマンス向上につながっていないとの反省から、2014年度監査は、社長自ら「現地」「現物」「現実」に基づき現場を観察し、危険個所、設備の老朽化状況も直接確認しました。
現場の運転員にトップが考える安全最優先への思いを直接伝えていくとともに、従業員が不安と感じている作業や設備について直接対話して聞き出していく監査方式に変更しました。被監査側である現場からは、本音で意見を伝えることができよかったとの声が聞かれ、安全の向上につながる監査への試行を進めていきます。

労働災害撲滅プロジェクト、安全基盤改革プロジェクト発足

労働災害撲滅プロジェクト、安全基盤改革プロジェクト発足
常務執行役員(環境安全担当)永廣 泰久

常務執行役員(環境安全担当)
永廣 泰久

我々は従来から労働災害、設備災害の防止に取り組んできましたが、結果として昨年7月の重大労働災害を防ぐことができませんでした。現在様々な角度から対策を行っていますが、本社の環境安全部を再編強化して、安全統括部と環境推進部としたのもその一つです。従来は環境安全部が安全確保のための事務局的な業務を行ってはいても、活動は各職場任せの感が強くなっていました。安全統括部では事業活動に合った「安全確保」を専門に研究、実証し、現場を支援して効果を上げていく専門組織を目指しています。例えば、取扱う化学反応の本質を理解した安全設計の周知、実情に即したPDCAの回る安全監査の実施、プロセスハザードアナリシス(PHA)が適切に行える人の育成等です。現在労働災害撲滅プロジェクト、安全基盤改革プロジェクトが活動し、前者では主に安全文化・風土、後者では安全基盤改善に取り組んでいますが、それらの成果も最終的には安全統括部で引き継いでいくことを考えています。事故や災害に遭うことなく毎日出社し帰宅するといった当たり前のことは最大の価値です。安全を自分ごと化して日々の業務に取り組んでいきましょう。