JSR、高密着性を発現する界面分子結合材を製品化

通信インフラの高速応答化ニーズに応える新製品 電気自動車などさらなる用途展開も視野に
製品情報

JSR株式会社(本社:東京都港区、CEO:エリック・ジョンソン、以下「JSR)は、異種基板の貼り合わせ及びめっき工程において強固な接合を可能とする、界面分子結合材「MOLTIGHT IMB」を新たに製品化いたしました。20221214()1216()に開催されるSEMICON Japan 2022にて展示いたします。

MOLTIGHT IMB」は当社と豊光社テクノロジーズ株式会社(本社:福岡県北九州市、代表取締役:倉光 宏)のオープンイノベーションの下、製品化に至りました。引き続き、本材料のマーケティング活動を進めるとともに用途開発を行います。


近年、第5世代(5G)・第6世代(6G)移動通信システムや自動運転の本格化などを背景に、高速応答回路向けに低誘電正接基板の導入が進んでいます。従来、低誘電正接基板と配線金属の密着性は基板表面を粗化処理することによるアンカー効果*¹で維持されてきました。しかしこの場合、表皮効果による導体損失が発生し、回路の応答性能が低下します。「MOLTIGHT IMB」はこのトレードオフを解消します。本材料は分子レベルで基板表面を化学的に修飾し、フラットな界面において基板-配線金属間の高い密着性を発現させます。(【図1】【図2】及び【表1】を参照) また本材料は僅か数nmの薄膜を塗布形成することで、金属に限らず様々な基板同士を強固に貼り合わせられることが期待できます。想定される用途は回路基板だけでなく、自動車や各種機器の筐体、電装部品、バッテリー、センサー等、多岐にわたります。


IMB_1.png

【図1】低誘電正接基板-配線金属間の密着性と伝送損失

IMB_2_3.png
【図2】材料コンセプト             【表1】基板と銅めっき及び銅箔との密着性


当社はデジタルトランスフォーメーションを可能にする素材を切り口の一つとして、独自の材料設計や製造ノウハウの活用、さらにはオープンイノベーションも取り入れることで迅速にソリューションを開発、提供してまいります。

*1 被着材表面の凹凸に接着剤が入り込み、硬化することで、アンカーや釘で打ち込んだように密着性が上がる効果。

MOLTIGHT IMB」はJSR株式会社の商標です。