JSR株式会社 川橋信夫 代表取締役社長兼COO 入社式訓話の要旨について

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JSR株式会社の川橋信夫 代表取締役社長兼COOは、本日午前845分から行われたWEB入社式で、本社採用の新入社員73人(技術系62人、事務系11人)に、以下の訓話をしました。

桜が満開のこの時期に希望と期待に胸を膨らませた新入社員の皆さんを迎えられることは、大変うれしく、活力が沸いてくるような不思議な高揚感を感じている。

昨年度は米中の貿易摩擦による対立、それに伴う中国を中心とした景気の低迷、英国のEU離脱、中東情勢の不穏な動き等により、政治的、経済的に混迷が深まった。地球温暖化についても、我々が考えている以上に世界では大問題として捉えられており、日本の製造業にとって切実な課題となっている。加えて、新型コロナウイルスが猛威を振るい、パンデミックに至っている。通常の市民生活の崩壊や、2008年のリーマンショックを超える経済的影響が懸念される。

世界情勢は今年度も更に複雑で不安定な状況が続くだろう。このような中でJSRは今後、大きく二つの施策を実行に移していく。

一つは、会社を景気動向に左右されにくい安定な事業構成とすること。もう一つは事業単位において高機能で高付加価値の製品群を増やし、事業内ポートフォリオを変えていくことだ。例えば、景気動向に左右されにくいライフサイエンス事業を、戦略事業としてさらに強化、推進していくことが重要だ。

一方で、デジタル革命という大きな技術変革を迎える激動の2020年代が今年まさに始まった。量子コンピューターの進歩や5Gの普及を考えれば、2025年頃には大きな転換点を迎え、社会環境が大きく変化し、既存価値の崩壊が確実に起きるだろう。新しい事業、新しい技術にどんどん取り組まなければ、この波に乗ることはできない。

変化を怖がることなく、積極的に対処していくためには、まず多様性を取り入れ、ダイバーシティを根付かせることが重要だ。「いろいろな考えや行動形態をとる人たちを認め合い、個性を大事にする風土、組織」を作り上げることで、会社を強くし、さらに発展させていく必要がある。

次に、先端技術・新領域ビジネスへのチャレンジとオープンイノベーションが重要だ。自前主義から脱出し、積極的に外部を活用していくことで、変化に対処することができる。

また、デジタルトランスフォーメーションに向けた人材の確保と育成も進めていく。研究者の素養を持つデータサイエンティストによる新たな手法の研究開発に取り組んでいるところだ。


さて、こうした社内外の環境の中で、新入社員の皆さんに期待したいことが二つある。

まず、常に危機感を持って世界動向や事業の変化をキャッチする好奇心をもっていただきたい。無限の可能性を解き放つべく、失敗を恐れずに様々なことにチャレンジしてほしい。「夢をもって一歩前に踏みだす」ことが大事だ。挑戦するからこそ、成功があると確信している。

能力の観点からは、特に洞察力、発想力、変革力に期待している。デジタル変革によって既存の業態が大きく変わることを洞察し将来を見通していく力、自ら何をするのか、すべきなのかを考えて提案していく自律的な力、そして、立ちはだかる壁を乗り越え、自分だけでなく組織、事業を変革していく力が重要だ。


最後にJSRに入社した皆さんに一番大切な、常に忘れてはいけないことをお伝えしたい。それは「安全」だ。「安全」はサステナビリティの根幹だ。そして、製造会社としての使命であり、誇りだ。JSRグループに働く社員、協力会社の皆さん全員が幸せだと感じられる会社を目指していきたい。皆さんの活躍を祈念している。