先端技術への挑戦
高度シミュレーション技術、機械・深層学習
① IBM Q
IBM QとはIBM社が提供する量子コンピュータの名称です。量子コンピュータを様々な形で活用することを目指し、様々な民間企業や大学、公的研究機関からなる世界最大規模のIBM QNetworkを形成しています。JSRはIBM Q Networkの中のIBM Q Network Hub at Keio Universityのメンバー企業として、またIBM Q Network PartnerとしてIBM Q Networkに参画しています。
量子コンピュータの応用先として最も早く実用化されると期待されているのは、高精度な量子化学計算によるシミュレーションです。JSRは、この技術をいち早く自社の材料開発に活用すべく、IBM Q Hubなどを通じて実際の材料を見すえた量子化学計算技術の開発と修得、また試験適用に取り組んでいます。
② MI・Enthought
マテリアルインフォマティクス(MI)を基軸としたR&Dのデジタル変革を推進するために、組織横断的に取り組みを進めています。
リアル空間での“化学実験”に対して、サイバー空間での“計算機実験”による材料開発を狙い、第一原理計算を始めとした様々な計算機実験、シミュレーションに加え、機械学習などの高度アナリティックス等の要素技術の確立に取り組んでいます。実際の製品の開発への適用に向けて、Enthought社との協業により、データ管理システムや各種シミュレーション技術の開発に取り組んでいます。
これらの取り組みを通して、ビジネス視点をもつデータサイエンスの育成を進め、単なる効率化だけではなく、真のビジネス価値の創出を進めていきます。また、将来的には新たな事業の創出も目指します。
オープンイノベーション
① JKiC
当社と慶應義塾は、産・学・医療の連携拠点と位置づける共同研究棟「JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター」(JKiC)を設立しました。
大学医学部と化学素材メーカーとのこのような連携は世界でも類を見ない試みです。
JKiCでは、医学的見地と素材開発の知見を融合させ、新しいタイプの診断・治療技術、デジタルヘルスや3Dプリンティング等を活用した医療支援技術、ゲノム解析などもベースにした健康長寿研究等の分野で様々なソリューションの提供に取り組む予定です。
産・学・医療連携促進のためのスペースを十分に確保するとともに、医療ニーズと技術シーズをマッチングさせる部門を設置し、世界各国に先駆けて超高齢社会を迎えている日本で新たなイノベーションに取り組みます。医学と化学の融合という全く新しい概念を突き詰めることでイノベーションを生み出し、健康長寿につながるような世界に貢献する実用技術を確立していきます。
② Center of Materials Innovation
四日市工場内の研究開発拠点は、ディスプレイソリューション開発センター、精密電子開発センター、エッジデバイス材料開発室、RDテクノロジー・デジタル変革センターの4つの研究所で構成されています。
Center of Materials Innovationではこれらの研究所の密接な連携のもと、市場ニーズを先取りした研究テーマを設定して、ユーザー状況に即応できる弾力的な研究体制を可能にします。
また、当社の持続的競争力の源泉であるイノベーション創出力を高めるために、各研究所の機能の交流拠点として、異分野間の偶発的なコミュニケーションとコラボレーションが生まれる環境も整備するとともに、オープンイノベーションの拠点として外部と連携した研究活動への活用も検討していきます。
研究開発体制に関する詳しい内容は、以下ページよりご覧ください。