先端技術への挑戦

高度シミュレーション技術、機械・深層学習

① IBM Q

IBM Q Network Hub at Keio Universityの外観

IBM QとはIBM社が提供する量子コンピュータの名称です。量子コンピュータを様々な形で活用することを目指し、様々な民間企業や大学、公的研究機関からなる世界最大規模のIBM QNetworkを形成しています。JSRはIBM Q Networkの中のIBM Q Network Hub at Keio Universityのメンバー企業として、またIBM Q Network PartnerとしてIBM Q Networkに参画しています。
量子コンピュータの応用先として最も早く実用化されると期待されているのは、高精度な量子化学計算によるシミュレーションです。JSRは、この技術をいち早く自社の材料開発に活用すべく、IBM Q Hubなどを通じて実際の材料を見すえた量子化学計算技術の開発と修得、また試験適用に取り組んでいます。

② MI・Enthought

マテリアルインフォマティクス(MI)を基軸としたR&Dのデジタル変革を推進するために、組織横断的に取り組みを進めています。
リアル空間での“化学実験”に対して、サイバー空間での“計算機実験”による材料開発を狙い、第一原理計算を始めとした様々な計算機実験、シミュレーションに加え、機械学習などの高度アナリティックス等の要素技術の確立に取り組んでいます。実際の製品の開発への適用に向けて、Enthought社との協業により、データ管理システムや各種シミュレーション技術の開発に取り組んでいます。
これらの取り組みを通して、ビジネス視点をもつデータサイエンスの育成を進め、単なる効率化だけではなく、真のビジネス価値の創出を進めていきます。また、将来的には新たな事業の創出も目指します。

工場のIoT化

① ドローン

ドローンによる飛行点検

ドローンを設備点検や運転パトロールに活用することで、情報収集能力を飛躍的に向上させ、情報の履歴管理、画像解析による腐食自動判定 により、保安力の向上、作業負荷軽減を図っていきます。
鹿島工場では、2017年から非危険物エリアの設備点検にドローンを使い始め、2019年3月に経済産業省/総務省/厚生労働省からの出されたプラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドラインに基づき、6月には定修停止期間に危険物施設の上空からドローンによる飛行点検を行いました。
高所点検は、足場を組む労力と費用がかかり、危険性の高い作業です。ドローンによる点検が進むことで、高所点検の危険を排除して安全性を高めるとともに、設備点検の「目」を増やし目視検査の充実と業務スマート化を進めていきます。

② スマートコンビナート

千葉工場

暗黙知とされてきた熟練技能者の優れた技術やノウハウを、デジタル技術を活用して形式知化し、活用します。具体的には、熟練技能者が化学製品の生産プロセスで行っているプラント運転・保全について、映像や音声などの非構造データ※1をセンサーと無線で自動収集し、分散制御システム (DCS:Distributed Control System)など機械設備からのデータと組み合わせて分析できる基盤を構築します。将来的には、機械学習アルゴリズムに基づいた適切な判断をリアルタイムにオペレーターに提示できるソリューションも開発し、次世代型の「スマートコンビナート」に求められる機能や基盤の実証と実用を進めていきます。

③ VR(Visual Reality:仮想現実)

VRによる作業トレーニング

90年代後半からプラント設備の自動化が一層進み現場作業が減少し、安全性も大きく向上してきました。プラント稼働時の困難や苦労を知る機会に恵まれなかった若い世代が、訓練シミュレータや、VRによる作業トレーニング・労働災害・設備事故の被災を模擬体験して、紙面のマニュアル教育では感じることのできない怖さを実感した上で、事故を絶対起こさない決意を意識づけていきます。

オープンイノベーション

① JKiC

JSR・慶応義塾大学 医学化学イノベーションセンター

当社と慶應義塾は、産・学・医療の連携拠点と位置づける共同研究棟「JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター」(JKiC)を設立しました。
大学医学部と化学素材メーカーとのこのような連携は世界でも類を見ない試みです。
JKiCでは、医学的見地と素材開発の知見を融合させ、新しいタイプの診断・治療技術、デジタルヘルスや3Dプリンティング等を活用した医療支援技術、ゲノム解析などもベースにした健康長寿研究等の分野で様々なソリューションの提供に取り組む予定です。
産・学・医療連携促進のためのスペースを十分に確保するとともに、医療ニーズと技術シーズをマッチングさせる部門を設置し、世界各国に先駆けて超高齢社会を迎えている日本で新たなイノベーションに取り組みます。医学と化学の融合という全く新しい概念を突き詰めることでイノベーションを生み出し、健康長寿につながるような世界に貢献する実用技術を確立していきます。

② Center of Materials Innovation

Center of Materials Innovation

四日市工場内の研究開発拠点は、石油化学系事業に関わる機能高分子研究所、デジタルソリューション事業に関わるディスプレイソリューション研究所、精密電子研究所、エッジコンピューティング研究所、および、既存事業に捉われず、研究者の自由な発想で新たな材料を開発する先端材料研究所の5つの研究所で構成されています。今回の新研究棟は、新規事業を生み出すための研究に主眼が置かれます。そのために、Center of Materials Innovationでは5つの研究所の密接な連携のもと、市場ニーズを先取りした研究テーマを設定して、ユーザー状況に即応できる弾力的な研究体制を可能にします。また、当社の持続的競争力の源泉であるイノベーション創出力を高めるために、各研究所の機能の交流拠点として、異分野間の偶発的なコミュニケーションとコラボレーションが生まれる環境も整備するとともに、オープンイノベーションの拠点として外部と連携した研究活動への活用も検討していきます。