
1.基本的な考え方
JSRグループでは、これまでの生物多様性保全に関する取り組みから見えてきた課題を整理し、2012年度に生物多様性保全に関する方針を策定しました。この方針に基づいて、具体的な活動を推進しています。
2.JSRグループの生物多様性保全方針
JSRグループは、持続可能な社会の構築に貢献するために、事業活動がどのように生物多様性に依存し、影響を与えているかの把握に努め、生物多様性保全への配慮を推進していきます。
- 天然由来の原料資材等の調達において、生物多様性保全への配慮に努めます
- 事業所の緑地を生物多様性に配慮したものにするための取り組みを推進します
- 生物多様性に配慮した製品開発を推進します
- 社員の参画や地域社会との連携を重視した取り組みを推進します
方針策定のプロセス
JBIB※1の「生物多様性関係性マップ」を活用し、自社の事業の生物多様性への依存と影響について把握しました。これに基づいて「JSRグループの生物多様性保全方針」を策定しました。
※1 JBIB(Japan Business Initiative for Biodiversity) 一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ
図1.生物多様性関係性マップ(合成ゴムのケース)
3.活動の進捗状況
(1)方針1.天然由来の原料資材等の調達において、生物多様性保全への配慮に努めます。
① 生物多様性に影響を与える可能性のある天然物由来原料の把握と調査を実施。
主原料では該当品はないものの、一部の副原料に該当品があることを把握し、その影響を調査した結果、現状では問題になるものはありませんでした。今後も新たに対象となる可能性のある原料資材を使用する場合は、調査を実施します。
② 持続可能な紙利用について
主原料ではないものの、コピー、刊行物、封筒、包装資材として使用される紙について、「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」に設立以来参画し、社会全体への持続可能な紙の利用と拡大・浸透を図っています。森林資源の持続可能な利用の観点から、2013年度に「JSRグループ紙調達に関するガイドライン」を策定し、これに従い、「古紙を主原料とする用紙、又はFSC等の森林認証紙」を優先的に調達する活動を推進しています。
2015年度は、社用封筒の一部をFSC認証紙へ切り替えました。
(2)方針2.事業所の緑地を生物多様性に配慮したものにするための取り組みを推進しています。
国内3工場および筑波研究所では、JBIB「いきもの共生事業所推進ガイドライン」に基づいて行った事業所緑地の調査結果および専門家の協力を得て作成した緑地改善計画を基に、2014年度までに緑地の整備を行いました。その後は各事業所が主体的に活動を継続しています。
四日市工場 |
取り組みの概要 |
- 工場敷地内の緑地を生物多様性に配慮した緑地整備5ヵ年計画(2013〜2017年)に基づいて整備
- 社宅地区の緑地を生物多様性に配慮した緑地に整備
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2015年度の取り組み |
- 敷地内緑地に解説板、観察台を設置
- 蝶の誘引のための食草を植栽
- 中学生職場体験で緑地観察
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今後の活動計画 |
- 生物多様性に配慮した工場敷地内緑地の活用(継続)
- 地域行政と連携し生物多様性に配慮した工場の推進
- 外来種から地域種への誘導
- 解説板の拡充
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 解説板
「JSR四日市工場・森カ山社宅生態系ポテンシャル」
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千葉工場 |
取り組みの概要 |
- 工場敷地内緑地「憩いの広場」入口を生物多様性に配慮した緑地として整備し地域の方々、従業員の家族との生物多様性のコミュニケーションの場として活用する
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2015年度の取り組み |
- 生き物モニタリングを実施
- 従業員の家族向けに憩いの広場の間伐材を使った木工細工教室を開催
- ビートルハウスを設置しカブトムシ等の生息場所を提供
従業員の家族向けイベントでも活用
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今後の活動計画 |
- 憩いの広場整備後の補完と生き物モニタリングの継続実施
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「憩いの広場」のビートルハウスでカブトムシを観察
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鹿島工場 |
取り組みの概要 |
- 工場敷地内に周辺の生態系を再現した「池」を整備し、地域の方々、従業員の家族との生物多様性コミュニケーションの場として活用する
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2015年度の取り組み |
- 2014年度に設置した「池」の整備(水辺植物等近隣の植物植栽)
- 外来植物の駆除
- 実のなる木の植栽
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今後の活動計画 |
- JBIB「土地利用通信簿」の点数改善
- 外来植物の駆除(継続)
- 生物多様性に配慮した緑地の維持管理
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 鹿島工場敷地内に生息しているノウサギ
 特定外来植物(オオキンケイギク)の駆除の様子
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筑波研究所 |
取り組みの概要 |
- 生物多様性推進エリアを設定し、JBIB土地利用通信簿をベースに改善活動を行う
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2015年度の取り組み |
- 動物の生息場所や移動経路の配慮
生物の生息場所として鳥の巣箱やビートルハウスを設置し、その効果を観察 生物の移動経路として路面の非舗装を維持
- 指標生物の定期的モニタリング
- 定期的な外来生物の監視と外来生物の防除体制を構築
- 社員の参画
事業所緑地を利用した従業員向け環境教育を年2回開催
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今後の活動計画 |
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 筑波研究所 生物多様性推進エリアでの自然観察会の様子
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(3)方針3.生物多様性に配慮した製品開発を推進します。
環境配慮型製品の基準に盛込み、推進しています。
(4)方針4.社員の参画や地域社会との連携を重視した取り組みを推進します。
各事業所での取組みの中で、各種イベントを紹介しています。