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CSRレポート2014

Materials Innovationを支える安全確保

化学プラントでは、高圧ガスや危険物を多く扱っています。万一事故が発生すれば、従業員、装置、製品の損害だけでなく、
近隣の皆様にまで被害が及ぶおそれがあり、また製品供給にも影響を与える可能性があります。
JSRグループでは、設立当初より「安全は生産に優先する」という理念に基づき、安全活動を積極的に展開しています。

事故・災害の撲滅に向けて

 安全に操業を継続するために、下の図に示すように、設備管理、製造技術、人材育成、環境保全などさまざまな要素について維持・向上を図ってきました。そして、これらを支える土台といえるものが「安全文化」です。
安全文化とは、経営トップから現場の一人ひとりまですべての人が安全を最優先に考慮する組織の気風と言われることがあります。より良い安全文化を構築するために、働くすべての人が「安全は生産に優先する」という理念を共有して、日々の安全活動に取り組み、安全レベルの向上を目指しています。
2013年度は、JSR従業員・協力会社従業員ともに休業労災が発生してしまいました。これまでの安全活動を見直して課題を克服するとともに、経営トップをはじめとするすべての関係者が安全に対する理念を共有し、自然体で安全な行動を実践できる安全文化の再構築を図っていきます。

労働災害(度数率) 労働災害(休業災害)

度数率=(休業災害死傷者数 / 延べ労働時間数)×100万


「JSR20i6」で定める安全目標

製造現場における安全確保の土台を強化して“設備災害ゼロ、休業労災ゼロ”をグループ全体で達成する。

安全確保の自覚と責任を持ち、プロとして行動する

中澤和美中澤和美
上席執行役員
四日市工場長

化学工場で安全を確保するためには、扱うものに対する知識や運転の技能が必須です。四日市工場でもかなり時間をかけて安全教育を行っていますが、どんなに熱心にやっていても労働災害や設備災害が発生するリスクがゼロになるということはありません。このことを常に念頭において真剣に安全活動に取り組んでいます。
私は常々、安全確保はスキル×マインドの面積であらわせると説明しています。スキルは日常の安全活動で養われ、危険予知や専門知識で自分たちのレベルを上げていくことが可能です。しかしスキルがあっても「自分のミスで事故が起こったらどうなるか」という予測や、化学工場で働くプロとして安全確保に対する自覚と責任に基づく行動が欠けると、ある日どこかで誰かがケガをしたり事故を起こしてしまうのです。自分たちで決めたルールを守り、身につけたスキルを確実に実行する強い意志こそマインドであり、スキルとともに充実させることが必須です。
2014年度は、工場の各課ごとに安全確保の重要課題や不足していることを議論してもらい、自分たちで最重要と判断した活動を業務計画に落とし込んでもらいました。計画の実行には、「我々は本当にこれをやるんだ」という全員の納得感を確認してから活動を始めるよう徹底しました。その進捗状況は、「工場長安全監査」を通じて継続的に確認していくことにしています。


2014年5月28日の四日市工場視察を終えた、
社外有識者の皆様のご意見

工場視察
足立直樹

コンビナートは海の近くにありますが、四日市工場の新本館は津波のリスクなども考慮して建て替えを行い、災害時の対策本部を4階に設置したり、自家発電装置を屋上に構えるなどの工夫がなされていることが現場を見てよくわかりました。化学工場は特に安全の取り組みが重要ですので、今後もスキルと一人ひとりの心がけの両立で活動を続けていただきたいと思います。

鈴江恵子

いくらマニュアルをつくっても事故がゼロにはならず、スキルとマインドのかけ算で実現に一歩ずつ近づくということや、最終的には自覚と責任の問題だと明言された工場長の言葉がとても印象に残りました。これは安全や環境だけでなく、企業経営のあらゆるところに言えることではないでしょうか。グローバルな人材育成なども、ぜひその視点で進めていただきたいと感じました。

本木啓生

安全面は工場長の意識がとても高く、非常口や安全通路の確保、消火栓や火災報知機へのアクセス、保護具の着用、5Sの徹底など工場全体で基本的なところからきちんと取り組んでいるという印象でした。あえて改善点を申し上げると、今回訪問した我々に対して、場内での安全上の注意がなかったことですね。例えば、工場で災害が起こったとき、誰の指示に従うのか、どこに行けば良いのか、という説明のことです。日常業務では行っていることだと思いますが、対話会という特別な場であったとしても同様の対応をすることが望ましいです。

グローバル各社での安全への取り組み

JSRグループは世界各地に製造拠点を有しています。それぞれに扱う製品や、製造に使用する機械・設備などが異なるため、各現場の状況に合わせた安全への取り組みが必要となります。従業員一人ひとりが徹底して取り組むために、各拠点で目標を定め、施策を工夫しています。

JSRエンジニアリング(株)
危険体感研修

近年、化学業界でも定期修理等の非定常作業時に労働災害が発生するケースが増えています。当社グループの工事部門であるJSRエンジニアリング(株)では、工事関係者を集め、「危険体感研修」を各工場で定期的に実施しています。2013年度は仮設機材レンタル会社の専門家を講師に招き、協力会社や当社グループ従業員に足場工事に関する研修を実施しました。


JSR Micro Korea Co., Ltd.(韓国)
総合防災訓練

さまざまな災害発生ケースを想定して、管轄地域の消防署の協力も得ながら全員参加による総合防災訓練を年2回実施しています。また、各部門でも常日頃から安全を意識して現場での対応訓練に取り組んでいます。さらにいざというときの安全性確保のため防災設備のチェックも定期的に行っており、空気呼吸器着用訓練や消火器使用訓練なども年1回実施しています。


JSRマイクロ九州(株)
消防庁長官表彰

安全確保の最後の砦となる「個人」に視点をあて、全員参画で過去のヒヤリ事例を現地現物で再検証し、安全意識・感性の向上に基づいた潜在危険の撲滅と安全風土づくりを進めてきました。また産業医による個別問診を実施するなど心身の健康管理の充実も進めてきました。その結果、2013年6月に消防庁長官表彰(優良危険物関係事業所)、2013年8月にはOccupational Health認定を産業医科大学から受けるなど社外からも高く評価されました。


JSRライフサイエンス(株)
実験設備

バイオメディカル事業の場合、いくつか特徴的な安全活動があります。バイオハザードもそのひとつです。大腸菌を培養してたんぱく質を生成する実験等ではバイオハザード実験安全管理基準に沿って、通常の化学実験とは異なる内容の事前安全評価を行っています。また、使用する生体材料の危険度に応じて実験入口にバイオハザードマークを表示、入室者の制限を行っています(写真)。


JSR Micro, Inc.(米国)
月例会議

EHS Committee(環境安全委員会)が主体となり、各部署からの安全に関する懸念点や提案を収集し、それらを安全活動のプレゼンテーションに盛り込んで情報の共有化と周知化を行っています。月例会議では、安全点検の結果や懸念点に対する危険防止策を話し合うとともに、防止策の進捗・実行状況や効果確認を行っています。2014年度は、外部コンサルタントの意見も取り入れながら改善を続けていきます。


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