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CSRレポート2014

第三者意見/第三者検証

第三者意見

東京大学名誉教授安井氏


安井至

国連大学 元副学長。東京大学 名誉教授(生産技術研究所教授、元東京大学国際・産学協同センターセンター長)。2009年4月より独立行政法人 製品評価技術基盤機構に在籍。専門は無機材料化学、環境科学、産学共同研究。現在、環境省 中央環境審議会委員、内閣府 総合科学技術会議専門委員などを務める。


CSR報告書を手にすると、いつものようにトップコミットメントから目を通す。論理と文章が洗練されているのだろうか、極めてスムースにかつ明確に内容が読みとれる。
今年のトピックスは、昨年から戦略事業として位置づけられているリチウムイオンキャパシタが、いよいよ事業拡大の段階になったのか。従業員のワクワク感を重視することは当然なのだけど、かなり努力を続けているようだ、といった感想が次々浮かんでくる。
重点項目は、このところ化学工業で起きている安全操業への懸念にどう対処するかのようだ。これは極めて重要である。報告書をペラペラとめくってみると、安全確保の詳しい説明ページがある。四日市工場長の中澤氏が「安全確保の自覚と責任を持ち、プロとして行動する」と述べておられる。個人的見解だが、最近事故が多いのは、複雑なプラントを生き物として認識できるベテランが退職し、“何か起きてからマニュアルを見る”という世代に現場が変わったためではないか、と邪推をしている。実行された対策の内容を見ると、この邪推もある程度は当たっているのかもしれない。
ページを戻して、座談会である。そのタイトルに着目。昨年掲載された座談会で、評者が語った、「地球を消費しながら事業を行う中で、最善のことをやると言い切れる企業になる」である。暴言に近いと自認しているが、これが言えたらカッコ良い、と思った言葉である。これを真剣に取り上げてくれた。自由度の高い企業なのだろう。
座談会の記事が掲載されていることは嬉しい。出席している役員が、どのような思いをもって運営しているか、その気持を感じ取ることができるからである。加えて、何に着目しているかも明確になる。これまで、十分な説明がなかったライフサイクルアセスメントが、かなり進展しているようだ。準備を着々と進めて、いよいよCSR報告書で自慢できるレベルになったのだろう。
個人的な話であるが、管理職になったばかりの年齢層を対象に講演をする機会があった。若手から尊敬される管理職になるには、自己変容型の人になること、すなわち、部下の思いを引き出せる可塑性のある人格を目指し、チーム全体の能力を向上させ、加えて、満足度の高いチームを目指すべきことを話した。座談会の記事や、上述のワクワク感の記述などから、JSRは、若手社員に対する管理職の可塑性の重要性が配慮された企業のように思える。
さて、この報告書を作っている人は、誰に読んで欲しいのだろうか、その記述を探してみた。編集方針にこうある。「すべてのステークホルダーの皆様にご報告することを目的にしています」。正解であるが、このステークホルダーには、社員が含まれるはずである。CSR報告書の影の、しかし、最大の目的は、経営者の哲学と企業の実績を明らかにすることによって、自らの会社を誇らしく思う若手社員を増やすことだと考えている。本年版も、この目的をコンパクトなページ数で実現しそうに思えるCSR報告書になっている。


第三者検証

  • 第三者検証意見書 (PDF 480kb)
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