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CSRレポート2014

マテリアルの力で省エネルギーを革新する

JSRグループが持つ独自の素材技術を活かすことで、
エネルギーをコントロールするためのさまざまな製品を生み出しています。
その中でもリチウムイオンキャパシタで実現しようとしている「Materials Innovation」をご紹介します。

エネルギーの効率的な活用を実現するリチウムイオンキャパシタ

JSRグループが「JSR20i6」で戦略事業に位置づけているリチウムイオンキャパシタは、電気を瞬間的に溜めたり放出したりすることが得意で、自己放電が少なく長寿命という特長を持つ蓄電デバイスです。エネルギーの効率的な利用のためにグローバルに注目が高まっており、今後の大幅な市場拡大も見込まれています。
JMエナジー(株)は2008年末、世界で初めてとなるリチウムイオンキャパシタの量産工場を稼働させた、業界ナンバーワン企業です。JSRグループの持つ材料技術・精密加工技術を活かし、より高性能でさまざまな用途に使えるリチウムイオンキャパシタの提供を目指しています。

JMエナジー(株)のリチウムイオンキャパシタ「ULTIMO®(アルティモ)」シリーズ

ラミネートセルラミネートセル
ラミネートセルモジュールラミネートセルモジュール

軽量薄型でコンパクトなラミネートタイプは、放熱性に優れ、設置しやすいため幅広い用途に用いられます。複数のセルを組み合わせたものがモジュールです。


角型セル角型セル
角型セルモジュール角型セルモジュール

堅牢性に優れた缶タイプ。一般的には円筒型が多い中、JMエナジー(株)は世界初の扁平角缶型を採用し、放熱効率や実装しやすさを向上させています。


リチウムイオンキャパシタとは?

「ULTIMO®」シリーズの活用で、
より効率的に、より便利にエネルギーを使うことができます

1. エネルギー回生

パワーショベル

ブレーキ動作によって発生するエネルギーを電気エネルギーとして回収・蓄積するためにリチウムイオンキャパシタが使われます。パワーショベルなどの建設機械に実装され、旋回ブレーキエネルギーを蓄えて旋回加速時に再利用しています。また、欧州では2013年度にハイブリッドバスで実証試験が行われ、現在は実用化されています。


2. 長時間補償

停電の補償装置

サーバールームや製造設備などで使われる瞬低・短時間停電の補償装置では、瞬時電圧低下や停電が検出されると、リチウムイオンキャパシタに蓄えた電気で数秒〜数分のバックアップを行い、非常用発電装置などが作動するまでを補償します。鉛などの重金属を使っていないため、環境負荷が少なく長寿命というメリットがあります。


3. 小型軽量化

可搬式X線撮影装置

コニカミノルタ株式会社のワイヤレスタイプ可搬式X線撮影装置のパネル本体に、「ULTIMO®」が採用されています。業界初の採用であり、軽量で持ち運びに便利でありながら医療機器として求められる高い安全性をクリアしています。また充電が速く、充放電を繰り返しても劣化しにくい高い耐久性などが評価されています。


4. メンテナンスフリー

可搬式X線撮影装置

高速道路の中央分離帯や道路分岐部などで障害物をドライバーに知らせるソーラー式の視線誘導標は、太陽電池で発電した電気を「ULTIMO®」に蓄えることで、外部からの電力供給が不要になります。長寿命なのでメンテナンスが難しい場所にも設置しやすく、また内部抵抗が低いため曇りや雨でも太陽電池で高効率の充電が可能です。


リーディングカンパニーとして、
リチウムイオンキャパシタが持つ可能性を広げていきます

ボランティア髙木英則
JMエナジー株式会社
開発担当執行役員

リチウムイオンキャパシタは、世界でもまだ数社しか扱っていない新しいデバイスです。私たちが世界に先駆けて量産工場を稼動したことはお客様からの大きな信用につながっており、また国際的な標準化をリードするうえでもメリットになっています。
あらゆる面でのエネルギーの効率的な利用のためにリチウムイオンキャパシタを活用できるようにしたいと考えていますが、高電圧・移動型になるほど技術的な難易度は上がります。バスや建設機械などの実用化にも成功したので、今後はさらに性能を向上させ自動車を含めた広い分野への展開を目指していきます。
これからも、JSRグループの持つ素材とJMエナジー独自の技術を連携させることで、「Materials Innovation」で社会に貢献できるよう、挑戦を続けていきます。


さまざまな省エネ革新製品

躯体蓄熱※1への利用が進む「CALGRIP®(カルグリップ)」

物質が状態変化する際に放出・吸収するエネルギーを蓄える潜熱蓄熱材料「CALGRIP®」は、躯体蓄熱への利用が進んでいます。エネマネハウス2014(東京ビッグサイト)において、東京大学と千葉大学の次世代省エネ住宅に利用されました。東京大学は天井と床に「CALGRIP®」を設置。昼間に日射熱を蓄熱し夜間に熱を放出することで、冬でも快適な室温を保持できました。今後は、冷暖房器具の使用軽減を通して省エネルギーへ貢献していきます。
※1 躯体蓄熱:建物の天井、床、壁など主要な構造体に蓄熱する


次世代省エネ住宅東京大学の次世代省エネ住宅
(天井や床に使用)
CALGRIPの取付け「CALGRIP®」を天井に取り付けている様子

高機能塗料を実現させる「SIFCLEAR®(シフクリア)」

耐久性・防汚性に優れた水系フッ素エマルジョン「SIFCLEAR®」を使った塗料は、優れた耐久性により塗替回数を減らすことができ、水系のためVOC※2対策にも貢献しています。また優れた防汚性は美観の保持のみならず遮熱塗料の効果を長期間維持でき、タンク類で夏季の冷却散水を削減でき、散水による汚れの防止にも効果を発揮します。国内では住宅外壁や工場建屋の屋根・外壁、石油・ガスの備蓄設備での採用が増えており、今後は海外でも価値を認められていくと確信しています。
※2 VOC(Volatile Organic Compounds) 揮発性有機化合物。大気汚染の原因になる


四日市工場本館四日市工場本館。
壁面の黒い部分に「SIFCLEAR®」を使用
ブタジエンタンク鹿島工場のブタジエンタンク。
右のタンクに「SIFCLEAR®」を使用

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