製造技術・品質保証
研究室のフラスコで生まれた一滴の知が、世界の産業を動かす製品へと育つまで
JSRの製品や材料は、半導体やディスプレイをはじめとする世界の先端産業を支えています。その基盤となる「製造」「品質検査」「製造技術」の三つの部門では、研究開発から生まれた革新的な材料を商業生産へとつなぎ、顧客の厳しい要求を満たす品質を保証し、安定したプロセスを確立しています。
こうした活動をリードしているのは、派手さはなくとも、地道に、コツコツと、真面目に仕事に向き合う社員たちです。誠実な姿勢とチームワークが積み重なり、JSRの強みである「確かな品質」と「安定供給」を生み出しています。
製造部門
製造部門は、研究開発で生まれた製品を量産につなげる役割を担っています。当社が扱う高機能・高付加価値の化学製品は、わずかな異物混入も許されないため、高度に制御された環境で製造されます。また、安定した化学組成や構造を保つために、厳格に管理された条件下での生産が欠かせません。
研究室の小さなフラスコの中で合成した材料を、商業レベルの大きなタンクで作るためには、緻密かつ高度な技術、そしてそれを支える人材が不可欠です。「自分たちの手で世界の先端産業を支えている」――その誇りと、人を尊重する姿勢、そして、顧客への安定供給を守り抜くという使命を胸に、当部門は日々妥協なく製造に挑んでいます。
例えば、電子材料事業では

半導体に回路を描くための特殊な液体「フォトレジスト」は、目に見えない異物でも致命的な欠陥を生むほど繊細な素材です。そのため、製造はすべてクリーンルーム内で細心の注意を払って行われます。工程は原料投入から調合、ろ過、充填までの多くが自動化されていますが、数十種類に及ぶ製品を正確につくり分けるには人の知識や経験が技術の要となっています。だからこそ機械だけでなく、スタッフ一人ひとりを大切にし、知恵とチームワークを積み重ねています。
品質検査部門
品質検査部門は、製造された製品の品質を検査し、その出来栄えを確認する役割を担っています。顧客が求める性能が高まるにつれ、試験の内容や数もますます高度化してきました。研究開発フェーズで立ち上げた検査手法をベースに確立された試験を行うだけでなく、再現性の優れた分析方法や精度向上等の技術検討も欠かせません。また、こうして得られた各試験結果が顧客規格に全て合格している事を証明するものがCoA(Certificate of Analysis)です。品質検査部門では、このCoAの信用度を更に高めるためのData Integrity向上にも力をいれています。
例えば、電子材料事業では

電子材料における試験は大きく2つ、ウエハー上に塗布したフォトレジストの性能を確認する実装評価と、薬液そのものの物性を調べる機器分析に分かれます。ナノサイズのパターン寸法の制御や欠陥数の計測、金属不純物量のppbレベルの分析など、いずれも極限の精度が求められる専門性の高い領域です。
合格した製品だけを出荷し、異常品は絶対に流さない。その信念を胸に、社員、一人ひとりが強い信念と責任感を持って日々の試験に取り組んでいます。
製造技術部門
製造技術部門は、その名の通り、開発品の量産立ち上げや工程改善等の「製造技術」を担っています。これに加えて、原料管理、開発品の量産化検討、統計を活用した工程管理、クレーム対応、製造条件の安定性精査など、幅広い業務に携わっています。
メンバーのバックグラウンドも多様で、新入社員はもちろん、R&Dなど他部門で経験を積んだ人材や、様々な業界で活躍してきたキャリア採用のスタッフも活躍しています。業務は社内にとどまらず、原料メーカーや顧客への直接対応も重要です。特に顧客の多くは海外にあり、世界中の顧客サイトに赴き、JSRの製造プロセスを熟知した製造技術部員が自ら現場での直接対話を重ねることこそ、信頼を得るために欠かせません。多様な人材の力を結集し、信頼を築く姿勢こそが、この部門の強みです。
例えば、ディスプレイソリューション事業では

当事業ではディスプレイパネルの中心である中国市場において、顧客対応と意思決定の迅速化を目的に、四つの現地化※を推進しています。そんな中で、四日市に拠点を構える製造技術部門は、グローバルに品質保証や管理を推進する技術の司令塔として、製造拠点となる九州、韓国、中国(常熟)を牽引しています。顧客や現地法人とのコミュニケーションを大切にして、品質競争力の更なる強化に取り組み、ディスプレイ・光学部品業界に安心と信頼に基づくソリューションを提供しています。
- ※四つの現地化:①事業HQ、②営業、③製造、④技術サービス の4つを中国で現地化することで、顧客対応と意思決定の迅速化を図っています。
プロセス技術開発室
プロセス技術開発室は、研究室で得られた処方や製造条件を実機で再現し、パイロット運転を通じて量産に適した運転条件や設備仕様を確立します。試作と検証を重ねる中で、化学反応や精製・分離などのプロセスを深く理解し、安全性や再現性を確保するための改善を製造現場と協働して進めていきます。
当室では、単なる実験データの解析や条件設計にとどまらず、自ら実機を操作して運転を行い、異常時の原因究明や対策立案まで一連の業務に携わります。製造部門、製造技術部門、エンジニアリング部門と密に連携しながら、量産化に伴うリスクを事前に洗い出して対策を講じることで、より安全で効率的な製造プロセスを築いていきます。近年はデジタルツールやシミュレーションを活用した設計や工程解析も取り入れ、持続可能で環境負荷のより低いプロセス開発にも注力しています。


エンジニアリング部
エンジニアリング部は、工場における安全で安定した生産を支える「ものづくりの基盤」を担う技術部門です。製造現場や生産技術部門と連携しながら、プラント・生産設備の計画、設計、施工管理、試運転、保全・改修・更新まで、設備ライフサイクル全体を通じて工場運営を技術面から支えています。
業務領域は、プロセス設備に加え、クリーンルーム、ユーティリティ、計装・制御システム、情報ネットワークなど多岐にわたり、官公庁への申請業務、工事費積算、定期点検の実施、システムの運用・保守なども含めて、品質・安全・安定供給に不可欠なインフラ環境を維持・管理します。日々の業務においては、突発的なトラブルへの対応と再発防止、改善提案を通じて、設備の信頼性向上と効率化を継続的に推進しています。
また近年は、DXや各種シミュレーション、データ活用を取り入れた高精度な計画・設計を進めるとともに、自動化・省力化や運用効率化に寄与する技術の導入を推進し、製造部門の生産性向上にも貢献しています。こうした活動を通じて、エンジニアリング部は「安全・安定・効率」を中核的な価値観として掲げ、国内外の生産拠点を技術的に支える中核組織として進化を続けています。


