アカデミックで磨き込んだ知見を
製造業の開発最前線に活かしたい

大西は米国で物理化学の博士研究員として高分子の高精度電子状態理論を学び、帰国後は神戸大の大学院でスーパーコンピュータを用いる大規模高精度量子化学計算手法の開発と応用に取り組んでいた。コンピュータを駆使した「計算」によって、物質の組成構造を解き明かす手法を確立しようとする大西の関心はやがて、未知の物質の探索や開発へと向かった。

「アカデミックの最先端で培ってきた計算化学の技術や物理化学の知識を、機械学習と組み合わせて効率的に新たな材料を探索するマテリアルズインフォマティクスに昇華し、製品開発という実際のモノづくりに活かしたいと考えたのです」

そのステージにJSRを選んだのは、新たに計算化学のエキスパートを揃える部門を立ち上げるなど、新規材料開発に計算化学の手法を大幅に取り入れようとしていることを知ったからだと言う。

「ここならデータサイエンティストという立場から材料開発の一大改革を主導できると感じました」

大西の写真 量子化学のイメージ写真

未知の新材料や代替材料を求め
既存の研究開発部門を強力支援

現在、大西は社内に蓄積された実験データを用いて、目的の特性を持った新規材料を効率的に探索するための方法論をつくる業務に注力している。マテリアルズインフォマティクスは、それだけで新規材料にたどり着けるものではなく、実験を繰り返して目的の化合物に迫っていく現行の研究開発部隊に、効率性や方向性を与える役割を担う。そうした立場に、大西は大きなやりがいと手応えを感じ始めていると語る。

「新規材料開発の領域に足を踏み入れたばかりですが、大きな分子量を持つ高分子化合物にあって、組成とその物性の相関が特定されているものはほんの一部であることが見えてきました。まだまだ探索していない未知の材料が数多く残されているのです。取り組み始めて約1年、実験チームとの協働作業も進み、その成果も見え始めました。私たちが今後の新規材料開発を強力にバックアップできる確信を、最近ますます強く感じられるようになっています」

大西の写真 分子構造のイメージ写真

革新の渦中にある材料開発最前線
その変化を主導できるポジション

JSRの研究開発部門におけるデータサイエンティストたちは、分析部門内の一員という位置付けではなく、より進んだ研究開発手法の確立が期待され、次代のJSRの産業競争力につながる成果が期待されている。

社外交流も活発。IBMが主催する基礎研究コンソーシアムのResearch Frontiers Instituteに参画する他、日本のデータ科学の中核研究拠点と言える統計数理研究所とのコラボレーションも進んでいる。化学業界では最先端クラスの取り組みと言えるだろう。その中に身を置く大西は、恵まれた環境だと言う。

「新規材料探索にコンピュータによるデータ解析の導入が進むことで、開発効率は飛躍的に向上します。また、その手法自体も刻一刻と進化しています。この変化のスピードをオンタイムで感じ、尚且つ主導している毎日は刺激にあふれています。自分たちがJSRの新規材料開発にどれだけ関われるか、世の中を一変するような製品づくりにどれだけ貢献できるか、未来が本当に楽しみです」

大西の写真 ビッグデータのイメージ写真

どんな仲間と働きたい?

本当に変化量の大きな日々なので、広い視野の中で自らの軸を持って、その変化を主導できる人と一緒に仕事をしたいですね。私の部署において、化学関連の知識はとても有用ですが、決して不可欠ではありません。データ工学の知見が少しでもある方でしたら、今までに磨いたスキルを材料開発のどこかに必ず活かせると思います。

JSRのお薦めポイントは?

とにかく仕事での自由度が大きく、様々なトライができます。それは自部署に限ったことではなく、社歴の浅い私でも、新しいことにチャレンジしている社員が本当に多いのを感じます。そして、みんな自らの成長に意欲を持ち、周囲と関わろうと積極的です。そんな仲間たちと人脈を築いていくのは有意義です。

JSRへの転職満足度は?

100点満点です。モノづくりに近い立場でマテリアルズインフォマティクスの知見を活かしたいという私の意気込みは、完全に満たされています。会社もこのR&Dの変革に積極的で、将来に向けた投資もしっかりと行っています。望外に良かったのは待遇と福利厚生の充実。さすが、実績やスケールの大きさを誇る企業だと再確認しました。