年頭のごあいさつ

企業情報
取締役社長 小柴満信

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

世界経済が2008年のリーマンショック後の低迷期を抜け出して拡大基調に入っていると言われている中で、2016年は地政学的な不安要素が昨年以上に増大すると思われ、原油価格の低迷も継続していて、当社業界においては回復基調を実感しにくい状況にあります。
しかしながら、米国では経済の堅調な回復を受けて昨年12月に金利の引き上げが正式に決定されるなど、世界経済は新たな成長へと始動しているものと思われます。

当社は今年、2020年のありたい姿の実現に向け「成長軌道へ」と位置づけた3ヵ年の中期経営計画「JSR20i6」の最終年度を迎えます。

石油化学系事業の環境は引き続き厳しいものと予想されますが、今年はタイのJSR BST Elastomer の第2期工場を確実に立ち上げるとともに、ハンガリーで昨年11月に起工したJSR MOL Synthetic Rubberの工場においては2017年度の立ち上げを目標に準備を進めており、グローバル市場でシェアをしっかりと確保する体制を整えてまいります。

ファイン事業は全体的には良好な事業環境が継続するものと期待されます。半導体市場では、2016年には14~16ナノメートル世代のデバイスの製造が本格化する中、当社半導体材料の優位性を発揮してまいります。フラットパネル・ディスプレイ材料に関しては、製造および消費地としての主役が中国に移るのを捉え、中国での販売基盤を強化するとともに、2016年に中国国内にLCD材料工場を稼働させる予定です。

戦略事業においては、引き続きライフサイエンス事業に注力してまいります。昨年は米国のKBI Biopharma社を共同買収(当社51%出資)し、医学生物学研究所を連結子会社化いたしました。ライフサイエンス事業の売上高は、2013年度の20億円から2015年度には200億円規模に成長してきております。

いずれにいたしましても、産業の地図が明らかに変化しつつあり、技術の変化と市場環境の変化を敏感に感じ取る必要があります。当社は真のグローバル企業として、事業、研究・技術開発などの意思決定をすべて日本で行うという行動様式から、一日も早く脱却しなければならないと肝に銘じているところでございます。

こうした事業展開の基本として、当社は「労働安全がすべてに優先する」との認識のもと、2014年から労働災害・設備事故撲滅のプロジェクトを推進しております。今後もこうした活動を地道に継続し、労働安全の「心構え」と「職場の風土」を醸成してまいります。

当社は来年、創立60年を控えております。会社として還暦という大きな区切りを迎える前の大切な1年として、成長軌道への確かな足固めに取り組んでまいる所存です。
本年も何卒、倍旧のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。