年頭のごあいさつ

企業情報
取締役社長 小柴満信

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
世界景気はまだら模様ながらも好転してきておりますが、「不確実性」と「多様化」に富んだ時代が相変わらず続いており、地政学的にはむしろ不安定さが増しているようです。

新年を迎えるに当たり、経済や技術の動向、地政学的な変化を敏感に感じ取りながら事業を運営していくことの重要性を再認識しているところです。

当社は、「成長軌道へ」と位置づけた3ヵ年の中期経営計画JSR20i6を昨年4月にスタートさせ、「結果を出す」ことを念頭に様々な取り組みを進めております。

石油化学系事業においては昨年、当社初の海外大型石油化学プラントであるタイのJSR BST Elastomer(JBE)が立ち上がり、低燃費タイヤ向けのS-SBR(溶液重合SBR)の生産を開始いたしました。現在第2期工事も進めており、製造能力を更に増強してS-SBRで世界ナンバーワンのメーカーを目指してまいります。

ファイン事業では、半導体材料については最新のスマートフォン向けの最先端半導体を製造するアジアの顧客への出荷が順調に伸びており、LCD(液晶ディスプレイ)材料も需給バランスが好転してきております。引き続き、事業部、研究、製造技術、製造部門が一体となり、シェア拡大を図ってまいります。

新しい事業の柱となる戦略事業では、リチウムイオンキャパシタ(LIC)関連事業とライフサイエンス事業の2分野に注力いたします。

LIC関連事業を行うJMエナジー社(山梨)では現在、年産300万セルの能力を持つ工場を建設中です。急速な需要増が見込まれる扁平角缶型セルの世界初の量産工場として、今年稼働する予定です。

ライフサイエンス事業については先端診断薬事業およびバイオプロセス材料事業を中心に事業展開を図っており、昨年7月に製薬委託事業の日本最大手であるシミック社と合弁で、次世代の抗体医薬の製造プロセスの開発を目指す「シミックJSRバイオロジックス株式会社」を設立いたしました。

さて、このような事業構造の改革、強化を進める中でも忘れてはならないのが、安全安心の確保です。企業の社会的責任の基本として、当社の持つ労働安全、設備保全力の良いところを保持しながら、安全文化を検証し、再構築する時期に来ていると認識しております。

2015年はとにかく実行あるのみの1年になります。グループ一同、目指す方向は間違っていないとの自信と勇気をもって各事業課題に挑戦し、克服していくことが重要であると考えております。本年も何卒、倍旧のご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。