Materials Innovationという方向性の中で、お客様との“Innovation One on One”ということをずっとやってきました。つまり、お客様との1対1の特別な関係の中で、イノベーションを生む体制をつくるということです。お客様には、完成した製品というよりも、JSRとの関係を買っていただくといったニュアンスがあります。
ただし、“Innovation One on One”には使える分野が限られるという弱点があります。我々は勝ちパターンとして“Innovation One on One”に取り組んできましたが、変化が速いデジタルレボリューションにおいては、これだけでは勝てません。ですから、全く違うビジネスモデルをどう生むかがが問われていると思います。これは当社にとってすごいチャレンジだと思います。
信頼しつづけてもらえる企業であること
ピーダーセン:
2015年9月にSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)という「世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が国連で採択されました。これは社会をいかに変えていくか、そのために何をするかというベクトルだと思います。それに対して事業イノベーションで何ができるかが重要です。元来の信頼性や誠実さといった強みと創造的イノベーションの強みの掛け算ができますね。私は、これからのROIとは“Return on Investment(投資に対するリターン)”ではなく、“Return on Integrity(誠実さに対するリターン)”だと言っています。もし、CSRとは疲弊を生む辛いもので、事業活動と社会のトレード・オフの関係にあるという状態があるのならば、それを解消しトレード・オンの関係にしていく。そのことでブランド価値が高まり、リターンが増えるのだと思います。