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JSRの低燃費タイヤ向け溶液重合SBR(S-SBR)について

JSRの合成ゴムのひとつである溶液重合SBRとは、分子構造に特徴をもち、加工性、低燃費特性に優れており、低燃費タイヤの原料として国内外で高い評価を受けています。低燃費タイヤとはタイヤの転がり抵抗を低減して燃費を向上させたタイヤで、日本・欧州を中心に需要が急拡大しています。

当社のS-SBRの生産拠点は三重県四日市工場、タイJSR BST Elastomer社(増設中)、ハンガリー JSR MOL Synthetic Rubber社(建設中)で、現在の生産能力は11万トン/年です。 2017年には22万トン/年になる予定です。低燃費タイヤ用途でS-SBRの需要は世界的に一層拡大することが見込まれておりS-SBR事業の拡大をグローバルに進めていきます。

S-SBRの主な用途は自動車のタイヤトレッドです。自動車のタイヤトレッドは、唯一路面と接地するタイヤ部材で、ブレーキ性能(グリップ力)や低燃費性能(転がり抵抗)へ寄与します。
タイヤの転がり抵抗が燃費に与える影響はおよそ15%、そのうちトレッドの影響が約50%であり、自動車全体では7.5%の影響をトレッド部分が与えることになります。

低燃費タイヤには低い転がり抵抗と高いグリップ力という、相反する性能が要求されています。JSRが培ってきた技術によって開発したS-SBRは、その性能を実現するために、グリップ力を左右するゴムの材質自体はかえずに、ゴムの分子と補強材の分子同士が結びつきやすくなるように分子の末端に変化を加え、摩擦による発熱(エネルギーロス)を従来の45%減まで抑え、転がり抵抗が低くなるように設計されています。

タイヤのライフサイクル全体(原材料から生産、流通、製品使用、廃棄)において、最も環境負荷が大きいのが使用段階であることも一つの要因として、環境に対する意識の高まっていることや日本及び欧州におけるタイヤのラベリング規制を背景に低燃費タイヤの需要が急拡大しています。