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JSR、中国での診断薬事業の合弁会社本社工場が竣工

企業情報 2012年04月16日
 JSR株式会社(本社:東京都港区、社長:小柴満信、以下「JSR」)は、中国・北京市に拠点を持つ診断薬メーカーである北京万泰生物薬業有限公司(総経理:邱子欣、以下「万泰社」)と合弁で設立した捷和泰(北京)生物科技有限公司(以下「捷和泰」)の本社工場の竣工式及び祝賀セレモニーを、2012年4月13日に開催しました。捷和泰は、ラテックス診断薬や化学発光診断薬の中間体の開発・製造・販売を行います。

 当日は、今回の合弁会社設立に携わった北京市昌平地区の行政関係者や協力会社、北京万泰生物薬業有限公司の親会社である養生堂グループ鐘睒睒会長などが参加し、盛大に式典が行われました。
 この式典で、JSRの吉田淑則会長はグループを代表して、「急速な経済発展を達成し、社会インフラの整備が進んでいる中国において、高度医療の進捗に大きく貢献する高度診断薬や中間体を提供できることは、社会的にも経済的にも重要な意味を持っています。中国のバイオメディカル分野に大きな影響力をもつ万泰社と多くの先端材料を扱うJSRの協業によってビジネス拡大に威力を発揮し、成功を収めるものと強く確信しています。」と述べました。

 抗原抗体反応を利用したラテックス診断薬、化学発光診断薬*1などの高感度診断薬は、中国の生化学診断薬市場において、癌マーカー、心疾患、内分泌ホルモンなどの診断用として年率40~50%と飛躍的な伸びを見せており、今後有望な市場に成長するといわれています。
今回、合弁会社である捷和泰では、JSRが従来から国内外の診断薬メーカーに提供しているラテックス粒子*2、磁性粒子*3などの粒子技術を活用した診断薬の中間体の開発・製造を実施し、パートナーである万泰社やその他診断薬メーカーに向けて、2012年夏ごろから販売を開始します。万泰社の中国市場で培ってきた事業ノウハウと当社の持つ粒子技術のシナジー効果により、中国における診断薬事業のより一層の拡大を目指します。

 当社は、2009年より戦略事業3分野の1つとしてメディカル材料事業の事業化を進めてまいりました。2011年度より開始した中期経営計画「JSR20i3」の中でも、同事業を重要事業分野と位置づけ、重点的に取り組んでおります。それに伴い、2012年1月に、当該事業における企画、販売、研究開発、製造および品質保証を一体化した新会社「JSRライフサイエンス社」の設立を決定しました。今後の事業の運営に際しては、JSRライフサイエンス社と捷和泰、欧米にあるJSRグループが進めるメディカル材料事業と連携し、グローバルな事業体制を構築して世界市場での動きに迅速に対応していきます。

 JSRの企業理念「Materials Innovation -マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」の下、当社が強みを発揮できる高い競争力を有している各種粒子・ポリマーの技術を核に、外部との積極的な連携を行いつつ、診断薬分野、バイオ医薬の製造・精製用の材料などのライフサイエンス分野での事業創造と社会への貢献にチャレンジしていきます。

参考資料:
<捷和泰(北京)生物科技有限公司の概要>
名称:  捷和泰(北京)生物科技有限公司 (英語名称:J and W Beijing Biotech Co., Ltd.)
所在地: 北京市昌平区科学園路31号 
代表者: 藤原 秀悦
事業内容:診断薬の中間体の研究開発、診断薬中間体、化工品、電子製品、機械設備の卸売、等。
設立年月日:2012年2月8日 (営業開始予定:2012年夏頃)
資本金: 2,500万元
出資比率: JSR株式会社 60%

<竣工式の様子>
       

<用語説明>
*1 ラテックス診断薬、化学発光診断薬:通常良く行われる会社の健康診断などで、尿検査、血中の中性脂肪などの比較的検出感度の低い検査項目に用いられている生化学診断薬に対して、ラテックス診断薬はより高感度の抗原・抗体反応を用いた分析方法。体内の炎症の検出、癌などの検出、肝炎などの感染症の検出などに用いられます。化学発光診断薬は更に検出感度が高く、高価格では有りますが高精度の診断が可能となります。
*2 ラテックス粒子:エマルジョンと粒子合成技術による精密な粒子径制御と多彩な表面化学を用いた粒子。
*3 磁性粒子:ラテックス粒子を磁性体で覆った粒子