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JSRグループのイーテック、新規水系粘接着剤を開発

製品情報 2012年03月26日
 JSR株式会社(社長:小柴満信)のグループ企業で、エマルジョン系化成品の製造・販売会社である株式会社イーテック(社長:辻 昭)は、プラスチック基材用途に活用できる新規の水系粘接着剤を開発したことにより、アクリル樹脂系エマルジョンの粘接着剤市場への展開をさらに強化してまいります。

平成6年の悪臭防止法以降、平成18年のVOC規制により、産業用途に使われる塗料、粘着剤は有機溶剤系から水系へと大きな構造転換が図られています。すでに車両や建材用の塗料は水系が主流となっており、粘着剤も紙基材用途には水系の粘着剤が広く普及しています。

一方、プラスチック基材用途には水系の粘着剤は乾燥時間が長い、耐水性に劣り、吸水によって粘着力が低下する、特に建材用途には結露などによって粘着力が低下するなどの実用上の多くの課題を抱えていました。したがって、大手の加工メーカーでは水系の粘着剤を使用する代わりに、有機溶剤系の粘着剤を現在も使用し、種々の規制への対応や従業員の作業環境の改善のために揮発する有機溶剤を回収するなどの手段をとっています。しかしながら、依然として臭気の問題や製造工程のエネルギー原単位が高くなるなどの問題を抱えています。

今回、株式会社イーテックは独自のアクリル樹脂系のエマルジョンの開発に成功し、従来の水系の粘着剤が持つ種々の実用上の課題を解決しました。特に耐水性に関して大幅な改善を図りました。従来の粘着剤は水浸漬試験*1などの過酷テストをすると1時間で粘着力低下や白化が見られましたが、今回開発した株式会社イーテックの粘着剤は24時間たっても白化することなく十分な耐水性と粘着力を備えていることがわかりました。したがって、屋外の雨水や水周り、寒暖の差で結露の懸念のある箇所など、水との接触が多い過酷な条件で使用されるフィルムや建材を粘着する場合にも、株式会社イーテックの開発した新規の水系粘着剤が使用可能となります。

現在、建材メーカーやフィルム加工メーカーで採用を前提とした実用評価の段階に進展しており、株式会社イーテックはこの新規水系粘着剤を2012年夏に「アクアトラン」(「AQUATRAN」)*2の製品名で上市を計画しています。

<*1:水への浸漬試験>
白化性評価方法:50μm厚のPETに粘接着剤を塗布した試験片を、水に24時間浸漬した後、ガラス版を貼り付けて、目視で粘接着剤の白化の程度を評価する。
<*2:「アクアトラン」(「AQUATRAN」)は株式会社イーテックにより商標出願中です。>