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JSR、タイでのS-SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)の合弁会社設立、及び製造プラントの新設について

製品情報 2011年03月01日
 JSR株式会社(本社:東京都港区、社長:小柴満信、以下「JSR」)は、Bangkok Synthetics Co., Ltd.(以下「BST」)とタイにて合弁会社を設立し、S-SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)の製造プラントを新設することに合意する旨のLOIを締結しました。合弁会社は当社が51%、BSTが49%を出資して設立し、新設プラントは、5万トンから10万トン/年の生産能力を確保し、2013年6月に稼動を開始する予定です。

 S-SBRは、主にタイヤや工業用品用途に使用される高機能合成ゴムです。特に近年は、環境意識の高まりやタイヤの低燃費性能の格付け制度の普及を背景に、エコタイヤと呼ばれる低燃費タイヤ向けへの需要が世界的に急拡大しています。アジア地域においても域内需要のみならず、欧米向けを中心とする輸出用低燃費タイヤの生産拡大に伴い、需要が急速に伸長しています。また、当社のS-SBRは高度なポリマー技術によって、タイヤのグリップ性能やハンドリング性能など他の性能を犠牲にすることなく、低燃費化が実現できることから高性能な低燃費タイヤ用素材として国内外のタイヤメーカーから高く評価されています。現在当社の国内及び欧州工場はフル稼動の状況が続いており、今後も拡大が見込まれるS-SBR需要増に対応するため、今回アジアの供給拠点としてタイにおいてBSTと共同で新たに製造プラントを建設することに基本合意しました。

 当社は、現在主力工場である四日市工場において、2011年11月の完成を目指し、2万5千トン/年の生産能力増強を実施中であり、完成後は6万トン/年となる予定です。また、欧州においても2009年からStyron Europe, GmbH(当時Dow Europe, GmbH)との間で3万トン/年の引取り権契約に基づいた生産を開始しています。今回これらに加え、新たにタイにおいても拠点を確保し供給体制を強化することにより、S-SBRのグローバル展開をさらに積極的に進めていきます。とりわけタイは、大手タイヤメーカーの工場があり国内市場が大きいこと、アジア域内への輸出拠点としての利便性も高いことから、これらの優位性を活用してグローバルな供給拠点の一つとして体制の整備を図ってまいります。

 新たに合弁で設立する会社では、JSR及びBSTがそれぞれの強みを持ち寄り、共同して一体的な事業運営を行っていきます。特に当社から低燃費特性に優れたS-SBRの技術ライセンスを供与し、BSTからは主原料を供給することにより、高性能のS-SBRを安定的に供給する体制を構築します。また、BSTは子会社であるBST Elastomers Co., Ltd.において合成ゴムの製造プラントを持ち、高品質な合成ゴムの生産に実績があります。

 当社は、エラストマー事業の中でも、タイヤの低燃費化を通じて環境への貢献が多大なS-SBRを成長事業と位置付けています。当社は引き続き、今後の世界的な需要の拡大に対応して、タイムリーにグローバルで最適な供給体制の構築を図り、S-SBR事業の拡大を積極的に進めてまいります。

<新設予定プラントの概要>
 1.工場所在地: タイ国ラヨン県マプタプット地区
 2.生産品目:  S-SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)
 3.生産能力:  年産5万トン~10万トン
 4.稼動予定:  2013年6月