10 Years Project 上田の写真

J. Ueda

上田の10 Years Project

機能高分子研究所 高分子材料開発室
1998年入社

個性を尊重し、多様性を育む。
だからこそ、イノベーションが生まれる。

1998年に入社後、光学材料の研究開発に従事。その後、2004年にディスプレイ材料開発に異動。当時、工場が設立したばかりの韓国に駐在し、工場立ち上げと技術営業を担当。管理職へ昇格した2011年には、石油化学系のエラストマー材料開発へ異動。ファイン系と石油化学系の両方の研究開発を経験し、見聞を広められたことは、研究者として大きな財産になったと語る。

My 10 Years

上田の10年

まだ世に無い、
新しいものを作りたい。

20年も前のことなので、正直うろ覚えなのですが(笑)。当時、大学院で研究していた私が就職活動で大切にしていたことは、「まだ世に無い新しいものを作りたい」ということ一つ。数ある企業の中で、たまたま手に取ったJSRの紹介パンフレットに、「合成ゴムでNo.1」ということが書かれていました。「ナンバーワンの会社なら、技術力もあり、環境も整っていて、新しいものを作れるはずだ」という単純かつ明解な考えから、入社を決めました。また、今ではジョブローテーションという言葉は一般化されていますが、当時からCDP制度という形で幅広いキャリア形成を打ち出している会社は、非常に珍しかったと思います。それも、JSRに決めた理由の一つだったと記憶しています。

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他社が出せなかった特性を、半年間で実現。
世界的ヒット商品の一翼を担った。

企業で研究開発を担う私たちにとって、大きなモチベーションとなるのは、開発した製品が世の中に新しい価値を提供することです。私にも印象的なエピソードがあります。私が日本でディスプレイの材料開発を行っていた頃の話です。ある会社が新しいコンセプトで発売するデバイスの材料が、他社でどうしても目標の特性が出ずに、発売が延期になっていました。そこでJSRにもオファーがあったのです。テーマ自体が、私の担当領域だったので、思いつく可能性があるものをしらみつぶしに試験し評価していきました。結果的には苦労の甲斐あって、半年後に目標の特性を実現。その製品は世界中で発売され、大ヒット商品になりました。この時は、企業で研究開発を行う醍醐味を感じましたね。

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設立当初の韓国工場へ。
文化の違いに驚かされた。

2006年、韓国に設立された当社グループ会社のJSR Micro Korea(JMK)で、半年間の駐在を経験しました。私も工場立ち上げから技術営業まで幅広い業務に携わりました。私にとっては初めての海外駐在ということもあり、その文化の違いに驚かされました。当時担当していた韓国ユーザーは、日本のユーザーとはスピード感が異なり、当時のJMKではまだ研究開発の環境が整っていなかったため、打ち合わせ後直ぐに日本と電話会議したりと、そのタイムラグを埋めるのに大変苦労しましたね。しかし、グローバル市場で勝負する上で、そのスピード感は非常に良い経験となりました。また、韓国人はお酒の席をすごく大切にし、何せ強い。「チング(仲間)!チング!」といって、みんなで肩を組んで飲み明かしたらしいのですが、詳しくはその当時から記憶にありません(笑)

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培ってきた大きな財産を、
次の世代へ。

私自身、CDP制度を通してファイン系材料開発と石油化学系材料開発の両方を経験できたことは、研究者として大きな財産になったと思っています。スケール、開発スピード、材料系が全く異なる両分野での経験は、技術、品質、製造、マーケットなど多角的に視野を広げてくれました。そして今は、部下からの希望を受け止める立場になりました。その上で心がけていることは、できる限り本人の個性や意思を尊重し、将来の可能性の幅を広げてあげることです。また、CDP制度は、個人の成長だけでなく、組織内の人材交流も盛んにしています。異なる知識や多様な経験をもつ人たちと同じ部署で同じテーマに携わることで、互いの成長を促し、さまざまな角度から検討する力が培われていきます。個性を尊重し、多様性を育む環境だからこそ、新しい技術や発想、イノベーションが生まれつづけているのだと思います。