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JSR、難治性肝疾患の治療、診断に関わる研究成果の独占的実施権を取得

企業情報 2019年06月11日
JSR株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:小柴満信、以下「JSR」)は、慶應義塾大学より肝移植以外に有効な治療法が少ない難治性自己免疫性疾患である原発性硬化性胆管炎(PSC)の治療、診断に関わる研究成果の独占的実施権を取得しました。また、バクテリオファージ(細菌に感染するウィルスの総称)を用いた細菌感染症治療薬の開発を進めている創薬ベンチャーであるBiomX Ltd.(本社:Ness Tziona, Israel、CEO Jonathan Solomon 以下「BiomX社」)に対して、本研究成果のうちファージセラピー)への応用に限定した独占的再実施許諾を行いました。

慶應義塾大学医学部消化器内科(金井隆典教授)の研究グループは、腸内細菌叢の乱れに乗じて、通常は口腔などに存在するクレブシエラ菌などが腸管内に定着し、腸管バリアを破壊して腸管の外にあるリンパ節に移行することで、肝臓内のTh17細胞と呼ばれる免疫細胞の過剰な活性化を引き起こし、PSCの発症に関与する可能性があることを明らかにしました。その成果は、本年1月14日にNature Microbiology 誌 (DOI: 10.1038/s41564-018-0333-1)に掲載され、腸内細菌を標的としたPSCに対する新たな治療薬や診断薬の開発につながることが期待されます。

慶應義塾大学からの独占的実施権取得に基づくBiomX社への独占的再実施権許諾は、慢性炎症性腸疾患の治療、診断に関わる研究成果(2018年1月30日)に引き続き2件目となります。当社は、JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター(JKiC)での取り組みを通じて、腸内細菌叢の恒常性維持に関わる技術、および診断薬の開発を進めて行きます。また、BiomX社では、PSCの発症に関与していると考えられるクレブシエラ菌を標的とするファージセラピーの開発を進めて行きます。ファージセラピーは、標的とする細菌のみを殺傷できるという特徴があります。抗生物質のように腸内細菌叢の攪乱を起こさないため、抗生物質耐性菌による院内感染などが社会問題化する中、抗生物質に代わる細菌感染治療法として再び注目されてきています。

JSRグループは、オープンイノベーションにより革新的な材料や製品の開発に取り組んでまいります。

【本研究成果について】
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)に採択された「腸内細菌-上皮細胞相互作用から読み解く疾患発症メカニズムの解明」の成果として慶應義塾大学医学部消化器内科教室 (金井隆典 教授) および共同研究者らによる先駆的なヒト腸内細菌叢の研究より生みだされたものです。

*バクテリオファージ/ファージセラピー細菌に感染するウイルスの総称。感染すると細菌内で増殖し、最終的には完全に溶菌させて宿主細菌を死滅させる種類のものもあり、これを細菌感染症の治療薬として応用するのがファージセラピーである。