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JSR、液晶ディスプレイ用新規配向膜を開発し、販売を開始
~プラットフォーム原料の開発、および、新規開発手法の活用~

製品情報 2019年05月13日
JSR株式会社(代表取締役社長:小柴満信)は、液晶ディスプレイ(LCD)の基幹材料である配向膜について、LCD製造における低温焼成を可能にするグレードを新規に開発し、販売を開始しました。

従来のLCD用配向膜は、ポリイミドやその前駆体(前段階の物質)が主たる原料ポリマーですが、同配向膜の生産にはN-メチルピロリドン(NMP)といった高沸点・高極性の溶媒が必要です。また、LCDを長時間駆動させる高い信頼性を実現するために、配向膜には化学的に安定した構造が求められ、顧客の生産ラインでは、200℃以上の高温焼成が必要です。
今回開発した原料は、化学的に安定した構造である有機多環化合物で構成されているため、同原料を使用した新規配向膜でのLCD生産プロセスにおいて、低温焼成が可能になります。更には、NMPではなく一般的な有機溶剤を用いても、溶解度が高く、同配向膜の良好な基板塗布性を実現することができます。
同配向膜は、既に一部顧客製造ラインにてLCD生産適用可能との評価を得ており、150℃~200℃の低焼成温度で実用化できることが実証されたことにより、今後、販売を拡大していきます。

次世代技術となる8K放送の普及に向けては、高精細、かつ、高輝度(明るさ)を実現する新たなLCDが必要であり、今回開発した新規配向膜は、コスト・輝度・精細度において高性能なLCDの実現に寄与する材料です。また、今回開発した原料ポリマーは、配向膜にとどまらず、層間絶縁膜やカラーフィルター用材料においても低温焼成実現に寄与するため、新規材料のプラットフォーム原料となります。今後、様々な新規材料を取り揃えて、それらを組み合わせることにより、LCDの高性能化を提案していくことで、LCD材料の更なる高付加価値化も進めていきます。

また、今回の新規配向膜および原料ポリマー開発においては、当社が積極的に推進するデジタリゼーションに対応したデータ解析やシミュレーションを活用することにより、従来、顧客の生産ラインでの試作を繰り返さなければ発見できなかった課題を未然に解決することにより、研究開発のスピードアップにもつなげています。
更に、低温焼成を実現することにより、LCDの製造工程において、電力消費が減少し、環境負荷低減に貢献することが期待されます。

今後も、企業理念「Materials Innovation マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」に立脚して、ユーザーの皆様にさらなる付加価値を提供してまいります。