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JSR、新規の高靱性ポリ乳酸系バイオ樹脂「BIOLLOY(バイオロイ)*1」を発売
~耐衝撃性を従来比約5倍に向上~

製品情報 2010年10月26日
 JSR株式会社(社長:小柴満信)は、戦略事業として位置付けている「環境・エネルギー分野」の製品として、植物由来材料であるポリ乳酸*2と熱可塑性樹脂を複合化したバイオ樹脂(バイオプラスチック)「BIOLLOY」を、2010年11月に上市します。
 本製品は用途に合わせて植物由来材料であるポリ乳酸の配合率を5~80%の間で変更可能なポリマーアロイ*3で、既存の一般的なバイオ樹脂に比べて約5倍の耐衝撃性を実現しています。

 バイオ樹脂は、原料である植物が二酸化炭素を吸収するためCO2循環(カーボンニュートラル)性質があり、石油資源の枯渇対策にも寄与する材料として注目されています。
 しかし、従来の石油油来の樹脂に比べて、耐衝撃性や成形性などの性能、成形後の外観も劣っていたために適用範囲が限られていました。耐衝撃性、成形性を確保するためには石油由来樹脂を配合する必要がありますが、植物由来樹脂との相溶性が悪かったため、植物由来樹脂の配合比率は50%以下に抑えられることが多く、環境負荷低減への効果が期待されるバイオ樹脂としては、植物由来樹脂の比率を高めることが望まれていました。

 今回開発した「BIOLLOY」は、当社独自技術で石油由来樹脂と植物由来材料であるポリ乳酸との相溶性を向上させたことにより、耐衝撃性、成形性といった性能および成形後の外観を大幅に改善しました。
 既存の一般的なバイオ樹脂に比べて5倍の耐衝撃性を有しており、これまでポリ乳酸系バイオ樹脂の欠点とされていた「もろさ」を大幅に改良しています。
 また、ポリ乳酸系の配合率を、用途に合わせて5~80%の間で変更することが可能であることに加え、加工方法にあわせた流動性を実現することができるため、複雑な形状の成形に向いている射出成形法、ブロー法や押し出し、フィルムなどの各種加工方法に適用することができます。近年、バイオ樹脂の採用が拡大している食品包装、化粧品容器や洗剤などの家庭用品容器、日用雑貨だけでなく、耐久性や耐衝撃性が必要とされる自動車内装、外装部品やOA機器、家電製品の筐体など、適用範囲や用途の拡大が見込まれます。

 当社はポリプロピレン、ポリエチレンといったポリオレフィン系樹脂やABS樹脂などと複合化した「BIOLLOY」の販売から開始し、順次、ほかの熱可塑性樹脂へ展開を図っていきます。製造・着色はJSRグループ内で行い、高品質な製品を安定的に供給していきます。
 なお、ABS樹脂と複合化した「BIOLLOY」に関しては、JSRグループであるテクノポリマー株式会社で取り扱っております。

 当社は今後も、企業理念「マテリアルズイノベーション -新しいマテリアルを提供し、その価値により豊かな人間社会(人・社会・環境)の実現に貢献します-」の下、ユーザーの皆様にさらなる高付加価値を提供するため、また、独自技術を活用して、地球環境保全や循環型社会の構築に寄与するために革新材料や技術の開発に努めていきます。

   *1「BIOLLOY」、「バイオロイ」はJSR株式会社により商標出願中です。
   *2 ポリ乳酸は、トウモロコシやイモ類,サトウキビなどの植物から取り出したでんぷんを発酵することによって得られるL-乳酸をモノマーとして重合させて合成するポリマー。「PLA(Poly Lactic Acid)」とも表記される。
   *3 ポリマーアロイとは、異なる高分子材料を混合して作る樹脂材料。