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JSR、タッチパネル向け光学用ITOフィルムに自社技術で本格参入

製品情報 2010年10月13日
 JSR株式会社(社長:小柴満信)は、現在急速に拡大中のスマートフォン、タブレット型PCなどタッチパネル市場向けに、当社の透明耐熱性と位相差発現性に優れるアートン樹脂に更に二次加工適性を大幅に向上したITOフィルムを開発しました。また、自社技術によるITO生産設備の導入を行い、本格的な供給体制を確立いたしました。当機能性フィルムはアートンの光学特性および耐熱性に、当社が保有するUV架橋系ハードコート材料と光学用ナノ粒子を活用し、高性能な透明電極を付与したフィルムです。なお、これらの製品は日本を含むアジア市場で市場開拓を進め、既に数社で採用実績が出始めています。

 JSRは単なる「革新素材」の提供だけでなく、その使いこなしによって、使用いただくユーザーの皆様に更なる価値を提供するために、2008年以降、精密加工技術を社内に構築してまいりました。今回、タッチスクリーンの生産に於いて銀ペーストの高温加工適合性や、加工時の割れ、反る等が少ない二次加工適性に優れるアートンフィルムを開発しました。そのフィルムを使用したタッチパネル向け透明電極ITOを付与したフィルムは、当社が独自に開発したシクロオレフィン系樹脂であるアートンのもつすぐれた光学特性と耐熱性に、社内で作り上げた製膜・延伸技術、フィルム表面への賦形技術、塗工技術、そして透明電極技術など、光学フィルムの積層技術を組み合わせた成果です。

 展開する主な透明導電フィルムの製品群は以下の通りです。

 ① 静電容量式用エッチングマークレスフィルム
 急拡大しているスマートフォンで使用される静電容量式タッチパネルでは、マルチタッチを可能にするために画面全体に電極のパターンが付与されています。エッチングにより形成された電極パターンが見えない導電性フィルムを提供します。

 ② 抵抗膜式用フルクリアーニュートンリングレスフィルム
 携帯ゲーム機やスマートフォンなどに使われているペンなどを使う抵抗膜方式タッチパネル用は、ペンで表面を押したときに通常ニュートンリング(光の干渉により発生する虹模様に見える現象)が発生します。従来のクリアーフィルムでは達成出来なかったニュートンリング発生を防止した「フルクリアーニュートンリングレスフィルム」を提供します。

 ③ 外光反射防止フィルム
 タッチパネルは、取り外しができるカーナビゲーションシステムなど、屋外での使用が中心となるPND(パーソナルナビゲーションデバイス)用が非常に多くなっています。当用途では特に外光がタッチパネル内部で反射することにより、画面が見えにくくなる問題が有ります。この解決には偏光板等との組み合わせで屋外での使用が問題ないフィルムを提供します。

 当社は将来大きな成長が期待される精密材料・加工、メディケア、環境・エネルギーの分野を「戦略事業」と定義し、重点的な資源配分を行い、石油化学系事業、情報電子材料事業に続く第3の収益源とすべく、事業の立ち上げを加速しています。これまでの歩みを通じて、企業理念に掲げる「Materials Innovation」を、事業活動の基盤とし、革新的かつ競争力のある材料開発を通じて、常に新しい材料(「革新材料」)の開発、市場投入に努めています。