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JSRグループのディーメック、光造形用透明耐熱樹脂を上市
~自動車、OA、家電、医療、精密部品等の立体造形物へ展開~

製品情報 2010年10月04日
 JSR株式会社(社長:小柴満信)の100%子会社で光造形システムや光造形用樹脂を手掛ける株式会社ディーメック(社長:三浦孝夫)は、実用耐熱温度が150℃で透明性が高く、良好な機械的特性を有する光造形用樹脂、デソライト™SCR780を上市しました。当樹脂は、JSRの持分法適用会社である日本特殊コーティング株式会社(社長:宇加地孝志、以下JFC)が開発したものです。

 従来から光造形システムは、主に自動車、OA、家電、医療、精密部品用等の組立工程の確認などに用いられるプロトタイプ(試作部品)の製作用に用いられてきました。しかし光造形用として上市されている透明タイプの樹脂は実用耐熱温度が80℃程度と低く、使用できる用途が限られていました。
 今回上市したデソライト™SCR780は、高い耐熱性と透明性に加え、良好なスナップフィット性*1、セルフタップ性*2も備えた完成度の高い樹脂で、高温にさらされる部位にも適用することが可能です。また、同時に高い透明性も有するため、例えば自動車エンジン設計のために、エンジンの一部を造形物に置き換え実際に稼動させ、内部の150℃にもおよぶオイルの流れを観察することができます。また、洗濯機の外装に造形物を組み込み、乾燥工程で高温になる内部の動きを可視化して洗濯機の設計に役立てることもできます。既に、従来に無い耐熱性、透明性が高く評価され、大手顧客での採用が決定しています。
 *1)造形物による組み合せ固定(嵌合)時の割れにくさ  *2)造形物にねじをねじ込んだ時の割れにくさ
 また、SCR780には劇毒物のアンチモン化合物を用いておらず、消防法上も非危険物の分類のため樹脂の管理が容易です。

 光造形は、3次元CADデータで設計した立体像をスライスデータに変換し、このデータに基づきレーザーで一層ごとに光造形用樹脂を硬化させていく積層造形です。光造形は、高精度な造形物製造を可能にする手法であり、使用される樹脂の性能が造形物の商品価値を大きく左右します。
 JSRは光硬化性樹脂の世界大手、米国DSM Desotech社との30年に亘る共同研究を通してJFCが開発した業界トップの性能を示す光造形用樹脂を多種上市してきました。ディーメックは、国内でその光硬化性樹脂と組み合わせた最先端の光造形システムを取り扱っており、顧客の要望に応じて、高靱性 (デソライト™737、712X、SCR735)、フィラー系超耐熱(デソライト™SCR802)、高精度・高解像度(デソライト™SCR950) 等の樹脂を各種揃えています。
 また、ディーメックは2009年より光造形装置の世界最大手である米国3Dシステムズ社の最新鋭装置の日本における代理店となっており、今回上市した耐熱透明樹脂や独自に開発した造形技術を用い光造形システムの拡販を推進させていきます。
 光造形は形状・機能確認のための「ラピッドプロトタイピング」に加え、実際の製品として製造する「ラピッドマニュファクチャリング」の拡大もあり、市場は大きく成長しています。JSRグループは光造形用樹脂、光造形装置の販売、及び立体モデル製作の受託等を通し国内の光造形市場の発展に寄与していきます。

<参考資料>
造形物例:デソライト SCR780を用いた造形物(ランプシェード)
高い透明性をもち、高温のランプ部が近接しても変形、変色がありません。