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テクノポリマー、高機能フィルムを開発~国内市場シェア1位の高品質ABS樹脂の技術を活かして~

製品情報 2010年08月23日
JSR株式会社(社長:小柴満信)の100%子会社でABS樹脂を取り扱うテクノポリマー株式会社(社長:伊藤友一)は、これまでの材料開発で培った技術力を活かし、高機能フィルム・シートを開発しました。テクノポリマーのABS樹脂は、耐熱性、難燃性、耐候性などの機能を付与することにより、自動車部品やアミューズメント製品の筐体などさまざまな用途で使用されています。これら樹脂の特性を活かして付加価値の高い用途開発を進めて参りました結果、今回、新事業として高機能フィルム・シート「VALUETECH®」シリーズを上市することに致しました。原料からフィルム・シートまで一貫した製品開発を行ってまいります。

今回発表する製品は、代替エネルギーとしての太陽電池に使用されるバックシート、高級車用内装等に使用される高外観ABSシート、建材関連を中心に表面の凹凸を出す多層印刷等が可能な特殊ABSフィルムです。

  太陽電池用バックシート VALUETECH® NSSシリーズ
近年、住宅向け太陽電池につきましては、意匠性(太陽電池の外観)の観点から黒色の太陽電池が求められています。黒色太陽電池モジュールには、黒色のバックシートが必須ですが、従来品は、黒色が光を吸収してしまうため、変換効率が低いとされています。今回開発したテクノポリマーのスチレン系黒色バックシートは、特殊な顔料をテクノポリマーの高耐候性ASA樹脂に配合することにより、従来の黒色バックシートを使用した太陽電池モジュールに比べて変換効率を約2%向上させることができます。耐久性も良好で、3,000時間の湿熱老化試験後もモジュールに悪影響を与えません。実用化に向け国内外の太陽電池モジュールメーカーで評価中です。
  高外観ABSシート VALUETECH® NSGシリーズ
当社のABS樹脂は高品質な外観が得られるということで、家庭電化製品やアミューズメント製品の筺体などに無塗装で使用されています。この高品質な樹脂の特徴を活かし、真空成形時のブツ(成形品表面の欠点)の発生を最小限に抑えた高光沢・高外観のABSシートを開発しました。本製品を使用することで、真空成形やインサート成形*1の際の不良率を大幅に低減することができるとともに、高級感のある外観を演出します。大手加飾シートメーカーに採用が決定し、出荷が始まっています。現在、透明ABSフィルムも開発中です。
*1射出成形品の表面を加飾する方法の一つ。真空成形した加飾シートを金型内に装着した後射出成形する。
  グラビア多層印刷用特殊ABSフィルム VALUETECH® NFCシリーズ
グラビア印刷に適した特殊ABSフィルムです。耐溶剤性が優れており、多層印刷*2が可能です。耐熱性も高く、印刷時の高温乾燥(約摂氏130度)に収縮しにくいという特徴があります。建材関連を中心に市場展開を図っており、一部採用が決定しています。
*2何層にも重ねて印刷する方法。

テクノポリマーは、独自のポリマー設計と着色コンパウンド(複合化)技術により、既存事業のビジネス展開を強化していますが、今後も新たな事業分野への進出も積極的に行って、幅広くユーザーへソリューションを提供することで、事業規模の拡大を目指していきます。