JSR株式会社（社長：小柴満信）は、高輝度LED向けの機能性材料シリーズ「LUMILON^TM」を上市します。LEDは、地球環境への負荷を低減する部品として各種照明器具やディスプレイ、車載用途などへの適用拡大が進んでおり、高輝度化をはじめとした様々な市場ニーズが高まっています。当社は、そのニーズに対応するため、高輝度ＬＥＤ向け材料を拡充します。

　今回、「LUMILON^TM」として上市するのは、パッケージ工程で使用される有機無機ハイブリッドの封止材である「LUMILON^TM ENシリーズ」、高屈折コート材料である「LUMILON^TM HRシリーズ」、LEDの素子製造工程で使われる無機系塗布型絶縁材料である「LUMILON^TM SCシリーズ」、同材料で感光によるパターニングが可能な「LUMILON^TM DEシリーズ」、電極形成用のリフトオフ用フォトレジスト材料である「LUMILON^TM LPシリーズ」、の5シリーズです。

　当社はＬＥＤ関連機能性材料として、2008年11月20日に封止材および高屈折コート材の開発・上市を発表し、展開してきました。さらに、当社の精密な高分子合成技術と材料及び光・情報電子材料の事業で培った材料と技術を展開し、今回新たにLED素子製造工程での低コスト化を実現するプロセス材料、LED素子の高輝度化、耐久性向上に貢献する絶縁膜材料を製品群に加え、ＬＥＤ製造工程の幅広いニーズに対応していきます。これらの素子製造工程用の材料は4月より販売を開始いたします。

LUMILON^TM ENシリーズ
　ＬＥＤの高輝度化、高耐久化のために、封止材は、高い耐熱性と耐光性、ガスバリア性が求められています。その要求に対し、当社独自の有機無機ハイブリッド材料の合成技術を発展させることにより、高いガスバリア性を保持したまま、耐熱性、耐光性を向上させ、従来品対比大幅な耐久性向上を実現することができました。特に電極の腐食による輝度低下を防ぐ特性を有しており、大型液晶ディスプレイ（LCD）向けバックライト分野、照明分野、車載分野へと適用分野が広がるLEDの耐久性の向上に貢献します。

LUMILON^TM HRシリーズ
　波長400nm～470nmでの光線透過率が95%以上、屈折率1.9～1.6を示す、コート材料を開発し、各種LEDパッケージに適用できるように製品群を拡充しました。本コート材を適用することにより発光輝度が10%以上向上することが確認されており、この新しい技術は、LEDの長寿命化、省エネ化の達成に寄与し、LEDの更なる適用拡大へつながっていくものと期待されます。

LUMILON^TM SCシリーズ、LUMILON^TM DEシリーズ
　高度なポリマー技術をベースとした無機系塗布型絶縁材料です。透明で耐光耐熱性があることが特徴であることから、LEDの素子加工プロセスにおいて、さまざまな用途に応用が可能です。耐熱耐薬品性を高めたSCシリーズは、エッチング、ダイシング用塗布型ハードマスク用途として従来から使用されているCVD法よりも均一な膜を形成することができることから、製造工程の大幅な工程短縮と生産性向上に貢献します。また、感光性の機能を持つLUMIILON^TM DEシリーズは、感光性を付与したことによりLED基板上で良好なパターニング性を有し、エッチング法による加工を省略できることで、従来のCVD法から大幅な製造コストの低減が可能です。更に、CVD法ではなく塗布型材料を適用することで、凹凸基板上でのギャップフィル性能を発揮し、良好な絶縁性を実現することによる素子の性能の向上が期待されます。LED素子保護（被服）膜、層間絶縁膜、電極保護膜など幅広い用途に適用され、歩留まりの向上や高輝度化を実現できる技術にも貢献しています。

LUMILON^TM LPシリーズ
　半導体製造用フォトレジストの技術を応用した、ネガ型のリフトオフプロセス用フォトレジスト材料です。各種LED基板材料への高密着性を持ちながら、業界標準となっているNMP、DMSOベースの剥離液による剥離が可能であることから、逆テーパー形状（逆円錐状）を容易に形成できます。また、従来品では形状保持が難しかった電極蒸着時に発生する100℃近傍の温度にも耐えるレジスト材料です。

　当社は、環境意識の高まりとともに応用範囲の広がるLED関連分野を新規事業の大きな柱の一つと捉えています。今回発表した材料以外にも、LEDの発する熱をヒートシンク材等へ伝える伝熱材料や高輝度LEDが用いられる液晶ディスプレイパネルに適した材料を展開しております。今後も、LED関連分野において、その製造から応用先まで、幅広く優位性のある材料を提供することで、世界的に広がる環境負荷低減に貢献していきます。