ホーム > CSR > 事業活動の基盤となる課題 リスク管理
JSRグループは重大な危機の発生を未然に防ぐこと、および万一重大な危機が発生した場合に事業活動への影響を最小限にとどめることを経営の重要課題と位置付け、「リスク管理規程」を定め、「リスク管理委員会」を中心にリスク管理活動を推進しています。
リスク管理委員会は、会社に存在する顕在化した、または潜在的なリスクのうち、取締役会等の重要な会議において審議される、事業の推進に伴うもの以外のリスク※について、それらに対する対応方針を策定し、JSRグループのリスク管理を推進しています。
※ 取締役会等の重要な会議において審議される、事業の推進に伴うリスクには、設備投資やM&Aといった戦略的なリスク等があります。
2009年度より独自のリスク管理システムを運用し、リスク管理委員会主導のもと、毎年定期的にグループ企業を含む国内外全部門において、リスクの洗い出しを行っています。2015年度、これまでのJSRグループリスク管理の妥当性を確認し、リスク洗い出しの方法を見直しました。経営への影響度と発生頻度で表すリスクマップを活用し、洗い出されたリスクのうち事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があるリスクを「JSRグループ重要リスク」と位置付けて経営層自ら把握したリスクのモニタリングと定期的な見直しで、未然防止と危機発生に備えた体制の構築と維持を図っています。
本規程では、BCMを統括する組織や運用体制、BCPとして、目標復旧時間・BCP発動と解除の基準・BCP発動時の組織体制・重要事業と重要業務などについて定めています。
※ BCM(Business Continuity Management)、BCP(Business Continuity Plan)
企業が大規模災害、爆発・火災、テロ攻撃など企業の存続を危うくするレベルの緊急事態に遭遇した場合において、重要な事業の継続あるいは早期復旧を可能とするため、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための判断基準、行動指針などを取り決めておく計画をBCPといい、そのBCPをPDCAによって継続的に運用、改善していくマネジメントシステムをBCMという
当社では、1995年度から大規模地震対策に関する中期計画を策定し、対策強化に計画的に取り組んできました。2006年度以降、耐震性能診断結果をもとに、工場内の高圧ガス設備を重点対象とした耐震工事を進めているほか、人命第一の考え方のもと、すべての事業所に緊急地震速報システムを設置しています。さらに、東日本大震災を受けて、耐震強度の強化や津波対策も視野に入れた安全対策を2020年までに終える計画をたてて進めています。
2013年12月に竣工した四日市工場本館は、積層ゴム系とオイルダンパー系の2種類の免震装置を採用することで600ガルの地震にも耐え、さらに格子状地盤改良工法の採用により液状化の発生を防止するなど、優れた地震対策を講じています。この建物は、防災倉庫を設置するとともに、本社地区(東京)被災時の本社機能移転スペースを確保しています。また、四日市工場の近隣にお住まいの方々の避難場所である「四日市市津波避難ビル」としても機能します。
2014年7月に竣工した四日市工場クリーンルームC棟は、精密機器の安定稼働に向け、免震構造に加えて、高度な地盤液状化対策を施しています。また重要な機器類は高層階に設置する等、津波対策を図っています。
JSRは、危機発生時の本社(東京都港区)災害対策本部の対応力強化を目的に、2004年から毎年1回、当社社長を本部長とする災害対策本部メンバーが参加する危機管理訓練を実施しています。2017年度は、首都直下型地震(東京湾北部を震源とした大規模な地震)が発生し、本社だけでなく、グループ企業も含めた関東地方の各拠点が被災し、また災害対策本部の最高責任者が不在で、代行者が対策本部を運営する状況を想定した危機管理訓練を実施しました。
本社危機管理訓練における災害対策本部の様子
これまでの訓練は発災当日中の対応をシミュレーションし、対策本部の運営や情報のとりまとめの検証に主眼を置いていましたが、今回の訓練では、発災2日目における本社災害対策本部各チームの対応を主な対象として、ブラインドシナリオ形式※で実施しました。訓練には本社災害対策本部メンバーを含む約50名が参加し、刻々と変化する状況に対して自発的な情報収集や対応方針決定など、自部門あるいは自身の取るべき行動を確認しました。
今後もさまざまな危機を想定した訓練などを通じて、災害時の安全確保および、被害抑制と事業継続のための備えをしていきます。
※ ブラインドシナリオ形式
非公開のシナリオに基づいて刻々と変化する災害状況、被災状況などが参加者に対して付与され、その状況への対応策を参加者自らが考えて見つけ出し、対応を図る訓練形式。
2017年度は、JSR国内グループ企業を対象としたBCP訓練を実施しました。
本訓練は、危機発生時のグループ企業各社の災害対策本部対応力強化を目的に初めて実施したもので、国内グループ企業7社から20名が参加しました。
参加者は本訓練を通じて、緊急時に適切に対応するため判断基準を事前に決めておくことの重要性や、継続的に緊急時対応マニュアルを改善することの重要性を再確認しました。
今後も、グループ企業と様々な危機を想定した訓練を行い、JSRグループの被害低減と事業継続に備えていきます。
JSRグループ企業BCP訓練の様子
JSRグループでは、計画的に防災訓練や避難訓練を実施しています。危機に際しての影響の最小化、事業継続に向けた対応能力の向上に努めています。
鹿島合同事業所(JSR、日本ブチル、ジェイエスアール クレイトン エラストマー)の総合防災訓練の様子
2009年度より安否確認システムを導入し、大規模地震等の災害発生時に従業員の安否を迅速に把握できるようにしています。また、2011年度より、グループ企業および家族へも導入範囲を拡大しています。
インフルエンザをはじめとする感染症の流行拡大に備え、マスクを備蓄しています。
また、必要に応じてインフルエンザ感染等に関する注意喚起を行っています。
2017年のインフルエンザ流行前には、職場におけるインフルエンザの感染拡大を防止し、もしかかってしまった際の重症化を防ぐ目的で、JSR本社および四日市、千葉、鹿島の各工場に医師・看護士を招き、希望する社員へのインフルエンザ予防接種を実施しました。
JSRグループは「情報セキュリティ方針」を定め、従業員への周知を徹底することで情報の適正管理に努めています。
情報セキュリティハンドブック
JSRグループではサイバー攻撃などから会社の情報資産を守るため、社外の専門家とも連携しつつ継続的にセキュリティレベル向上を図っています。また、従業員が情報漏洩リスクに対する感度をさらに高め、常にルールに則った行動が行えるよう、2014年度に情報セキュリティハンドブックを発行しました。併せて偽のウイルスで対策意識を喚起する「標的型攻撃訓練」を実施する等、e-learningや職場懇談会を通して情報セキュリティハンドブックに掲載された内容について周知徹底を図っています。