JSRグループの企業理念は、「Materials Innovation−マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します」です。
お客様のニーズに合った「革新素材」「良い製品」を提供し、より良い社会の実現に貢献していくことは、JSRグループの重要な役割であると考えています。
また、お客様に安心して製品をお使いいただけるよう、JSRグループでは、品質保証活動、製品安全に対する取組みにも力を入れています。
さらに、取引先様とは、サプライチェーンマネジメントを通じて、社会の課題に対する対応も進めていきます。
JSRでは、様々なお客様からの声を聴き、事業活動の改善に努めています。
「RC推進委員会」の下、品質方針および品質保証推進計画の策定、グループ企業も対象に含む「品質保証推進会議」および工場ごとの「QA推進会議」を設置して、計画に沿った活動を進めています。進捗状況はRC推進委員会で審議後、CSR会議へ上程し、経営層へ報告しています。
ISO外部監査や各工場の工場長監査及び品質パフォーマンス監査(社長又は担当役員がトップ)を定期的に実施しています。
全工場(関連する事業部や間接部門を含む)でISO9001の認証を取得しています。
ISO9001認証取得事業所等:
四日市工場、千葉工場、鹿島工場、筑波研究所、本社関連部門
製造業であるJSRグループには、顧客の品質要求、コスト要求、そして供給責任を果たす責任があります。これらの責任を果たすため、従来の本社品質監査に変わり、2012年度より、工場のQA活動トピックス(クレーム・トラブル推移と対策状況、工程能力向上活動等)の報告や品質改善活動の発表会(シックスシグマ研修、小集団改善活動)、顧客満足度調査結果報告を中心とした品質パフォーマンス監査を毎年実施しています。より優れた品質・コスト・供給の高いレベルでのバランスを目指すべく、従来からのQC手法にシックスシグマ手法も加えて品質改善活動の両輪として奨励しており、2016年1月〜2月、品質保証担当役員をトップとする第4回の同監査を当社3工場で実施しました。
四日市工場第4回品質パフォーマンス監査の様子
(2016年1月28日四日市工場にて)
千葉工場・鹿島工場(合同)第4回品質パフォーマンス監査の様子(2016年2月12日千葉工場にて)
JSRは1994年に「PLP基準」を制定し、製品安全に対する取組みを強化しました。その後も必要に応じて見直しを行い、製品の設計段階から製造、販売、物流に至るまでの製品事故を防ぐための様々な取り決めが定められています。例えば新たに市場に出す製品については、製品の設計段階から安全性をチェックし、部門長の承認を得た後で販売するシステムが構築されています。グループ企業においても同様の取組みを推進中です。
また、製品事故の発生防止のために、お客様とのコミュニケーションを通じて情報の入手に努め、品質管理システムの見直しや評価技術の向上等による製品事故の予防強化を通じ、原料調達から物流までのサプライチェーン全体にわたる品質管理の向上を図っています。
※1 ハザードベース管理:物質の有害性のみを基準とする管理
※2 リスクベース管理:物質の有害性に暴露量を乗じたものを基準とする管理
2014年の労働安全衛生法の一部を改正する法律公布に伴い、2015年6月に政令が公布され、SDSの提供が義務付けられている化学物質について、2016年6月1日からラベル表示の義務が課せられるとともに、事業者によるリスクアセスメントの実施が義務付けられました。この改正により、ラベル表示の対象物質が大幅に増加します。JSRではこれらの改正法令に対応しています。
GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labeling of Chemicals:化学品の分類および表示に関する世界調和システム)は、(1)化学品を危険有害性に応じて分類し、(2)製品の包装容器にラベルで表示し、(3)SDSに内容を記載し提供することを世界的に統一する仕組みです。
国内では労働安全衛生法で対象物質含有製品のラベルとSDSについてGHS化が義務づけられており、JSRでは対象物質を含有するすべての製品について危険有害性を分類し、ラベル表示の対応を完了しました。SDSについては、すべての国内製品についてGHS化を完了しました。海外向けにはEU、韓国、台湾、中国など各国で法制化が進められているGHSへの対応を進めています。
JSRが所属している一般社団法人日本化学工業協会は、化学工業界の自主的取り組みとして、JIPS※3(Japan Initiative of Product Stewardship)やLRI※4(Long-range Research Initiative)の活動を推進しており、JSRは同協会のワーキンググループへの参加や研究資金の一部負担など、これらの活動に積極的に取り組んでいます。温暖化対策についても、同協会の活動方針に基づき、積極的に活動しています。
※3 JIPS(Japan Initiative of Product Stewardship):
国際化学工業協会協議会(ICCA)は、WSSDで決議された2020年目標(2020年までに化学品のリスクを最小化)の達成のため第1回国際化学物質管理会議(ICCM-1)でGPS(Global Product Strategy)の推進を公表しました。日本では日本化学工業協会がGPSを具現化するためJIPS活動を推進しています。そこでは、化学物質の製造・輸入者が、加工・組立・販売業者等の協力のもと化学品のリスク評価を行い、情報を公開してサプライチェーン全体での適切な管理を行います。
※4 LRI(Long-range Research Initiative):
国際化学工業協会協議会(ICCA)の重要課題の一つで、化学物質の環境・安全・健康に与える影響に関する自主的長期的研究計画です。日本化学工業協会では2013年度より新LRIとして次の5分野の問題解決に取り組んでいます。①新規リスク評価手法の開発と評価、②ナノマテリアルを含む新規化学物質の安全性研究、③小児、高齢者、遺伝子疾患などにおける化学物質の影響に関する研究、④生態、環境への影響評価、⑤その他、緊急対応が必要とされる課題。
JSRでは、物流業務を社外の物流会社に委託しています。輸送時の環境保全については、物流会社を通じて運転手の安全教育はもとより、緊急時の処置と連絡先を記載したカード(イエローカード)を常時携帯していただき、輸送時の環境安全を確保しています。
2年に1度、お客様へ「当社の経営品質」「製品開発」「製品品質」「技術・営業サポート」等の項目について、お客様の評価を頂き、改善に努めています。概ね「製品品質」「技術・営業サポート」を中心に高いご評価をいただいておりますが、今後も年々変化する要求品質にお応えできるよう、さらに品質の向上に努めて参ります。
2016年2月4日、Maison de l’Automobile(Brussels)にて開催された、Pirelli Global Stakeholder Dialogueに参加しました。本Dialogueは、Pirelli社が2020年に向けて進めているIndustrial & Sustainability Planについて、各種ステークホルダー(policy side, academics, suppliers, financial community, customers and NGOs)からの意見を得る目的で開催されたもので、JSRはサプライヤーとして参加しました。
インテルコーポレーションから「サプライヤー・コンテニュアス・クオリティー・インプルーブメント(SCQI)賞」を受賞
SCQI賞授賞式(写真撮影:Chip Holley)
世界的な半導体メーカーであるインテル コーポレーション(米国カリフォルニア州)から、供給企業に贈られるもっとも栄誉ある賞であるSCQI賞を受賞しました。8年間で7回目の受賞です。当社グループの先端リソグラフィー材料、CMP材料および高機能化学品が、卓越した成績を達成したことが認められたものです。
LG Display からベスト・サプライヤー賞を受賞しました
ベスト・サプライヤー賞授賞式
2月1日に、韓国の2大 LCDメーカーのひとつであるLG Display社(LGD)の同伴成長※5新年会が、韓国京義道Konjiamリゾートにて開催され、JSRから小柴社長、JMK から熊野社長と Choi Kwangsoo 副社長が出席しました。
席上、JSRはベスト・サプライヤー賞を受賞し、記念の盾と、副賞として 55インチのOLED(有機EL方式)テレビをいただきました。
この同伴成長新年会には、LGDから最高経営責任者(CEO)のHan Sang-Beom副会長、最高生産責任者(CPO)であるJeong Cheol-Dong副社長、最高技術責任者(CTO)Kang In-Byeong専務といった経営陣と国内外グループ約100社の役職員が参加されました。LCD の性能差別化による持続的成長、新成長エンジンとしてのOLEDのプレミアム市場先導、プラスチックOLEDの競争力早期構築について述べられ、パートナー企業にコストイノベーションへの協力依頼がありました。中国のディスプレイ産業が拡大してくる厳しい事業環境の中、勝ち残っていくための強い決意がHan CEOから伝わってきました。
ベスト・サプライヤー賞は、JSRの他、東京エレクトロン、Silicon Works、Jusung Engineering、KC-Techなど計7社が受賞しています。
※5 同伴成長:韓国において2010年から言われている、大企業とパートナー企業がバランスよく成長することを意図した表現
TECHNO POLYMER AMERICA INC.は、森六グループから「Delivery Performance」賞を受賞しました。日本からの輸送や通関、米国内輸送に時間がかかるうえ、様々なトラブルに見舞われたりする中、代替手段(他国拠点活用)や在庫増等の対策を駆使し、納期を守り続けたことが評価されました。
サプライチェーンマネジメントは、「守りのCSR」の中でも重要なものと位置付けており、常に見直しを行い、サプライチェーン全体でのMaterials Innovationによる新たな価値創造につながっていくことを目指したいと考えています。
JSRグループのサプライチェーンマネジメントには、様々な産業に素材を提供して社会を支える化学メーカーとしての特徴があります。それはお客さまに絶えることなく安定的に、確かな品質の製品をお届けすることです。
同じJSRグループの中でも、石油化学系事業とファイン事業、あるいは戦略事業ではサプライチェーンマネジメントにおけるポイントは異なりますが、お取引先様、お客様にはJSRグループ購買指針に定める「購買取引にあたっては、持続可能な社会に向けて、安全、人権、法令遵守、資源保護、環境保全、生物多様性などに十分配慮する」とのCSR調達方針をご理解いただき、コミュニケーションによる相互理解の下で協力しながら、実効性のある取り組みを続けています。2010年度から「CSR調達」の取り組みを開始し、「購買指針」に基づいて、環境面と社会面に関する取引先の取り組み状況をアンケート調査で把握し、課題がある場合には、その取引先に調達担当者が直接出向いて一緒に課題を解決する方法をとっています。2013年度までに、原料資材の購入金額の99%をカバーする取引先への調査を完了し、新たな取引先ができた場合も同様に調査を実施しています。
2014年度からは、いわゆる紛争鉱物に関しても、直接の原材料としているものはありませんが、製造過程で用いる触媒等、間接的な使用の有無も含め、その調査を行っています。
工事部門を担当するグループ企業であるJSRエンジニアリング(株)では、協力会社で構成する安全協議会等において、JSRグループの考え方の周知化とCSR調達への協力をお願いしています。協力会社の皆様の意識も高まっており、個別の勉強会、ディスカッションを活発に行っています。
JSRは、従来より原材料に関して、環境負荷の少ないものを優先的に購入するグリーン調達に取り組んできました。また、化学物質をサプライチェーンで管理する近年の業界の動きに合わせて、2008年10月にアーティクルマネージメント推進協議会(JAMP)※6に加入し、グリーン調達ガイドライン※7の見直しを行いました。今後ともサプライチェーンでの情報伝達を重視したグリーン調達に積極的に取り組んでいきます。
※6 アーティクルマネージメント推進協議会(JAMP):
アーティクル(部品や成形品などの別称)が含有する化学物質等の情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達するための具体的なしくみをつくり普及させることを目的として、2006年9月に業界横断の活動推進主体として発足しました。JSRはJAMPへの参加を通じて、その理念の実現に資する活動を推進します。
※7 グリーン調達ガイドライン:
JSRはJAMPへの加入に際し、グリーン調達の見直しを行いました。管理対象物質をJAMP MSDSplusの管理対象物質に対応させると同時に、フォーマットもMSDSplusに変更しました。さらにグリーン調達の範囲を従来の原材料から包装材、設備にまで拡げた取り組みを行っています。サプライチェーンでの化学物質のリスク管理を効果的に実施するため、情報伝達を重視したグリーン調達を推進していきます。
JSRは直接製品や製造に関係しない事務機器、備品類を環境に配慮して購入する活動をグリーン購入と定義し、製品原材料、包装材、製造設備の調達に関するグリーン調達と区別しています。
2000年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)が制定され、2001年の実施にあたって「基本方針」が公表されました。JSRでは本方針を参考にしながら、省エネルギー対策やリサイクル使用率の高い機器・備品類を優先して購入するよう努めています。2015年度は、全事業所での全購入金額118,931(千円)のうち、グリーン購入金額は104,242(千円)となり、グリーン購入率は88%でした。
供給リスクへの対策としてBCM(事業継続マネジメント)の観点から、調達先を複数持つことで、リソースのマネジメントを行っています。特に重要な原材料については、万が一に備えて、事業計画に基づいた在庫管理により原料切れによる生産停止が起こらないようにしています。