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CSRレポート2014

顧客・取引先への責任

顧客・取引先とのかかわりについての考え方

JSRグループの企業理念は、「Materials Innovation —マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献すること」です。
お客様のニーズに合った「革新素材」「良い製品」を提供し、より良い社会の実現に貢献していくことは、当社グループの最も重要な役割であると考えています。
お客様に安心してお使いいただけるよう、当社グループでは品質保証活動、製品安全に対する取り組みにも力を入れています。

トピック

授賞式SCQI賞授賞式
(写真撮影:Chip Holley)

インテル コーポレーションの
「サプライヤー・コンテニュアス・クオリティ-・
インプルーブメント(SCQI)賞」を連続受賞

世界的な半導体メーカーであるインテル コーポレーション(米国カリフォルニア州)から供給企業に贈られるもっとも栄誉ある賞、SCQI賞を受賞しました。6年間で5回目の受賞となります。これは、当社から提供している先端リソグラフィ材料およびCMP材料が卓越した品質と成績を達成し、また当社のCSRの取り組みが高く評価されたものです。


インテル コーポレーションからのコメント
JSRはインテルにとって、最先端のリソグラフィ技術開発における優秀なサプライヤーでありパートナーです。JSRはインテルとの取り組みの中で、インテルの目指す最先端技術、量産技術、経済性に関するゴールの達成につながる革新的材料やソリューションを提供してくれました。インテルは今後もJSRが次世代技術における微細化に対して継続的に貢献してくれることを期待しています。この賞をJSRに贈ることができて誇らしく思います。

上席副社長 技術製造統括本部 ロジック技術開発部長
ソヘイル・アーミッド氏

顧客・取引先に対する安全確保

品質保証活動

JSRは全工場でISO9001の認証を取得しています(関連する事業部や間接部門を含む)。そして、「RC推進委員会」のもと、品質方針および品質保証推進計画を策定し、グループ企業も対象に含む「品質保証推進会議」および工場ごとの「QA※1推進会議」を設置することによって計画に沿った活動を進めています。また、ISO外部監査や各工場の工場長監査に加え、社長もしくは担当役員をトップとする品質監査を各工場に対し定期的に実施しています。
※1 QA:Quality Assurance(品質保証)

品質パフォーマンス監査

表彰式品質改善活動発表会表彰式の様子

製造業である当社グループには、顧客の品質要求、コスト要求、そして供給責任を満たす責任があります。これらの責任を果たすため、2012年度より品質パフォーマンス監査を行っています。より優れた品質・コスト・供給のバランスを目指すべく、従来からのQC手法にシックスシグマ手法も加えて品質改善活動の両輪として奨励しており、2014年1~2月、担当役員をトップとして第2回目の同監査を当社3工場において実施しました。

PLP活動

JSRは1994年に「PLP※2基準」を制定し、製品安全に対する取り組みを強化しました。その後も必要に応じて見直しを行っている「PLP基準」では、製品の設計段階から製造、販売、物流に至るまでの製品事故を未然に防ぐためのさまざまな取り決めが定められています。例えば、新たに市場に出す製品については、製品の設計段階から安全性をチェックし、部門長の承認を得た後で販売するシステムが構築されています。グループ企業においても同様の取り組みを推進中です。
また、製品事故の発生防止のために、お客様とのコミュニケーションを通じて情報の入手に努め、品質管理システムの見直しや評価技術の向上などによる製品事故の予防強化を通じ、原料調達から物流までのサプライチェーン全体にわたる品質管理の向上を図っています。
※2 PLP:Product Liability Prevention(製造物責任予防)

顧客・取引先への環境・安全情報の提供

JSRでは、危険有害物質に限らず、ポリマーを含むすべての製品についてSDS(安全データシート)を整備し、お客様に環境・安全情報を提供しています。
現在のSDSは、全てJIS Z 7253および労働安全衛生法、PRTR法、毒劇物取扱法に対応しています。更に、お客様に対して製品に関する正確な内容のSDSを確実に提出することを目的に、SDS電子管理システムを構築し、2002年から運用しています。本システムには利用者管理、化学物質の情報管理、作成支援、発行履歴管理の機能を備えており、当社製品についての環境・安全情報を正確かつ迅速に提供していきます。

輸送時の環境・安全の維持

JSRでは、物流業務を社外の物流会社に委託しています。輸送時の環境・安全を維持するため、業者を通じて運転手の安全教育はもとより、緊急時の処置と連絡先を記載したカード(イエローカード)を常時携帯させ、輸送時の環境・安全を確保しています。

化学品安全

化学物質管理の基本方針

JSRでは、昨今の世界的な化学物質管理の動向にかんがみ、以下の3つの基本方針を定め化学物質管理に取り組んでいます。

(1) ハザードベース管理※3に代わり、リスクベース管理※4を目指します。
(2) グローバルに統一された様式を用いて、サプライチェーン全体での管理を指向します。
(3) 製品の安全に万全を期すため、法規制対応に加え自主的取り組みを推進します。

※3 ハザードベース管理:物質の有害性のみを基準とする管理
※4 リスクベース管理:物質の有害性に曝露量を乗じたものを基準とする管理

国内化学品への対応

■ 改正労働安全衛生規則への対応

2012年に労働安全衛生法関連省令が改正されました。今回の改正ではGHSに基づくラベル、作業場内の表示、SDS(安全データシート)について充実・強化されました。JSRでは、この改正省令への対応を進めています。

■ GHS

GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)とは、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」であり、(1)化学品を危険有害性に応じて分類し、(2)製品の包装容器にラベルで表示し、(3)SDS(安全データシート)に内容を記載し提供することを世界的に統一する仕組みです。国内では労働安全衛生法で対象物質含有製品のラベルとSDSについてGHS化が義務づけられており、JSRでは対象物質を含有するすべての製品について危険有害性を分類し、ラベル表示の対応を完了しました。SDSについてはすべての国内製品についてGHS化を完了しました。海外向けにはEU、韓国、台湾、中国など各国で法制化が進められているGHSへの対応を進めています。

輸出化学品への対応

■ 欧州(REACHへの対応)

REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)とは欧州の「化学品の登録、評価、認可および制限」のシステムであり、2007年6月より施行されています。REACHでは既存化学物質、新規化学物質の区別なく、年間1トン以上欧州域内で製造・輸入する化学品は一部例外を除き、安全性試験等のデータをつけて登録が義務づけられています。JSRは、欧州に輸出される製品中の登録対象物質をリストアップし、代理人(OR)を通じて2008年11月30日までに予備登録を終了しました。そのうち、2013年5月31日までに登録が必要な物質については、期限内に本登録されたことを確認しました。

■ 米国

米国の新規化学物質の届出制度は、環境保護庁(EPA)所管の有害物質規制法(TSCA)および関連する連邦規則により定められています。既存化学物質リストに収載されていない物質を米国へ輸出する場合には、法的手続きを実施しています。

■ 韓国

韓国の新規化学物質の届出制度は、環境部所管の有害化学物質管理法および雇用労働部所管の産業安全保健法に定められています。既存化学物質リストに収載されていない物質を韓国へ輸出する場合には、法的手続きを実施しています。また、新たに施行が予定されている「化学物質登録及び評価等に関する法律」への対応を進めています。

■ 中国

中国の新規化学物質の届出制度は、国家環境保護局の新規化学物質環境管理弁法に定められています。既存化学物質リストに収載されていない物質を中国へ輸出する場合には、法的手続きを実施しています。

■ 台湾

台湾へ製品を輸出する場合には、毒性化学物質管理令および危険物及有害物通識規則に従って対応しています。台湾では新規化学物質の届出制度の導入が進められています。JSRでは新たな新規化学物質届出制度へ対応を進めています。

業界および国際的な対応

JSRが所属している日本化学工業協会は、JIPS※5(Japan Initiative of Product Stewardship)やLRI※6(Long-range Research Initiative)の活動を推進しており、当社は同協会のワーキンググループへの参加や研究資金の一部を負担するなど、それらの活動に積極的に取り組んでいます。
※5 JIPS(Japan Initiative of Product Stewardship):
国際化学工業協会協議会(ICCA)は、WSSDで決議された2020年目標(2020年までに化学品のリスクを最小化)の達成のため第1回国際化学物質管理会議(ICCM-1)でGPS(Global Product Strategy)の推進を公表しました。日本では日本化学工業協会がGPSを具現化するためJIPS活動を推進しています。そこでは、化学物質の製造・輸入者が、加工・組立・販売業者等の協力のもと化学品のリスク評価を行い、情報を公開してサプライチェーン全体での適切な管理を行います。
※6 LRI(Long-range Research Initiative):
国際化学工業協会協議会(ICCA)の重要課題のひとつで、化学物質の環境・安全・健康に与える影響に関する自主的長期的研究計画です。日本化学工業協会では2013年度より新LRIとして次の5分野の問題解決に取り組んでいます。①新規リスク評価手法の開発と評価、②ナノマテリアルを含む新規化学物質の安全性研究、③小児、高齢者、遺伝子疾患などにおける化学物質の影響に関する研究、④生態、環境への影響評価、⑤その他、緊急対応が必要とされる課題。

グリーン調達の取り組み

原材料に関して

JSRは、従来より原材料および事務機器・備品類に関して、環境負荷の少ないものを優先的に購入するグリーン調達に取り組んできました。また、近年の化学物質をサプライチェーンで管理する業界の動きに合わせて、2008年10月にアーティクルマネージメント推進協議会(JAMP)※7に加入し、グリーン調達ガイドライン※8の見直しを行いました。今後はサプライチェーンでの情報伝達を重視したグリーン調達に積極的に取り組んでいきます。
※7 アーティクルマネージメント推進協議会
アーティクル(部品や成形品などの別称)が含有する化学物質等の情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達するための具体的な仕組みをつくり普及させることを目的として、2006年9月に業界横断の活動推進主体として発足しました。JSRはJAMPへの参加を通じて、その理念の実現に資する活動を推進します。
※8 グリーン調達ガイドライン:
JSRはJAMPへの加入に際し、グリーン調達の見直しを行いました。管理対象物質をJAMP MSDSplusの管理対象物質に対応させると同時に、フォーマットもMSDSplusに変更しました。さらにグリーン調達の範囲を従来の原材料から包装材、設備にまで拡げた取り組みを行っています。サプライチェーンでの化学物質のリスク管理を効果的に実施するため、情報伝達を重視したグリーン調達を推進していきます。

事務機器・備品類に関して

JSRは直接製品や製造に関係しない事務機器、備品類を環境に配慮して購入する活動をグリーン購入と定義し、製品原材料、包装材、製造設備の調達に関するグリーン調達と区別しています。
2000年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)が制定され、2001年の実施にあたって「基本方針」が公表されました。当社では本方針を参考にしながら、省エネルギー対策やリサイクル使用率の高い機器・備品類を優先して購入するよう努めています。2013年度は、全事業所での全購入金額162,844(千円)のうち、グリーン購入金額は158,232(千円)となり、グリーン購入率は97%でした。

CSR調達

安全協議会JSRエンジニアリング(株)安全協議会

JSRではサプライチェーンにおけるCSR活動の実践・推進を目指して、2010年度から「CSR調達」の取り組みを開始しました。取引先の環境への配慮度合と社会的責任の実践度合に関する基準を設けて、サプライチェーン全体での水準向上を図っています。
具体的には「購買指針」に基づいて、環境面と社会面についての取引先の状況をアンケート調査で把握し、課題がある場合には、その取引先に調達担当者が直接出向いて一緒に課題を解決する手法をとっています。2013年度までに、原料資材の購入金額の99%をカバーする取引先への調査を実施しました。またアンケートには2013年度より「腐敗防止への取り組み」に関する設問を追加し、JSRの方針をより深く理解していただく取り組みも行っています。
工事部門を担当するグループ企業であるJSRエンジニアリング(株)では、協力会社で構成する安全協議会等において、JSRグループの考え方の周知化と、CSR調達への協力をお願いしています。協力会社の皆様の意識も高まっており、個別の勉強会、ディスカッションを活発に行っています。

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