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ハイライト

特集2 本業を活かした社会貢献 教育支援 化学メーカーとしての強みを活かし、社会の未来を担う子供たちの育成に貢献したい――。その思いから、JSRはこれまで、さまざまな形での教育支援活動に取り組んできました。その一つ、四日市工場を中心に展開する「出前授業」の取り組みを紹介します。

四日市市立三浜小学校での授業風景

子供たちへ伝えたいこと

●日本の子供の理科の学力と興味のランキング

近年、強く懸念されている子供たちの「理科離れ」。学校の現場でも、化学実験などに触れる機会が減っているといいます。理屈ではなく驚きや喜びといった「体験」を通じて、子供たちにものづくりの大切さや可能性、楽しさを肌で感じてほしい。それがJSRの願いです。そして同時に、私たちが世に送り出している「素材」が、世の中のさまざまなものをつくるのに欠かせない、重要なものであることを知ってもらいたいと考えています。

合成ゴムを使った実験授業

「何これー」「触ってもいいの?」―― 各グループに配付された白い物体を前に、教室のあちこちから上がる賑やかな声。三重県・四日市市の小学校で実施された、JSR社員が「先生」役を務める「おもしろ実験教室」のひとこまです。
「じゃあ、観察してみてね」。教壇に立つのは、四日市工場事務部総務チームの秦恵美。「すごく伸びる!」「ヘンなにおい」といった子供たちの声を受け、それがJSRの製造する「合成ゴム」であることを説明していきます。
そして、いよいよグループごとに合成ゴムづくりの実験がスタート。瓶に入った白い液体をスポイトで吸い上げ、水のような液体に落としていきます。もやもやした白い固まりが浮かび上がってくる様子に、「うわあ」と息を呑む子供も。
固まりを茶漉しで漉したら、合成ゴムの完成。そこで環境保安部の加藤嘉文が替わって教壇に立ち、「みんなが今日、ゴムのほかにもう一つつくったものは何?」と問いかけます。「答えは“廃液”。工場でも毎日大量の廃液が出ますが、川や海を汚さないためにろ過処理をしています」。その説明に、子供たちはじっと聞き入っていました。

おもしろ実験教室開催実績

四日市市立日永小学校(2010年11月)
四日市市立内部東小学校(2010年12月)
四日市市立三浜小学校(2011年4月)
四日市市立内部東小学校(2011年6月)

四日市工場事務部総務チーム 秦 恵美 / 四日市市立日永小学校教諭 伊藤 保夫氏


子供たちの「理科離れ」に歯止めを

JSRではこれまでにも、社会貢献活動の一つとして、中学生の職場体験や教職員研修の受け入れなど、教育分野でのさまざまな支援活動を続けてきました。この出前授業は2007年、四日市工場でスタートした取り組み。四日市市から「子供の理科離れ」対策への協力要請を受けたことがきっかけでした。
民家と隣接する四日市工場において、地域社会との共生は特に重要なテーマ。しかも、JSRのようなメーカーにとっても将来の人材不足につながりかねない「理科離れ」に歯止めをかける活動ができれば、それこそ自分たちの得意分野を活かした「JSRらしい」社会貢献ではないか――。そんな思いから、社員が「先生」役となって地元の中学校で理科の授業を実施するというプロジェクトがスタートしたのです。
2009年には、JSRグループの「社会貢献についての基本的な考え方」策定を機に、その活動を全社レベルで推進していくことに。それと前後して、対象を小学校にも広げることになりました。「本来、子供たちは好奇心豊かで、実験や観察が好きなもの。企業の参画を通じて、通常の授業ではできない経験をさせたいと考えたのです」。小学生向け授業の実施を提案してくれた市内の小学校教諭、伊藤保夫先生はそう語ります。

おもしろ実験教室に参加した児童の声

伊ア侑真(ゆうま)くん
伊ア侑真(ゆうま)くん

全然違う2つの液体が結びついて、新しく「合成ゴム」という物体ができたことにびっくりしました。

久保和輝(かずき)くん
久保和輝(かずき)くん

一番面白かったのは、白い液を入れた後、ゴムが浮かび上がってきた瞬間。「合成ゴム」というものを初めて見ました。

子供たちへ伝えたいこと




とはいえ、当初は内容もまったくの白紙。45分間の授業の中で、どう子供たちの興味を引き出し、教科書で学ぶ内容と関連づけるのか。「こんな実験は?」「それでは安全性が不安」―― 伊藤先生と秦を中心に、JSR側と地元の先生方、教育委員会による試行錯誤の議論が続きました。1年近くを経てようやく、子供たちの生活にも身近な「合成ゴム」をメインに据えた現在の内容が固まり、本格的な出前授業をスタートさせることができたのです。
企業と学校、そして行政のパートナーシップで実現した、教育現場での新たな試み。伊藤先生はその意義を「子供たちが企業で働く人たちと直接出会って、話を聞けること=本物との出会い」と話します。「会社とは何か、そこでどんなことが行われているのか。私たちがいくら頑張って説明しても伝わらないことが伝わる、それが『ホンモノ』の力なんです」。
秦もまた、「持続可能で、かつ自分たちの身の丈に合った社会貢献活動だと感じています。子供たちの将来の職業選択の一助になれば嬉しい」と語ります。すでに中学校での出前授業をスタートさせている茨城県の鹿島工場をはじめ、取り組みはほかの拠点へも広がり始めました。社会の未来を担う子供たちのために―― 本業を活かし、JSRが担う役割は、さらに大きく広がっています。

中学生の職場体験受け入れ(2010年11月)

四日市工場で工場見学、ゴムの実験、
一日工場長としてのパトロールなどを体験。
対象:四日市市立内部中学校2年生

教員の民間企業研修(2010年7月)

本社にて企業活動研修と事業部取材。
千葉工場にて安全体験や工場見学を実施。
対象:小・中・高等学校の教員4名

未来を担う子供たちのために

 CSR部長 久保達哉

CSR部長 久保達哉

事業を通じて社会に貢献する。それが、企業というものの本質であり存在意義です。その意味で、こうした本業を活かした形での社会貢献活動は、まさに企業本来の目的に合致する取り組みだと考えています。社員にとっても、刺激を受けて視野が広がる、そして自分が社会とどうかかわり、行動するのかを考える貴重な機会になるのではないでしょうか。
今後は、実施する場所や携わる社員を増やすとともに、高校生対象の取り組みも実施するなど、活動をさらに拡大していきたい。そして出前授業だけではなくさまざまな形で、次世代育成に携わっていきたいと考えています。


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